小学生でもわかる!「雪(ゆき)」

雪

はじめに

冬のある朝、目が覚めてカーテンを開けたら……窓の外が一面の「銀世界」になっていて、思わず声が出たことはありませんか?

実は、ふだん私たちが傘をさしている冷たい雨も、もともとは空の上ではぜんぶ「雪」だったって知っていましたか?

いつも歩いている通学路や校庭、近くの公園がふわふわの真っ白いじゅうたんを敷きつめたようになっていて、寒さも忘れて外へ飛び出したくなりますよね。雪合戦をしたり、雪だるまを作ったり、誰も踏んでいないきれいな雪の上に足跡をつけたりするだけでも、胸がワクワクしてきます。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。

  • 「そもそも、雪はどうやって空から降ってくるの?」
  • 「雨や氷の粒と、なにが違うんだろう?」
  • 「手のひらに乗せてよく見ると、どうしてあんなにきれいな星や花の形をしているの?」
  • 「水や氷は透明なのに、どうして雪だけ真っ白に見えるの?」

実は、雪には目を見張るような自然の科学がたくさん隠されています。

今回は、知れば冬の景色をながめるのが何倍も面白くなる「雪のヒミツ」を、いっしょに解き明かしていきましょう!

はると
はると
朝起きて一面に雪が積もってると、めちゃくちゃテンション上がるよな!今日の放課後、校庭で雪上サッカーやる気満々だぞ!
ひまり
ひまり
ふふ、滑って転んで怪我しないように気をつけてね。ところで、雪って冷たいのにどうして空から降ってくるのかしら?一緒に調べてみましょう!

雪ってそもそも何?雨や氷と何が違うの?

冷たい雨がシトシト降る日と、ふわふわと雪が舞い散る日。どちらも空から落ちてくるものは同じ「水」なのに、どうしてこんなにも姿が違うのでしょうか?

雪のふるさと、それははるか上空にある雲の中です。

真冬の空高くにある雲の中は、マイナス10度からマイナス20度という猛烈な寒さの世界です。その雲の中にある目に見えない水蒸気(気体の水)が、空をただよう目に見えないチリやホコリを芯(核)にして、水滴にならずに直接「小さな氷の粒」へと変身します。これを科学用語で「昇華」と呼びます。

この小さな氷の粒が、まわりの水蒸気をどんどんくっつけて大きく成長したものが「雪の結晶」です。

実は、私たちが普段見ている「雨」の多くも、空の上では雪として生まれています!

地上に向かって落ちてくる途中で、気温が温かい(およそ0度以上)と、雪は途中で溶けて水滴になり「雨」として地上に降ってきます。一方、空から地上近くまでずっと気温が低いままだと、雪は一度も溶けることなく、そのままの姿でひらひらと地上に届くのです。

雨と雪のちがいをくらべてみよう!
雨
液体の水滴で、重さがあるからスーッと速く落ちてくる!
空の上で雪として生まれても、地上近くの気温が高いと途中で溶けて雨になる!
雪
空気の冷たい雲の中で生まれた、軽やかな氷の結晶!
地上までずっと気温が低いとき、溶けずにひらひら舞いながら届く!

ちなみに、氷の粒として降ってくる「雹」や「霰」は、積乱雲などの強い上昇気流によって雲の中で何度も吹き上げられ、氷の粒に水滴が何度もくっついて凍りついた、カチカチの固い氷の塊です。ふんわり空気をまとって優しく落ちてくる雪とは、生まれ方がまったく違うのですね。

はると
はると
えっ!普段降っている雨も、もともとは空の上で雪だったやつが多いのか!?途中で溶けて雨になるなんて知らなかったぜ!
ひまり
ひまり
そうなのよ。地上の気温がだいたい2度より低いと、途中で溶けずに雪のまま届くの。空からの冷たい贈り物ね。
空からふわふわと舞い降りる雪

雪の結晶はなぜ「きれいな六角形」になるの?

黒い手袋や濃い色のコートの上にふわりと舞い降りた雪を、虫眼鏡でじっくり観察したことはありますか?

そこには、息をのむほど美しい星のような形や、木の枝が広がったような幾何学模様が広がっています。そして驚くべきことに、どんな形の結晶であっても、必ず「6本の枝」や「六角形」をしています。五角形や八角形の雪の結晶は、自然界には絶対に存在しません。

いったいなぜ、雪の結晶はきれいな六角形になるのでしょうか?

