はじめに
体育の授業で50メートル走を力いっぱい走ったり、放課後にサッカーやドッジボールで思い切り走り回ったりしたあと、「うわーっ、足がパンパンで重い!」と感じたことはありませんか?
階段を上るのもやっとなくらい疲れて、「どうして足に力が入らないんだろう?」「筋肉ってどうやって動いているのかな?」と不思議に思ったことがある人も多いはずです。
私たちが走ったり、ボールを蹴ったり、友達とおしゃべりして大笑いしたりできるのは、体の中に張り巡らされたスーパーエンジンである筋肉があるおかげです。
でも、筋肉にはびっくりするような秘密がたくさん隠されています!
たとえば……教室の重いドアを手でグッと前に押し開けるとき、腕の筋肉はどう動いていると思いますか?
「手で前に押しているんだから、筋肉も前に押し出しているに決まってるじゃん!」と思ったそこのあなた。
実は……人間の筋肉は自分で「押す」ことが絶対にできません! 筋肉はギュッと縮んで「引っ張る」ことしかできないのです!
「ええっ!?押せないのに、どうやってドアを押したりボールを蹴り飛ばしたりしているの!?」と不思議に思いますよね。 さらに、私たちが夜ぐっすり眠っている間も、1秒も休まずに働き続けている超スーパー働き者の筋肉チームも体の中に隠れています。
今回は、知れば知るほど自分の体を動かすのが楽しくなる「筋肉のふしぎ」を、どこよりもわかりやすく解き明かしていきます!
Q. 筋肉って運動するとき以外も使っているの?
A. 大正解!実は、じっと座って教科書を読んでいるときも、心臓がドクドク動くときも、ずっと筋肉が働いて体を支えてくれているんだよ。
今日のサッカー練習でシュートを打ちまくったら、足がパンパンになっちゃったよ。俺の足の筋肉、今どんなことになってるんだ?
ふふ、たくさん走って頑張った証拠ね、はると。でもね、シュートを打つとき、足を前に力いっぱい押し出しているように見えるでしょ?実は筋肉って、絶対に「押す」ことはできないのよ!
ええっ!?押せない!?じゃあ俺はどうやってボールを前に蹴り飛ばしたんだ!?押せないのにシュートが打てるわけないじゃん!
ふふっ、その秘密はね、筋肉のチームワークにあるのよ。さっそく一緒に見てみよう!
「引っ張る」だけ!?筋肉と骨がペアで動く秘密
腕相撲で力いっぱい腕を曲げると、力こぶがカチカチに硬く盛り上がりますよね。反対に、腕をピーンと前に伸ばしてパンチを繰り出すこともできます。
このように腕を曲げたり伸ばしたりできるので、多くの人は「筋肉って、縮んだり押し戻したりできるんだな」と思いがちです。
ところが、ここに人体最大のびっくりポイントがあります。
なんと、筋肉は自分で「縮んで引っ張る」ことしかできず、「押し戻す」ことは絶対にできないのです!
筋肉はゴムと同じ!押しても力は出ない
筋肉の仕組みは「輪ゴム」によく似ています。
輪ゴムを指にひっかけてギュッと引っ張ると、強い力で元に戻ろうと縮みますよね。でも、ゆるんだ輪ゴムを手で押しても、ヘニャッと曲がるだけで何も押すことはできません。
筋肉もこれとまったく同じです。筋肉は自分の力でギュッと縮んで骨を「引っ張る」ことは得意ですが、縮んだ筋肉が自力でビヨーンと伸びて骨を「押し返す」力はゼロなのです。
では、一度曲げた腕はどうやって元に戻して伸ばしているのでしょうか?
その秘密は、骨を挟んで向かい合っている「表と裏のペア」にあります!
二人で綱引き!屈筋と伸筋のチームワーク
実は、私たちの体にある関節は、2つの筋肉がペアになって「綱引き」をすることで動いています。
腕を曲げるときは、腕の表側にある「力こぶの筋肉(上腕二頭筋)」がギュッと縮んで、腕の骨を上にグイッと引っ張り上げます。このとき、腕の裏側にある筋肉(上腕三頭筋)は、力を抜いてフワッとゆるんでいます。
反対に、腕を伸ばすときはどうなるでしょうか?
