はじめに
冬の寒い季節になると、学校の朝の会で「隣のクラスが学級閉鎖になったらしいよ!」という話を聞くことがありますよね。
「えっ、次は俺たちのクラスも休みになるかな!?」と一瞬ワクワクしたことがある人もいるかもしれません。でも、絶対に油断できないのが「インフルエンザ」です。
インフルエンザは、鼻水が少し出るくらいのふつうの風邪とは比べものにならないほど強力です。突然38度以上の高熱が出て、頭やお腹、手足の関節までズキズキ痛くなり、ベッドから起き上がることすらできなくなってしまいます。
「そもそも、インフルエンザとふつうの風邪って何が違うの?」 「ウイルスって生き物なの? どうやって体の中で増えるの?」 「どうして冬になると、あんなに猛スピードで大流行するの?」
そんな気になる疑問をスッキリ解決していきましょう! ウイルスが体の中で仕掛けてくる秘密の作戦から、絶対に負けないための鉄壁の予防法まで、分かりやすく楽しく解説します!
隣のクラスが学級閉鎖って聞いたとき、一瞬「学校が休みになってゲームし放題じゃん!」って喜んじゃったけど……去年インフルにかかったときのつらさを思い出してゾッとしたよ。関節がギシギシ痛くて、ゲームどころか起き上がるのも無理だったんだよな。
ふふ、本当につらいものね。インフルエンザは普通の風邪とはウイルスの強さも体の暴れ方も全然違うのよ。相手の正体や増える仕組みをしっかり知っておけば、正しく体を守ることができるわ。はると、一緒にウイルスのひみつを勉強しましょう!
インフルエンザとふつうの「風邪」って何がちがうの?
「のどがイガイガするな」「ちょっと鼻水が出てきたかも……」と、だんだん調子が悪くなっていくのがふつうの風邪(風邪症候群)です。熱が出ても37度台の微熱ですむことが多く、数日あたたかくして寝ていれば自然と元気になります。
ところが、インフルエンザは登場の仕方がまるで違います!
「朝は元気に登校したのに、給食のあと急にブルブル震えるほどの寒気がした」 「夕方にはあっという間に38度〜39度を超える高熱が出てフラフラになった」
このように、ものすごいスピードで急激に悪化するのが最大の特徴です。さらに、のどや鼻だけでなく、頭痛や腰の痛み、手足の関節痛など、全身が重いハンマーで叩かれたように痛くなります。
原因となるウイルスもまったくの別物です。ふつうの風邪はいろいろな種類のウイルスがのどや鼻の表面でちょっかいを出すだけですが、インフルエンザは「インフルエンザウイルス」という強力な親玉が体中に大混乱を巻き起こします。
実は、あのつらい高熱や関節痛は、ウイルスの攻撃だけでなく「あなたの体の免疫パトロール隊」が全力で戦っている証拠でもあります。「敵が強すぎる! 体温を一気に上げてウイルスを焼き払え!」と緊急サイレンを鳴らして総力戦を挑んでいるため、全身に激しい反応が出るのです。
熱の
上がり
方:ゆっくり(37
度前後の
微熱が
多い)
主な
症状:のどの
痛み、
鼻水、くしゃみ、せき
つらさの
場所:のどや
鼻など、
首から
上が
中心
全身のだるさ:
軽めで、
少し
休めば
動けることが
多い
熱の
上がり
方:
突然ドカンと38℃〜40℃の
高熱!
主な
症状:
激しい
寒気、
関節痛、
筋肉痛、
強い
頭痛
つらさの
場所:
全身の
関節や
筋肉がギシギシ
痛む
全身のだるさ:ものすごく
重く、ベッドから
起き
上がれない
そうそう! 俺が去年かかったときも、朝はサッカーの練習に行けたのに、夕方には急に熱が39度まで上がって立てなくなったんだよな。あれは体の免疫チームがウイルスを焼き払おうと全力で戦っていたのか!
そうなのよ。急激に熱が上がって全身が痛くなるのがインフルエンザのサインなの。体の中で大バトルが起きているから、無理をして学校に行こうとせず、すぐにお医者さんに診てもらうことが大切よ。
ウイルスはどうやって体に侵入してふえるの?
大暴れするインフルエンザウイルスですが、そもそも「ウイルス」とは一体どんな正体なのでしょうか?
実は、ウイルスは人間や動物、さらにはカビや細菌(バクテリア)のような「生き物」ではありません。
生き物なら自分でご飯を食べてエネルギーを作り、自分で子どもや仲間を増やすことができますよね。しかしウイルスは、ご飯も食べなければ息もせず、一人では仲間を増やすことすらできません。持っているのは、自分をコピーするための「設計図」と、それを包むトゲトゲの殻だけです。
では、どうやって体の中で爆発的に増えるのでしょうか? その秘密は、人間の細胞の「乗っ取り(ハイジャック)」にあります!