その秘密は、水を作っている目に見えないほど極小の粒「水分子」の結びつき方にあります。

水分子は、1個の酸素と2個の水素がくっついてできています。この水分子たちが集まって凍るとき、もっとも安定して手をつなぐ角度が「約120度」と決まっているのです。

120度の角度で順番に手をつないでいくと、自然と蜂の巣やサッカーボールの模様のような「きれいな正六角形のリング」ができあがります。この六角形の骨組みが基本となって、まわりの水蒸気がどんどん手足のようにくっついて枝を伸ばしていくため、雪の結晶はかならず六角形になるのです。

雪は「空から届いた手紙」!
雪の結晶を日本で初めて本格的に研究し、世界で初めて人工的に雪を作ることに成功した科学者・中谷宇吉郎博士は、「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉を残しました。
結晶の形をじっくり観察すれば、「この雪が生まれた空の上は、どんな気温でどれくらい湿っていたのか」がすべて暗号のように読み解けるのです!

結晶が雲から地上まで落ちてくる数十分の間、通り抜ける空気の「温度」や「湿り気(水蒸気の多さ)」は刻一刻と変化します。

  • マイナス2度前後:平らな板のような六角形になりやすい
  • マイナス5度前後:細長い針や柱のような形になりやすい
  • マイナス15度前後:もっとも枝分かれが発達した、美しい星型や樹枝状になりやすい

落ちてくる途中でどんな空気をくぐり抜けてきたかによって、枝の伸び方がまったく変わります。そのため、「世界にひとつとして全く同じ形の雪の結晶はない」と言われているのです。

はると
はると
水分子の並び方で六角形になるなんて、まるでブロックの組み立てルールみたいだな!俺だけの特別な結晶を探してみたくなったぜ!
ひまり
ひまり
ふふ、素敵な着眼点ね!空の上の気温や湿度の変化がぜんぶ形に残るから「空からの手紙」って呼ばれているのよ。
顕微鏡で見た雪の六角形の結晶

水や氷は透明なのに、雪はなぜ「真っ白」なの?

冷凍庫で作る氷は透き通っていて、向こう側がすけて見えますよね。川や水道の水も、もちろん透明です。

それなのに、同じ水や氷からできている雪は、見渡すかぎり「まぶしいほどの純白」に見えます。手にとって温めると透明な水に戻るのに、どうして雪のかたまりはあんなに真っ白なのでしょうか?

その謎を解くカギは、太陽の光と「乱反射」という現象にあります。

普段私たちが浴びている太陽の光は、無色透明のように思えますが、実は虹の七色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)すべての光が均等に混ざり合っています。光には「すべての色が均等に混ざると、人間の目には白く見える」という特別なルールがあります。

ガラスや大きな氷のかたまりのように表面がつるつるして平らだと、光はそのまま通り抜ける(透過する)ため、透き通って見えます。

ところが、雪は非常に小さな結晶が無数に重なり合っていて、表面も凸凹で隙間だらけです。

太陽の光が雪に当たると、無数にある小さな氷の結晶の角やすき間で、光があらゆる方向へバラバラに跳ね返されます。これが「乱反射」です。赤も青も緑も、あらゆる色の光が四方八方に乱反射してぜんぶ混ざり合い、私たちの目に一斉に飛び込んでくるため、雪は真っ白に輝いて見えるのです。

Q. かき氷の氷を細かく削ると白っぽくなるのも同じ理由なの?
A. 大正解!大きな氷のかたまりは透明ですが、かき氷機で細かく削ると光がいろんな向きに跳ね返る(乱反射する)ので白く見えます。雪はかき氷よりもずっとミクロな氷の結晶が無数に集まっているので、いっそう鮮やかな真っ白に見えるんだよ。

身の回りを見てみると、ほかにも同じ現象がたくさんあります。

たとえば、透明なガラスのコップも、細かく砕いて粉末にすると真っ白な粉に見えます。海で砕ける「白い波しぶき」や、手を洗うときの「石けんの白い泡」も、ひとつひとつの粒や膜は透明なのに、無数の隙間で光が乱反射するから白く見えているのです。

はると
はると
なるほど!透明な氷の粒たちが、光を四方八方にパス回しして全部混ざるから白く見えるのか!めちゃくちゃ納得したぜ!
ひまり
ひまり
細かく砕かれたガラスや波しぶきと同じ原理なのよね。自然が見せてくれる光のイリュージョン、とっても面白いわ。
雪の結晶に当たって乱反射する太陽の光

雪は「天然の羽毛ぶとん」!?かまくらが暖かい理由

手で雪をぎゅっとにぎると、手のひらがジンジン痛くなるほど冷たいですよね。

ところが、雪国で作られる雪の部屋「かまくら」の中に入ると、外の凍えるような吹雪がウソのように「ポカポカ」と暖かく感じられます。昔から雪国の人々は、かまくらの中に明かりを灯し、火鉢でお餅を焼きながら暖をとってきました。

冷たい雪で囲まれた空間が、どうしてそんなに暖かいのでしょうか?