今度は力こぶの筋肉が力を抜いてお休みし、代わりに腕の裏側の筋肉がギュッと縮んで、骨を下へグイッと引っ張り戻します!
つまり、「前に腕を押し出す」ときも、実は腕の裏側の筋肉が骨を後ろへグイッと引っ張ることで、肘がピーンと伸びているのです。
このように、関節を曲げる筋肉を「屈筋」、伸ばす筋肉を「伸筋」と呼びます。
今すぐやってみよう!】腕の筋肉タッチ実験
1片方の手で、反対側の腕の「力こぶ」を触りながら、力いっぱい肘を曲げてみよう。力こぶがカチカチに硬くなるね!
2次に、机や太ももを手のひらで下にグッと押しつけながら、腕の「うら側(二の腕)」を触ってみよう。
3どう?今度は力こぶがフニャフニャで、腕のうら側の筋肉がカチカチに硬くなっているはず!
「押す」ときも、うら側の筋肉が全力で「引っ張って」肘を伸ばしてくれている証拠だよ!
表の
筋肉(
上腕二頭筋)がギュッと
縮んで
骨を
引っ
張る!
裏の
筋肉(
上腕三頭筋)はフワッと
力を
抜いて
伸びる!
裏の
筋肉(
上腕三頭筋)がギュッと
縮んで
骨を
引っ
張り
戻す!
表の
筋肉(
上腕二頭筋)はフワッと
力を
抜いて
伸びる!
体中のあらゆる関節――ひざ、足首、指の関節まで――すべてこの「表と裏の引っ張り合いペア」で動いています。
私たちが何気なく歩いたりボールを蹴ったりできるのは、何十もの筋肉ペアが一瞬の狂いもなく交代で引っ張り合ってくれているからなのです。
うわっ、本当だ!机をグッと押したら、力こぶじゃなくて裏側の筋肉がカチカチに硬くなった!裏側が引っ張るから肘が伸びて前に押せるんだな。綱引きみたいでめっちゃ面白いな!
ふふ、実感できたみたいね!お互いの筋肉がタイミングを合わせて譲り合っているからこそ、ボールを正確に蹴ったり、ペンを持ってきれいな文字を書いたりできるのよ。
24時間休みなし!?体の中の「3大筋肉チーム」
「筋肉」と聞くと、腕の力こぶや太もも、割れた腹筋などを思い浮かべますよね。
でも実は、人間の体には名前がついているものだけでも約400〜600個以上の筋肉があります!
そして、なんと体重の約4割(40%)を筋肉が占めています。体重が35kgの小学生なら、約14kgが筋肉の重さです。
さらに驚くべきことに、筋肉は体を動かすためだけにあるのではありません。体の中には、形も働きもまったく違う「3大筋肉チーム」が存在しています。
体の中で大活躍する3大筋肉チーム
手足や顔を自分の意志で動かす力持ちチーム!(動かすと疲れる)
24時間365日休まず血液を送り続ける心臓ポンプ!(絶対に休まない)
胃や腸で食べ物を自動で運ぶ内臓サポートチーム!(疲れを知らない)
この3つのチームを詳しく見ていきましょう!
自分の思い通りに動かせる!「骨格筋」
1つ目のチームは、骨にくっついて体を動かす「骨格筋」です。
走る、跳ぶ、ボールを投げる、さらには友達にニッコリ笑いかける表情まで、すべて骨格筋のお仕事です。
骨格筋の最大の特徴は、「自分の意志で自由に動かせること」です。脳から「右手を挙げろ!」「走れ!」と命令が送られると、その通りに瞬時に動いてくれます。このような筋肉を専門用語で「随意筋」と呼びます。
力持ちで素早く動けるスーパースターですが、全力で使い続けるとエネルギーが切れて疲れてしまう(疲労する)という弱点もあります。
命を守る24時間無休のポンプ!「心筋」
2つ目のチームは、心臓だけにある特別な筋肉「心筋」です。
胸の真んなかに手を当ててみてください。「トクン、トクン」と温かい鼓動が伝わってきますよね。これが心筋の力強い動きです。
心臓は、全身に酸素や栄養を乗せた血液を送り届けるスーパーポンプです。心筋は、私たちが授業を受けているときも、ゲームに夢中になっているときも、夜ぐっすり夢を見ているときも、1秒も休まず規則正しく縮んだり広がったりを繰り返しています。
小学生の心臓は1分間に約70〜90回、1日でなんと約10万回、一生では約30億回以上も拍動し続けます!
