はじめに
秋の11月になると、神社や街の中で、色あざやかな着物やかっこいい袴を着た小さな子どもたちを見かけることが多くなりますよね。手には、きれいな絵が描かれた長〜い袋に入った「千歳飴」を大事そうに持っています。
小学生のみんなも、自分が3歳や5歳、7歳だったころ、家族みんなでおめかしして写真館で記念写真を撮ったり、神社にお参りに行ったりした思い出があるのではないでしょうか?
「着物を着たらお腹が苦しかったな」「きれいな服を着せてもらって嬉しかった!」「千歳飴が甘くておいしかった!」など、楽しい記憶が残っている人も多いかもしれません。
でも、よく考えてみると不思議に思いませんか?
実は大昔の日本、子どもは7歳になるまで「神様からの授かりもの(人間ではない)」と考えられていたって知っていましたか……?
- どうして「3歳・5歳・7歳」という決まった年にお祝いするの?
- どうしてあんなに細くて長〜い飴を食べるの?
- そもそも七五三って、何のために、誰に感謝するお祝いなんだろう?
実は、七五三という行事には、何百年も昔の日本の歴史や、「子どもたちに病気やケガなく、元気に育ってほしい!」というお父さん・お母さんの深〜い愛情がぎっしり詰まっているのです。
今回は、知れば知るほど心が温かくなる七五三のひみつを、一緒に探っていきましょう!
俺、5歳のときに着た黒い袴がすげーかっこよくて、まるで侍になったみたいでテンション上がったのを覚えてるぜ!でも、なんで3歳や5歳や7歳にお祝いするのかは全然知らなかったな。
ふふ、はるとは昔から元気いっぱいだったものね。私は7歳のときにきれいな赤い着物を着せてもらって、ちょっぴり大人になれた気がして嬉しかったわ。七五三の理由を知ると、もっと感動するのよ!
なぜ「3歳・5歳・7歳」にお祝いするの?
七五三のいちばん大きなナゾは、なんといっても「3歳」「5歳」「7歳」という年齢ですよね。「どうして4歳や6歳じゃダメなの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
この理由を解き明かすには、今から何百年も昔の日本にタイムスリップしてみる必要があります。
昔は「7歳までは神の子」と呼ばれていた!?
いまの日本は、風邪をひいたりケガをしたりしても、すぐに病院へ行って優しいお医者さんに診てもらえますよね。あたたかいお風呂に入り、栄養たっぷりのご飯を毎日食べることができます。
しかし、平安時代や江戸時代などの大昔は、医療やお薬が発達しておらず、衛生環境もよくありませんでした。そのため、小さな子どもが重い病気にかかってしまい、命を落としてしまうことがとても多かったのです。
昔の人々にとって、子どもが無事に成長することは、いま以上に奇跡のようにありがたく、大変なことでした。
そのため昔は、「子どもは7歳を迎えるまでは、神様からの授かりもの(神の子)」と考えられていました。7歳になってようやく、「この子は無事にこの世に根づき、人間の仲間入りができた!」と安心してお祝いできたのです。
そこで昔の人たちは、子どもが無事に大きくなれるように、年齢の節目ごとに特別な儀式を行って神様に祈りを捧げました。それが七五三のルーツです。
年齢ごとにちがう!成長のあかしとなる3つの儀式
七五三でお祝いする「3歳」「5歳」「7歳」には、それぞれ昔から受け継がれてきた特別な儀式と意味があります。
STEP 1
【3歳】髪を伸ばし始める「髪置」
大昔の日本では、病気の予防や衛生のために、赤ちゃんのころは頭の毛をきれいに剃る習慣がありました。そして3歳になると、病気の危険を乗り越えたお祝いとして、いよいよ髪を伸ばし始めました。男の子も女の子も、ここから「赤ちゃん」を卒業して一歩成長したのです!
STEP 2
【5歳】男の子が少年の仲間入り「袴着」
5歳の男の子が、初めて大人の男性の正装である「袴」を身につける儀式です。碁盤(ごばん:囲碁を打つ台)の上に立って袴をはく風習もあり、「大地の上にしっかりと立ち、立派な少年に育ちますように」という願いが込められていました。いまで言う「大人の階段を1段ジャンプしてのぼる」台座のようなものですね!
STEP 3
【7歳】女の子が大人の帯を結ぶ「帯解」
子どものころの着物は、簡単な付けひもで結んで着ていました。しかし7歳になると、ひもを外して大人と同じ幅の広い「帯」を初めて締めるようになりました。これで女の子は、一人前の小さな女性として認められたのです!
このように、七五三の数字はどれも「子どもが無事に成長して、大人の階段を一歩ずつのぼった証」をお祝いする大切な節目だったのですね。
昔は大人になるまで育つのがそんなに大変だったのか……。「7歳までは神の子」って言葉の重みがよく分かったぜ。昔の子どもたちも、袴を着たときは俺みたいに誇らしい気持ちになったのかな!
