小学生でもわかる!「磁力(じりょく)」

磁力

はじめに

キミの筆箱のフタを「パチン!」と閉じる力と、地球を宇宙の危険から守る巨大なエネルギーシールドが、実は【まったく同じ力】だって知っていましたか?

冷蔵庫のドアにお気に入りのプリントをペタッと貼るマグネット。筆箱のフタを閉じるときに吸い寄せられるフタ。学校のホワイトボードに貼られたカラフルな丸い磁石。

私たちの身の回りには、たくさんの「磁石」がありますよね。

でも、ちょっと不思議に思ったことはありませんか? 磁石を鉄のクリップやハサミに近づけると、まだ手で触れてもいないのに、スーッと吸い寄せられるようにくっつきます。まるで見えない透明な手が引っ張っているかのような、不思議な感覚が手から伝わってきますよね。

この「磁石がモノを引きつけたり、反発して押し戻したりする目に見えない力」のことを、科学の世界では【磁力】と呼びます。

実はこの磁力、ただ冷蔵庫に紙を貼るためだけのおもちゃのような力ではありません。 毎日使っているスマートフォンやゲーム機、時速500km以上で宙に浮いて疾走する未来の新幹線、さらには私たちの住む「地球そのもの」を宇宙の危険から守る巨大シールドまで、世界中でとんでもない大活躍をしているのです!

目には見えないけれど、世界を動かしている磁力のひみつを、一緒に楽しく解き明かしていきましょう!

はると
はると
筆箱のフタがパチンと閉まるの、超気持ちいいよな!でも、触ってもいないのに吸い寄せられるなんて、やっぱり不思議だよな。
ひまり
ひまり
ふふ、目に見えないけれど確かにそこにある力、それが「磁力」なのよ。実は身の回りだけじゃなくて、地球全体を守るとってもスケールの大きな力なの。一緒に調べてみましょう!

磁石の基本ルール!引き合う・退け合う力

理科の実験で使う「棒磁石」を見たことがありますか?赤と青の2色に塗り分けられていて、端っこに「N」と「S」のアルファベットが書かれていますよね。

磁石には必ず、北を指す「N極(エヌきょく)」と、南を指す「S極(エスきょく)」という2つの端っこがあります。どんなに小さな磁石でも、真ん中でポキッと半分に折っても、新しくできた破片にまたN極とS極が生まれます。絶対に片方だけの極になることはありません。

そして、磁石には絶対に破られない「2つの鉄則ルール」があります。

  1. 違う極どうし(N極とS極)は、仲良くギュッと「引き合う」!
  2. 同じ極どうし(N極とN極、S極とS極)は、激しくツンツンと「退け合う(反発する)」!

同じ極どうしを正面から無理やりくっつけようとすると、まるで硬い見えない空気のクッションを押し込んでいるように、ググッと押し戻される強い抵抗を感じますよね。

では、なぜ磁石は触れてもいないのに力を及ぼし合えるのでしょうか? 磁石のまわりには、目には見えませんが「磁界」と呼ばれる磁力の空間が広がっています。 磁石の上に透明な下敷きを置き、その上に細かな「砂鉄」をパラパラとまいて軽くトントンと叩くと…なんと、N極から出てS極へと吸い込まれていくような、無数の美しい縞模様が浮かび上がります!

この砂鉄が描く線のことを「磁力線」といいます。目には見えないけれど、磁石のまわりには磁力線のネットワークが張り巡らされていて、お互いを引き寄せたり押し返したりしているのです。

引き合う力(引力)
違う極どうし(N極とS極)を近づけたときに働く!
見えないゴムひもで引っ張り合うようにギュッとくっつく!
退け合う力(反発力)
同じ極どうし(N極とN極、S極とS極)を近づけたときに働く!
見えない硬いバネを押し合っているように強く弾き返す!
はると
はると
同じ極どうしを近づけたときの手ごたえ、すげー面白いよな!いくら力いっぱい押し込んでも、ツルッと横に逃げちゃうんだよな。
ひまり
ひまり
そうね!その「退け合う力」があるからこそ、反発する力を利用してすごい乗り物を作ることができるのよ。でもその前に、磁石と電気のびっくりする関係を見てみましょう!
N極とS極のまわりに広がる美しい磁力線のループ

電気と合体!「電磁石」のすごい仕組み

普通のマグネットは、一度磁石になったらずっと磁石のままです。鉄をくっつける力はずっと消えません(これを永久磁石といいます)。 しかし科学者たちは、驚くべき大発見をしました。なんと「電気を流すことで、磁石のパワーを自由自在に生み出したり消したりできる」という仕組みです。

これを【電磁石】と呼びます。小学校5年生の理科の授業でも実験する大人気テーマです。

作り方はとてもシンプルです。鉄のクギや棒に、細い銅線(エナメル線)をぐるぐると何十回、何百回もきれいに巻きつけます。これを「コイル」と呼びます。 そのコイルに乾電池をつないで電気(電流)を流すと…なんと!ただの鉄のクギだったものが、突然クリップを何十個もバチバチと引きつける強力な磁石に大変身するのです!