STEP 1
のどや鼻の粘膜にトゲでドッキング!
誰かの咳やくしゃみのしぶき(飛沫)に乗ってウイルスがやってきます。ウイルスの表面にあるトゲトゲが、のどや気道の細胞にある「鍵穴(受容体)」にピタッと合体して、細胞の部屋の中にスルリと侵入します。
STEP 2
細胞の部屋を乗っ取り「ウイルス増殖工場」に改造!
細胞に入り込んだウイルスは、自分の殻を脱ぎ捨てて「設計図」を取り出します。そして細胞が持っている材料や機械を勝手に使い、「俺のコピーを大量に作れ!」と命令して、人間の細胞をウイルスの増殖工場に作り変えてしまうのです。
STEP 3
わずか24時間で1個から100万個へ大爆発!
工場となった細胞の中で新しいウイルスが次々と組み立てられます。完成すると細胞をバリバリと破壊して外へ飛び出し、となりの細胞を次々に襲います。なんと、たった1個のウイルスが24時間後には約100万個にまで大爆発するのです!
わずか1個のウイルスが、たった1日で100万個に増えるなんて信じられますか? 学校の教室にたった1個入ってきた敵が、次の日には東京ドームを満員にする観客(約5万人)の20倍もの数に膨れ上がるようなものです。
この凄まじいスピードで体中の細胞を乗っ取っていくからこそ、体は「今すぐ止めないと命が危ない!」と判断し、急激な高熱を出して迎え撃つのです。
1個が24時間で100万個ってどんなスーパー増殖だよ! しかも自分の力じゃなくて、俺たちの細胞を勝手に工場にして乗っ取るなんて、ずる賢いにもほどがあるじゃん!
ふふ、本当に恐ろしい作戦よね。ウイルスは自分ひとりでは何もできないからこそ、私たちの細胞に入り込もうと必死なの。だから、細胞のドアを開けさせないように水際で防ぐことが何よりも大事なのよ。
なぜ冬になると大流行するの?乾燥と寒さのひみつ
春や夏にはあまり耳にしないインフルエンザですが、どうして12月〜2月頃の真冬になると、毎年決まったように大流行するのでしょうか?
「寒いと体が冷えて風邪を引きやすいから」だけではありません。 実は、冬の気候には「ウイルスにとって最高の天国」であり、同時に「人間の体にとっては最大のピンチ」になる2つの秘密が隠されているのです。
ひみつ①:寒くて乾燥した空気は、ウイルスが長生きしてフワフワ飛べる!
インフルエンザウイルスは「寒さ」と「乾燥」が大好きです。
湿気がたっぷりで暖かい夏場は、咳やくしゃみで飛び散ったウイルスのしぶき(飛沫)にたくさんの水分が含まれているため、重さですぐに地面へボトッと落ちてしまいます。さらに、水分が多いとウイルスのトゲトゲ膜が壊れやすくなり、すぐに力を失います。
ところが、空気がカラカラに乾いている冬は、飛び出したしぶきの水分が一瞬で蒸発します! すると超軽量の「ウイルスの粒」に変身し、空気中をフワフワと何メートルも長い時間漂い続けます。軽くなったウイルスが空中を泳ぎ回るため、遠くにいる人まで吸い込みやすくなってしまうのです。
ひみつ②:のどの防御バリア「線毛」がカラカラで動かない!
人間ののどや気道の内側には、侵入してきたウイルスやホコリを外へ追い出すための「線毛」というミクロの毛がびっしり生えています。
この線毛は、まるで工場のベルトコンベアのように絶え間なく波打っており、粘液と一緒に悪い敵をのどの奥から口の方へと押し戻しています。普段は無意識のうちに痰やツバとしてウイルスを体の外へ吐き出しているのです。
しかし、冬の冷たく乾燥した空気を吸い続けると、のどの粘膜がカラカラに乾いてしまいます。すると、ベルトコンベアである線毛の動きがピタッと鈍くなり、バリア機能がストップしてしまいます!