そうね。看護師を目指している私にとっても、命を守ることがどれほど尊いことか深く考えさせられるわ。昔のお父さんやお母さんは、本当に毎日祈るような気持ちで子どもを育てていたのね。
なぜ「千歳飴」を食べるの?
七五三の楽しみといえば、何といってもあの長〜い「千歳飴」ですよね!
細長くて、赤と白のきれいな飴が入っていて、持ち手のついた紙袋には鶴や亀、松竹梅の絵が描かれています。「甘くておいしいけれど、どうして普通の飴じゃなくて、あんなに長いの?」と思ったことはありませんか?
「千歳」は「1000歳」!長生きを願う縁起のいい飴
「千歳」という言葉には、文字どおり「千歳=1000歳(千年)」という意味があります。
つまり千歳飴には、「1000歳まで長生きできるくらい、病気もせずにずっと元気に育ちますように!」という、親から子への温かい願いが込められているのです。
千歳飴は、水飴と砂糖をじっくり煮詰めて、職人さんが手で長〜く引っ張って伸ばして作られます。引っ張るとどこまでも長く伸びることから、「細く、長く、健康に命が続きますように(延命長寿)」という縁起のいい意味が込められました。
袋や色にも「おめでたいサイン」がぎっしり!
千歳飴の袋や見た目をじっくり観察してみると、日本の伝統的な「おめでたいシンボル」がたくさん見つかります。
- 紅白(赤と白)の色:日本では昔から、赤は「太陽や魔除け(悪いものを追い払う力)」、白は「純粋で清らかな心」を表す最高におめでたい色とされています。
- 鶴と亀:「鶴は千年、亀は万年」という有名なことわざがあるように、どちらも日本を代表する長生きのシンボルです。
- 松竹梅:冬の寒さの中でも青々と茂る「松」、どんな強風にも折れずにまっすぐ伸びる「竹」、春一番に美しい花を咲かせる「梅」。どれも強い生命力のあかしです。
飴の袋ひとつをとっても、「子どもが幸せに長生きできますように」という祈りがすみずみまで散りばめられているのですね。
Q. 千歳飴が長すぎて一度に食べきれないときはどうするの?
A. 折って少しずつ食べたり、家族みんなで分け合って食べてOK!昔から「家族で福を分け合う」として縁起がいいとされているよ。
1000歳まで長生きできるようにって意味だったのか!俺、飴を途中で折ったらバチが当たるんじゃないかってビクビクしてたけど、家族みんなで福を分け合えるなら、次からは堂々と折ってシェアするぜ!
ふふ、大きな飴をみんなで分けると、美味しさも楽しさも何倍にもなるわよね。鶴や亀、松竹梅まで描かれていて、昔の人の子どもを想う愛情の深さに胸がじんわりあたたかくなるわ。
神社にお参りする作法と「ありがとう」のこころ
七五三のお祝いでは、家族そろって神社へお参り(参拝)に行くのがならわしです。でも、「どうしてお寺や公園じゃなくて、神社に行くの?」と疑問に思ったことはありませんか?
なぜ神社に行くの?「氏神様」へのごあいさつ
私たちが暮らしている町や地域には、昔からその土地に住む人々を見守ってくれている神様がいると信じられてきました。この地域の守り神のことを「氏神様」と呼びます。
七五三で神社に行くのは、お願いごとをしに行くためだけではありません。いちばんの目的は、「神様、いつも見守ってくださってありがとうございます。おかげさまで、こんなに元気に大きくなりました!」と、感謝の気持ちをごあいさつしに行くためなのです。
小学生でもバッチリできる!神社のお参り作法
神社にお参りするときは、神様に失礼にならないように美しい作法を心がけたいですよね。基本のルールを覚えておけば、今日から誰でもスマートにお参りできますよ!
鳥居の前でペコリと一礼する
赤い鳥居は、神様がいらっしゃる神聖な場所への入り口です。「お邪魔します」という気持ちを込めて、くぐる前に軽くおじぎをしましょう。また、参道(歩く道)の真んなかは「正中」と呼ばれ、神様が通る道とされています。端っこの方を静かに歩くのが礼儀です。
手水舎で手と口を清める
お参りする前に、きれいな水で左手、右手、口の順に洗い流します。心と体の汚れを落として、きれいな気持ちでお参りするための準備です。
「二礼・二拍手・一礼(にれい・にはくしゅ・いちれい)」
神様のお社の前に立ったら、次の順番でお参りします。
- 深くおじぎを2回する(二礼)
- 胸の前で手を合わせ、パンパンと2回手をたたく(二拍手)
- 手を合わせたまま、心の中で「いつも見守ってくれてありがとうございます」と感謝を伝える
- 最後にもう一度、深くおじぎを1回する(一礼)
神様にお参りするときは、「ゲームが欲しい」「サッカーが上手くなりたい」とお願いする前に、まず「元気にここまで大きくなれました、ありがとうございます」と感謝を伝えることが何よりも大切です。
二礼二拍手一礼だな!サッカーの試合の前後にグラウンドへ一礼するのと同じで、心を込めて相手に感謝を伝える礼儀ってことだよな。次に神社へ行くときはバッチリ決めてみせるぜ!