電磁石には、普通の磁石には真似できない「3つのスーパー特徴」があります。

  1. スイッチ1つでON/OFFできる:電気を流せば磁石になり、スイッチを切ればパッとただの鉄に戻る。
  2. 強さを自由に変えられる:巻き数を増やしたり、電気を強く流せば、車を持ち上げるほど超強力になる。
  3. 極を簡単にひっくり返せる:乾電池の向き(プラスとマイナス)を逆にすると、N極とS極の向きが瞬時に入れ替わる。

この「電気でコントロールできる磁石」は、私たちの生活のあらゆるところで使われています。 たとえば、リサイクル工場や製鉄所で働く「電磁石クレーン」です。巨大な円盤の電磁石をクレーンで吊るし、鉄くずの山に下ろしてスイッチをON!すると、何トンもの重い鉄くずが一瞬でバチバチッと吸い付きます。トラックの荷台の上まで運んだら、スイッチをOFFにするだけで、ドサドサッと鉄くずを一気に落とすことができます。もし普通の磁石だったら、手で引っ張って外すことなんて到底できませんよね。

さらに、クルクル回る「モーター」や、スマホやテレビから音を出す「スピーカー」、ゲームのコントローラーをブルブル震わせる仕組みも、すべてこの電磁石がミリ秒単位で磁力を切り替えているからこそ動いているのです。

STEP 1 鉄の芯に導線をぐるぐる巻く!
鉄のクギや棒のまわりに、エナメル線を何重にもきれいに巻きつけてコイルを作ります。
STEP 2 スイッチONで電気が流れる!
乾電池をつないで電気を流すと、導線のまわりに磁力が生まれ、鉄の芯が強力な磁石に変身します!
STEP 3 スイッチOFFでパッと元通り!
電気の流れをストップすると磁力も一瞬で消えるため、くっついていた鉄を自由自在に離せます!
はると
はると
電磁石クレーン、テレビで見たことあるぞ!重い鉄くずを山ほど持ち上げて、スイッチひとつでドサッと離すの、めちゃくちゃかっこいいよな!
ひまり
ひまり
ええ!普通の磁石じゃあんなことできないものね。スイッチのON/OFFだけで磁力を操れるからこそ、ゲーム機のモーターやスピーカーにも欠かせないのよ。
導線を巻いて電気を通すと磁石になる電磁石の仕組み
▲ 導線を巻いて電気を通すと磁石になる電磁石の仕組み(出典: Wikimedia Commons)

地球が巨大な磁石!?見えない宇宙バリア

山登りやキャンプで使う「方位磁針(コンパス)」。箱をどんなにぐるぐる回しても、赤い針はいつでもピタッと「北」を指しますよね。 でも、なぜコンパスの針は、誰にも教えられていないのに正確に北がわかるのでしょうか?

答えは壮大です。なんと、私たちが暮らす「地球そのもの」が、宇宙に浮かぶ超巨大な磁石だからです!

地球の表面から何千キロも深い地下の中心部(外核)には、ドロドロに溶けた超高温の鉄やニッケルが存在しています。地球が自転して回転するのに合わせて、この液体金属が激しくグルグルと対流し、巨大な発電機のように電気と磁力を生み出しています(これを地磁気といいます)。

地球の北極付近には「S極」の性質があり、南極付近には「N極」の性質があります。磁石の基本ルールは「違う極どうしが引き合う」でしたよね。だから、方位磁針のN極(赤い針)は、北にある地球のS極に引き寄せられて、必ず北を指すのです!

そして、地球が磁石であることの最大の恩恵は、方角がわかることだけではありません。 実は、地球の磁力は「宇宙の危険から全人類を守る最強のバリア」なのです!

宇宙からは、太陽が吹き出す「太陽風」という超高速のプラズマ粒子や、危険な放射線(宇宙線)がものすごい勢いで地球に向かって降り注いでいます。もし地球に磁力がなかったら、大気や海は宇宙へ吹き飛ばされ、地上の生き物は強烈な放射線を浴びて生き残ることができませんでした。かつて海があったとされる火星がカラカラに干からびてしまったのも、火星の磁場が消えて太陽風に大気を剥ぎ取られてしまったからだと考えられています。

地球のまわりには、地球の磁力線が幾重にも張り巡らされた巨大なシールド(磁気圏)があります。このシールドが、太陽風をカキーンと弾き返して宇宙へそらしてくれているのです。 そして、シールドに受け止められた粒子のほんの一部が北極や南極の空へと導かれ、大気の粒とぶつかってエメラルドグリーンに美しく輝く現象――それこそが、みんなの知っている「オーロラ」の正体なのです!