つまり冬は、「敵(ウイルス)が軽くなって空中を飛び回り、長生きする」一方で、「味方(のどの線毛バリア)が乾燥で動かなくなる」というダブルパンチが起きるため、爆発的に感染が広がってしまうのです。
なるほど! 冬になると敵は軽くなってフワフワ飛んでくるのに、こっちののどのベルトコンベアは乾燥で動かなくなっちゃうのか。まさにウイルスの大好物がそろった季節なんだな。
その通りよ! だから冬の季節は、部屋を加湿して空気中の水分を増やしてあげることが大切なの。湿度を上げればウイルスは床に落ちるし、私たちののどの線毛も元気に働けるようになるのよ。
ウイルスをブロック!インフルエンザ予防大作戦
どれほど強力なインフルエンザウイルスでも、弱点や侵入ルートが分かれば怖くありません! 今日から学校やお家ですぐにできる「3つの鉄壁防御作戦」をマスターしましょう。
作戦①:石けんで20秒!手のひら・指先の手洗い
インフルエンザの多くは、ウイルスがついたドアノブや電車のつり革、机などを手で触り、その手で無意識に目や鼻、口を触ることで体の中に入り込みます(接触感染)。
ウイルスの外側にあるトゲトゲの殻は、実は「脂」でできています。お皿の油汚れを洗剤で落とすのと同じように、石けんの泡はこの脂の殻をバラバラに破壊してウイルスをやっつける最強の武器になります!
水でサッと濡らすだけでは効果がありません。手のひら、手の甲、指の間、爪の間、手首まで、石けんをしっかり泡立てて20秒以上ゴシゴシ洗いましょう。「ハッピーバースデー」の歌を心の中で2回歌うくらいの長さが目安です。
作戦②:部屋の湿度を50〜60%にキープ&空気の入れ替え!
ウイルスの大敵は「湿度」です。加湿器をつけたり、濡らしたタオルを部屋の中に干したりして、部屋の湿度を50〜60%に保ちましょう。
空気が潤うとウイルスは重くなって床に落ち、のどの線毛バリアもウルウルになって元気に働いてくれます。また、休み時間には窓を2か所開けて空気の通り道を作り、部屋に漂うウイルスを外へ追い出す「換気」も忘れずに行いましょう。
作戦③:ワクチン注射で「免疫パトロール隊」の特訓試合!
秋から冬になると、病院でインフルエンザの予防接種(注射)を受けますよね。「チクッとして痛いから嫌だな……」と思う人も多いはずです。
でも、あの注射の中に入っているのは、病気を起こす力を完全に失わせた「ウイルスの安全な抜け殻(かけら)」です。
体にこのかけらを見せることで、血液の中の免疫チームに「見ておけ! これが今年の冬にやってくる敵の顔だ! 戦い方を練習しておけ!」と事前の特訓試合(シミュレーション)をさせているのです。あらかじめ敵の特徴を覚えた免疫チームは、もし本物のウイルスが体に入ってきても、爆発的に増える前に素早く撃退できるようになります。
Q. 注射を打ったのにインフルエンザにかかることがあるのはなぜ?
A. ワクチンは「絶対に跳ね返す無敵の盾」ではなく、免疫チームにあらかじめ敵の戦い方を教える「特訓試合」なんだ。特訓のおかげで、もし体の中に本物が入ってきても、ウイルスが100万個に増える前に素早く退治できるから、重い高熱が出にくくなったり、早く治ったりするんだよ!
注射って痛いから大嫌いだったけど、俺の体の中の免疫チームが敵と戦うための「練習試合」だったのか! サッカーだって練習試合で相手のフォーメーションを研究しておかないと本番で勝てないもんな。そう思えば注射も我慢できるぜ!
ふふ、サッカーにたとえるなんてはるとらしいわね! 事前に敵の顔をインプットしておくから、いざというときに素早くゴール(勝利)を決められるのよ。手洗いと換気も毎日セットで続けて、ウイルスを絶対に寄せ付けないようにしましょうね!
まとめ
冬になると猛威を振るうインフルエンザ。相手がどれほど強力でも、仕組みを知っていれば正しく防ぐことができます。
📝 今日のまとめノート
1
インフルエンザは突然38℃以上の高熱や関節痛がドカンと襲ってくる全身の病気!
2
ウイルスは人間の細胞をハイジャックして、たった24時間で100万個に大爆発する!
3
冬の乾燥と寒さでウイルスが元気になり、のどの線毛バリアが弱まるから大流行する!
4
石けん手洗い・湿度50〜60%キープ・ワクチン特訓の「3大作戦」で体を守ろう!
🖍️ ✏️
インフルエンザがどうやって増えるのか、なぜ冬に流行るのかがよーく分かったぞ! 帰ったらすぐ指先や手首までしっかり20秒手洗いして、部屋も加湿するぜ! 今年の冬は絶対にインフルにかからないで、元気にサッカーの試合に出るぞ!
ふふ、頼もしいわね! 外から帰ったら手洗いうがいをして、温かいご飯を食べてぐっすり眠ることも大切なバリアになるわ。みんなで鉄壁の予防作戦を続けて、寒い冬を元気に笑顔で乗り越えましょうね!
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