ええ、とても立派な心がけよ!お願いごとばかり並べるのではなくて、まず「ありがとう」を伝える姿勢こそが、神様にとっても一番喜ばしいごあいさつになるはずだわ。
今日の七五三と家族のきずな
平安時代や江戸時代から始まった七五三ですが、時代が変わったいま、そのお祝いの仕方も少しずつ変化してきました。
現代の七五三:思い出を形に残すお祝い
いまの七五三では、神社にお参りするだけでなく、さまざまな楽しいイベントが用意されています。
- 写真スタジオでの記念撮影:きらびやかな着物やかっこいい袴、ドレスやタキシードを着て、プロのカメラマンに最高の笑顔を写真に残してもらいます。
- 家族みんなでのお食事会:遠くに住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんも集まって、「大きくなったね!」とお祝いしながら、みんなで美味しいごちそうを食べます。
時代とともに着る服や写真の撮り方は変わっても、「子どもの成長をみんなで心から喜ぶ」という温かい気持ちは、大昔から何ひとつ変わっていません。
「お祝いしてもらう日」から「ありがとうを伝える日」へ
小学生のみんなは、もう3歳や5歳、7歳の七五三を通り過ぎている人が多いかもしれませんね。
でも、七五三の意味を知ったいまだからこそ、気づいてほしいことがあります。それは、七五三は「自分が主役になってチヤホヤされるだけの日」ではないということです。
みんながここまで元気に大きくなれたのは、毎日美味しいご飯を作ってくれたり、熱が出たときに一晩中看病してくれたり、勉強やスポーツを応援してくれたお父さんやお母さん、家族の支えがあったからこそです。
だからこそ、七五三は「毎日大切に育ててくれて、本当にありがとう」と家族に感謝を伝える最高の日でもあるのです。
高学年になると、家族に素直に気持ちを伝えるのは少し恥ずかしいかもしれません。でも、「いつもありがとう」と言葉で伝えたり、小さな手紙を渡したりするだけで、お父さんやお母さんは涙が出るほど嬉しいはずですよ。
俺、七五三って「自分が主役でチヤホヤされる日」だと思ってたけど、毎日ご飯を作ってサッカーの送り迎えをしてくれるお父さんやお母さんに感謝する日でもあったんだな。ちょっと照れくさいけど、まずは今日の夕飯のとき、お母さんに「いつも美味しいご飯作ってくれてありがとう!」って言ってみるぜ!
ふふ、はるとがそんな言葉をかけてくれたら、お母さん絶対に感激して泣いちゃうわよ!七五三は、家族みんながお互いを大切に想い合って、あたたかい絆を深める素敵なチャンスなのね。
まとめ:命と成長への「ありがとう」のお祭り!
今回は、日本の伝統行事「七五三」の歴史や込められた願いについて詳しく解説しました。最後に、大事なポイントを振り返ってみましょう!
📝 今日のまとめノート
1
命の重みと感謝の歴史:昔は病気で育つのが難しかったため、「7歳までは神の子」として年齢の節目ごとに神様に命の無事を感謝した!
2
成長の3つのステップ:3歳は髪を伸ばす「髪置」、5歳は男の子が袴を着る「袴着」、7歳は女の子が大人の帯を結ぶ「帯解」という成長のあかし!
3
千歳飴に込められた願い:「千歳=1000歳」まで健康で長生きできるように、細く長く伸びる飴に長寿と幸福の祈りが込められている!
4
家族のきずなとありがとう:神社を守る氏神様や、毎日愛情を注いで育ててくれるお父さん・お母さんに「大きくなりました、ありがとう!」と感謝を伝える日!
🖍️ ✏️
七五三は、ただ着物を着てお菓子を食べるだけのイベントではありません。何百年もの昔から、人々が命の尊さをかみしめ、子どもの幸せを願い続けてきた、日本のあたたかい心のバトンなのです。
みなさんも次に神社の前を通ったときや、小さな子が七五三をお祝いしているのを見かけたときは、ぜひ家族への感謝の気持ちを思い出してみてくださいね!
七五三の歴史を知ったら、小さいころの自分がどれだけ大事に育てられてきたかがよーく分かったぜ!俺、これからもご飯をいっぱい食べて、サッカーの練習も宿題も全力で頑張って、もっともっと立派に成長してみせるぞ!
ふふ、宿題も入っているところが素晴らしいわね!命の尊さと家族のあたたかさを教えてくれる七五三の伝統、これからもずっとずっと大切に受け継いでいきましょうね。