骨格筋ならすぐに疲れて動けなくなってしまいますが、心筋は生まれてから命が終わるその瞬間まで、何十年も一度もストップすることなく動き続けます。体の中でいちばんタフで頼もしい筋肉です。
お腹の中で自動運転!「平滑筋」
3つ目のチームは、胃や腸、血管などの内臓を作っている「平滑筋」です。
給食を食べたあと、「よーし、胃を動かして消化するぞ!」と念じる人はいませんよね。念じても胃を止めることも動かすこともできません。
平滑筋は、自分の意志では動かせない「不随意筋」です。自律神経という体の自動コントロールシステムが24時間見守っていて、勝手にベストな動きをしてくれます。
ご飯を食べると、胃や腸の平滑筋がミミズのようにウネウネと波打つ動き(ぜん動運動)を始めます。この動きによって、食べ物を細かくすりつぶしながら奥へ奥へと運び、栄養をしっかり吸収してくれるのです。
骨格筋のように素早く強い力は出せませんが、疲れ知らずでじわじわと長時間働き続けるのが得意なチームです。
明日学校で話したくなる!筋肉のびっくりトリビア3選
① 体の中で「一番力持ち」な筋肉はどこ?
➔ 実はアゴの筋肉(咬筋)!奥歯でギュッと噛みしめるとき、自分の体重と同じくらいの力(小学生でも約30〜40kg、大人なら約60kg以上!)を出すことができるよ。
② 体の中で「一番スピードが速い」筋肉はどこ?
➔ 目を開け閉めする「まばたきの筋肉(眼輪筋)」!1回のまばたきにかかる時間はたったの約0.1秒。1秒間に何回も動かせる世界最速の筋肉だよ。
③ 「笑顔」と「怒った顔」、筋肉が疲れるのはどっち?
➔ 実は「怒った顔」!ニッコリ笑うときに使う筋肉は約15個だけど、眉間にシワを寄せて怒るときは約40個以上の筋肉を使うんだ。いつも笑っているほうが、筋肉にとっても省エネなんだね!
心臓が一生で30億回も動くなんて、どんなプロサッカー選手よりタフだな!それに怒った顔のほうが筋肉をいっぱい使うなら、毎日思いっきり笑ってたほうが筋肉にもエコじゃん!
ふふ、看護の勉強でも「笑うことは体にいい」って習うのよ。はるともいつも笑顔でいれば、体中の筋肉も喜ぶかもね!
筋肉痛は強くなる合図!?「超回復」のひみつ
運動会の次の日や、久しぶりに激しい練習をした次の日、「うわっ、足や腕が痛くて階段を降りられない!」と叫びたくなったことはありませんか?
このズキズキする筋肉痛、できればなりたくないイヤな痛みだと思っていませんか?
実は、筋肉痛はあなたの筋肉が以前より強くなろうとしている「変身のサイン」なのです!
筋肉痛の正体は「ミクロの傷」
筋肉を細かく分解していくと、髪の毛よりもずっと細い糸のような細胞がたくさん束になっています。これを「筋繊維」と呼びます。
激しいダッシュをしたり重いものを持ち上げたりすると、この筋繊維に目に見えないほどの小さなミクロの傷ができます。
傷がつくと、体は「大変だ!すぐに修理しなきゃ!」と修復部隊を集めます。この修理のときに起こる炎症が神経を刺激して、「痛い!」と感じるのが筋肉痛の正体です。
決して筋肉が壊れてダメになってしまったわけではないので、安心してくださいね。
ピンチをチャンスに変える「超回復」のパワー
ここからが体のすごいところです!
私たちの体は、傷ついた筋繊維をただ元の太さに戻すだけではありません。
「こんなに激しい運動をさせられたのか!次また同じ運動をしても傷つかないように、前よりも少し太く頑丈に作り直しておこう!」と、以前よりも強い筋肉へとパワーアップして修復するのです。
この仕組みを、科学の世界で「超回復」と呼びます!