地球を守る「見えないエネルギーシールド」!
地球の磁場は、SF映画に出てくる宇宙船の防護バリアそのもの!太陽から飛んでくる危険な放射線の嵐をカキーンと弾き返し、地上のすべての命を24時間体制で守り続けてくれているのです!
はると
はると
北極なのに磁石のS極だなんて、ちょっと頭がこんがらがりそうだったけど、違う極が引き合うからなんだな!しかも宇宙からの攻撃を弾き返すシールドを張ってるなんて、まるでゲームの伝説の盾みたいでワクワクするな!
ひまり
ひまり
ふふ、「北(North)だからN極」って思っちゃうけれど、コンパスのNを引きつけるのはS極ですものね!綺麗なオーロラも、地球の磁力バリアが命を守ってくれているサインなのよ。目に見えない磁力のおかげで、私たちは安全に暮らせているのね。
地球のまわりを取り囲む見えない磁気バリアが太陽風をブロックしている様子

磁力で宙に浮く!?リニアモーターカー

地球を守る巨大な磁力から、今度は人間のテクノロジーが生み出した最先端のスーパーマシンに目を向けてみましょう。 それが、日本が世界に誇る夢の超特急「超電導リニア(リニア中央新幹線)」です!

普通の新幹線の最高スピードは時速300km前後ですが、リニアモーターカーはなんと時速500km以上というケタ違いのスピードで走ります。東京から名古屋までを、わずか40分ほどで結んでしまう計画です。プロサッカー選手の蹴る強烈なシュート(時速約120km)の4倍以上もの超ハイスピードです!

なぜ、そんなとんでもないスピードが出せるのでしょうか? 最大の秘密は、「磁石の力で空中に浮いて走るから」です!

普通の電車は、鉄の車輪が鉄のレールの上をガラガラとこすれ合いながら走ります。スピードを出そうとすればするほど、車輪とレールの摩擦(こすれ合う抵抗)やガタガタした振動が激しくなり、スピードに限界が来てしまいます。

そこでリニアモーターカーは、磁石の基本ルールを徹底的に活用しました。 車両の底にある超電導磁石と、専用の線路(ガイドウェイ)に埋め込まれた磁石の「同じ極どうしが退け合う(反発する)力」を使って、重い車体を約10センチメートルもふわりと空中に浮かせます。

地面から完全に浮き上がっているため、線路との摩擦はゼロ!ガタつきも一切ありません。 さらに、前に進む推進力にも磁力を使っています。線路の側面の磁石の極をコンピュータで高速にパッパッと切り替え、車両の前からは「引き合う力」で引っ張り、後ろからは「退け合う力」でグイッと強く押し出します。

「退け合う力で浮き、引き合う力と退け合う力で進む」。 磁石の性質を極限まで研ぎ澄ましたからこそ、宙に浮いて時速500kmで疾走する夢の乗り物が実現したのです!

Q. どうしてリニアはタイヤで走る新幹線より圧倒的に速いの?
A. 車体を磁力で約10cm浮かせることで、地面との「摩擦(こすれる抵抗)」をゼロにしているからだよ!さらに前後の磁力で引っ張り&押し出すダブルの推進力で、時速500kmの超スピードを実現しているんだ。
はると
はると
地面から10センチも浮いて走るなんて、空飛ぶ絨毯みたいだな!時速500kmの世界、俺も一度でいいから乗って体感してみたい!
ひまり
ひまり
レールとこすれないから、揺れも少なくて乗り心地も最高なのよね。小さなマグネットの反発力が、こんな未来のハイテク乗り物を生み出すなんて、科学の力って本当にすごいわね!
時速500kmで宙に浮いて疾走する超電導リニアL0系
▲ 時速500kmで宙に浮いて疾走する超電導リニアL0系(出典: Wikimedia Commons)

まとめ

📝 今日のまとめノート
1 磁石にはN極とS極があり、違う極は「引き合い」、同じ極は「退け合う」!
2 電気を流すと磁石になる「電磁石」は、スイッチ1つでON/OFFできる便利な仕組み!
3 私たちが暮らす地球も巨大な磁石!宇宙からの危険な放射線を弾くバリアを張っている!
4 磁力で宙に浮く「リニアモーターカー」は、地面との摩擦をゼロにして時速500kmで疾走する!
🖍️ ✏️
はると
はると
磁石って、最初は冷蔵庫にプリントを貼るくらいしか知らなかったけど、地球を守ってたり時速500kmで浮いて走ったり、めちゃくちゃかっこいいパワーだったんだな!
ひまり
ひまり
ええ!目には見えないけれど、私たちの暮らしも命も、磁力のふしぎな力に支えられているのよね。はると、理科の授業で磁石の実験をするときも、この仕組みを思い出してみてね!
はると
はると
おう!次の理科の実験が待ちきれないぞ!磁石の反発力みたいに、苦手の宿題もパーンと一瞬で吹き飛ばして片付けちゃうぞ!
ひまり
ひまり
ふふ、宿題は吹き飛ばすんじゃなくて、引き合う力で机にピタッとくっついて集中しなきゃダメよ。終わったら一緒に美味しいカレーライスを食べに行きましょうね!
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