その秘密は、雪の中に隠された「大量の空気」にあります。

ふわふわの新雪(降りたての雪)の体積を調べると、なんと全体の「90%から95%」が空気です!冷たい氷の部分は、ほんの5%から10%しかありません。複雑な形をした結晶同士がふわっと重なり合うことで、たくさんの空気を中に抱え込んでいるのです。

実は「じっとして動かない空気」は、あらゆる物質の中でもトップクラスに「熱を伝えにくい(断熱性が高い)」という驚くべき性質を持っています。

冬に着るダウンジャケットや羽毛ぶとんが暖かいのも、鳥のふわふわした羽の間にたっぷりと空気の層を閉じ込めているからです。かまくらはまさに、雪で作った巨大な「天然のダウンジャケット」なのです。

かまくらは巨大な「氷のダウンジャケット」!
雪の結晶と結晶のあいだには、なんと全体の90%以上もの「空気」がぎっしり詰まっています。
ダウンジャケットや羽毛ぶとんが暖かいのと同じで、動かない空気の層が外の猛烈な寒さをシャットアウトし、中にいる人の体温を逃がさず閉じ込めてくれるのです!

かまくらの中が暖かいのには、3つの決定的な理由があります。

  1. すきま風を完全にブロック:分厚い雪の壁が、体感温度を一気に下げる外の冷たい強風を完全にシャットアウトしてくれる!
  2. 空気の断熱パワーで体温を逃がさない:雪の壁に含まれる90%以上の空気が熱の逃げ道をふさぎ、中にいる人の体温で部屋がじんわり温まる!
  3. 雪の壁が遠赤外線を跳ね返す:人間の体や火鉢から出る熱を雪の壁が内側に反射するため、魔法瓶のように熱が保たれる!

この「雪の断熱効果」は、雪国で暮らす生き物たちにとっても大切な命のシェルターになっています。

外の気温がマイナス10度やマイナス20度まで下がる極寒の日でも、深い雪の下の地面近くは、空気のお布団のおかげで常に「0度前後」に保たれます。雪の下でじっと寒さをやり過ごす植物の芽や、冬眠中のカエルや昆虫たちは、雪というあたたかい羽毛ぶとんに包まれて凍えずに冬を越しているのです。

はると
はると
雪が90%も空気を含んでるなんて知らなかったぜ!冷たい雪が、生き物たちを寒さから守るお布団になってるなんて大自然の知恵ってすげーな!
ひまり
ひまり
かまくらの中が暖かいのも、しっかりとした科学の理由があるのね。冬の厳しい寒さに耐えて春を待つ命のたくましさ、私も見習いたいわ。
雪遊びを楽しむ子どもたち

まとめ

📝 今日のまとめノート
1 雪の正体:雲の中で水蒸気が凍った氷の結晶!地上までずっと気温が低いと、溶けずにひらひら舞い降りてくる!
2 六角形のヒミツ:水分子が凍るときに手をつなぐ角度が120度と決まっているため、自然と美しい正六角形になる!
3 真っ白に見える理由:無数の結晶の角やすき間で太陽の七色の光が跳ね返る「乱反射」によって、すべての色が混ざって白く見える!
4 かまくらが暖かい理由:ふわふわの雪は90%以上が空気!熱を逃がさない「天然の羽毛ぶとん」として寒さを防いでくれる!
🖍️ ✏️

普段何気なく見ていた雪も、科学の目で見つめ直してみると、分子の形や光の跳ね返り、大自然の断熱システムなど、驚くようなヒミツがたくさん詰まっていましたね。

今年の冬に雪が降ったら、ぜひ冷たい雪を手のひらや黒い服の上にそっと乗せて、虫眼鏡で「空から届いた手紙」をじっくり観察してみてください。世界にひとつしかない、あなただけの奇跡の結晶に出会えるかもしれませんよ!

はると
はると
雪の科学、めちゃくちゃ面白かったな!今度雪が降ったら、雪合戦する前にじっくり結晶の形を観察してみるぞ!
ひまり
ひまり
ふふ、いい心がけね!でもその前に、たまっている宿題をしっかり終わらせておかないと、お母さんに雷を落とされちゃうわよ?
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