筋トレやスポーツを続けると体がたくましくなって足が速くなるのは、この「傷つく ➔ 前より強く修復される(超回復)」というサイクルを何度も繰り返しているからなのです。
STEP 1
運動で筋繊維にミクロの傷がつく
思い切り走ったりボールを蹴ったりして筋肉を使うと、筋繊維に細かな傷がつきます。これが筋肉がパワーアップするための最初の合図です!
STEP 2
栄養(タンパク質)を補給して材料を届ける
お肉や魚、卵、大豆製品などの「タンパク質」を食べると、傷ついた筋肉を直すための新しい材料が体に届きます。
STEP 3
しっかり眠って太く頑丈に治す(超回復!)
ぐっすり眠っている間に「成長ホルモン」がたくさん出て、以前よりも太くて強い筋肉へと生まれ変わります!
強い筋肉を育てる「3つの黄金習慣」
超回復を上手に起こして、かっこよくて強い筋肉を育てるためには、欠かせない3つの黄金習慣があります。
楽しくしっかり体を動かす(刺激)
筋肉に「もっと強くなって!」というサインを送るために、外遊びやスポーツでしっかり体を動かしましょう。ただし、激しすぎる毎日の運動は筋肉を疲れさせすぎてしまうので、適度に休む日を作ることも大切です。
タンパク質をしっかり食べる(栄養)
筋肉の材料になるのは「タンパク質」という栄養素です。給食に出てくる牛乳、お肉、お魚、卵、納豆や豆腐などの大豆製品にたっぷり含まれています。家を建てるときに木材やレンガが必要なように、筋肉を太くするためにはタンパク質が絶対に欠かせません。
夜はぐっすり眠る(休養と修復)
筋肉が実際に修復されて強くなるのは、運動しているときではなく「寝ている間」です!深い眠りに入ると、脳から「成長ホルモン」というスーパー修理液が分泌され、傷ついた筋繊維を一気に修復してくれます。「寝る子は育つ」というのは、筋肉にとっても科学的に大正解なのです。
Q. 筋肉痛のときはもっと運動したほうがいいの?
A. 無理は禁物!筋肉痛があるときは、体が一生懸命筋肉を修理してパワーアップさせている真っ最中。痛みが引くまでしっかり休んで、おいしいご飯を食べて眠るのが、いちばん早く強くなるコツだよ。
筋肉痛って、俺の筋肉がパワーアップして変身している真っ最中だったんだな!今日の晩ご飯のカレーには、タンパク質たっぷりのチキンを大盛りで入れてもらうぞ!
いい心がけね、はると!でも、早く治したいからって暴飲暴食はダメよ。夜更かししないでぐっすり眠ることも忘れないでね。
まとめ
私たちの体を力強く、そして思い通りに動かしてくれる筋肉。最後に、今日学んだ大切なポイントを振り返ってみましょう!
📝 今日のまとめノート
1
筋肉は「引っ張る」ことしかできない!:自分で押し戻す力はないため、骨を挟んだ表と裏の筋肉が交代で綱引きをして体を動かしている。
2
体の中には「3大筋肉チーム」がいる!:思い通りに動かせる「骨格筋」、24時間休まず動く心臓ポンプ「心筋」、食べ物を運ぶ内臓の「平滑筋」が命を支えている。
3
筋肉痛は成長のサイン「超回復」!:運動でついたミクロの傷は、タンパク質とたっぷりな睡眠によって、以前より太く頑丈に生まれ変わる。
🖍️ ✏️
筋肉は使えば使うほど、そして正しく休ませて栄養を与えるほど、あなたの期待に応えて強くたくましく育ってくれます。
サッカーで速く走りたい人も、ダンスを上手に踊りたい人も、元気に毎日を過ごしたい人も、今日から「運動・タンパク質・ぐっすり睡眠」を意識して、体の中の筋肉たちを大切に育ててあげてくださいね!
筋肉の仕組み、めっちゃよく分かったよ!筋肉をしっかり休ませて超回復させるために、今日の宿題はササッと終わらせて、夜はぐっすり10時間寝ることにするよ!
あら、今日は宿題を後回しにしないのね、えらいわ!しっかり食べてぐっすり眠って、明日のサッカーでもかっこいいシュートを決めてね!
おう!俺の超回復した筋肉のキック、楽しみにしててくれよな!
ええ、楽しみにしてるわ!怪我をしないように準備運動も忘れずにね!
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