はじめに
みんなは、中学校を卒業したあとの自分の進路について考えたことがありますか?
「中学を卒業したら、みんな当たり前のように高校へ進学するんじゃないの?」と思っている人がほとんどかもしれません。実際に、日本では中学生の95パーセント以上の人が全日制や定時制の高校へと進みます。
でも実は、中学校を卒業した15歳から入れる「まったく別のすごい学校」があることを知っていますか?
その学校の名前は、「高等専門学校」。 みんなからは親しみを込めて「高専」と呼ばれています。
高専は、ロボットを作ったり、最先端のプログラミングを学んだり、新しい材料を開発したりして、10代のうちから「ものづくりのプロフェッショナル(技術者)」を目指せる特別な学校です。
「高校とは何が違うの?」 「どんな勉強をするの?」 「卒業したあとはどんな仕事ができるの?」
今回は、知ると進路の夢がぐんと広がる「高専」のひみつを、小学生のみんなにもわかりやすく解説していきます!
高校以外にも進路があるなんて知らなかったぞ!俺、てっきりみんな当たり前に高校へ行くものだと思ってたんだよな。
ふふ、そう思うわよね。でも高専は、15歳からものづくりや科学技術のプロを目指せる特別な学校なのよ。どんな秘密があるのか一緒に見てみましょう!
高等専門学校(高専)ってどんな学校?
15歳から始まる「5年間」の一貫教育
普通の高校と高専の一番大きな違いは、学校に通う「年数」です。
普通の高校は「3年間」通って卒業しますよね。その後、もっと勉強したい人は大学(4年間)や短期大学(2年間)に進学します。
一方、高専は中学校を卒業した15歳から、なんと「5年間」通います!(※船の航海士などを育てる商船高専という学校は5年半通います)。 高校の3年間と、短期大学や大学の最初の2年間分をひとつにドッキングした学校なのです。
高専の大きなメリットは、「高校生が経験する大学受験がないこと」です。 普通の高校生は、高校2年生や3年生になると、大学に合格するために毎日夜遅くまで受験勉強に追われます。 しかし高専生は、高校受験のあとに大学受験を挟むことなく、5年間ずっと自分の大好きな科学や技術の研究、部活動、ものづくりにじっくり没頭できるのです。
まるで小さな大学!自由で本格的なキャンパス
高専は名前に「学校」とついていますが、文部科学省のルールでは大学と同じ「高等教育機関」というグループに分類されています。そのため、学校の雰囲気も高校というより「大学」にとても近いです。
- 私服で通える学校が多い:高校のような決まった制服がなく、私服や動きやすい作業着で通学できる高専がたくさんあります。
- 先生は大学の教授レベル:授業を教えてくれる先生の多くは、それぞれの専門分野で最先端の研究をしている本格的な研究者です。
- 本物の大型機械や実験装置がある:工場で使われるような金属を削る巨大な工作機械、高度な化学実験装置、スーパーコンピューターなど、普通の高校には絶対にない本格的な設備がそろっています。
国語や
英語など
幅広い
科目を
勉強し、
大学受験を
目指す!
3
年間で
卒業し、
多くの
人が
大学や
短期大学へ
進学する!
校則や
制服があり、
高校生らしい
部活動や
学校行事を
楽しむ!
高専(5年間一貫教育)
15
歳からロボットやITなど
専門分野を
徹底的に
学ぶ!
5
年間通うため
高校卒業と
短大卒レベルの
技術を
一度に
身につける!
実験室や
大学レベルの
設備があり、
私服で
通える
学校も
多い!
5年間通うから高校生の大変な大学受験がないのか!それなら大好きなことにずっと熱中できて最高じゃん!
ふふ、受験勉強に追われないのは魅力的よね。でもその分、5年間かけてしっかり専門的な勉強を積み重ねていく真剣さが必要なのよ。
▲ 工学を学ぶ学生たちの実験室の実物写真(出典: Wikimedia Commons)
何を勉強するの?ものづくりのプロを育てる授業
実験と実習が中心!手を動かして学ぶ毎日
普通の小学校や中学校、高校の勉強は、教科書を読んで先生の話を聞き、ノートにまとめる「座学」が中心ですよね。
しかし高専の授業は、「実験」や「実習」がとても多いのが最大の特徴です。 教室で数学や物理の計算方法を習ったら、次の時間には実験室に行って、実際に機械を動かしたり、材料を引っ張って強度を測ったりします。「頭で覚えるだけでなく、自分の手と体を動かして納得する」という学び方を大切にしているのです。
どんな分野があるの?代表的な4つのコース
高専では、自分の興味に合わせて専門の学科(コース)を選びます。全国の高専には主に次のような分野があります。
- 機械・材料系:自動車、飛行機、ロケット、産業用ロボットなどの設計や、壊れにくく軽い金属やプラスチックの開発を学びます。
- 電気・電子系:スマートフォンの中に入っている電子回路や半導体、発電所から電気を家庭に届けるエネルギーの仕組みを学びます。
- 情報・IT系:AI(人工知能)、アプリやゲームの開発、プログラミング言語、インターネットのセキュリティ技術を学びます。
- 建築・土木・環境系:地震に強い高層ビルや美しい橋の設計、街づくり、環境にやさしいバイオテクノロジーを学びます。
熱気あふれる「ロボコン」と「プロコン」!
高専といえば有名なのが、全国の仲間と腕を競い合うコンテストです!
特に毎年テレビでも全国放送される「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」は大人気です。自分たちで設計し、部品を削り出し、プログラミングしたオリジナルロボットを持ち寄り、決められたルールの中で対決します。
また、社会の困りごとを解決するアプリやシステムを開発して競い合う「高専プロコン(プログラミングコンテスト)」や、デザインや建築の腕を競う「デザコン」など、学生が主役になれる輝かしい舞台がたくさん用意されています。
ロボコンってテレビで見たことあるぜ!学生たちが作った巨大なロボットが自動で動いてて、めちゃくちゃかっこよかったんだよな!
そうね!自分で図面を引いて、部品を加工して、プログラミングまで全部こなすのよ。大人のエンジニア顔負けの技術力には本当に驚かされるわ。
卒業したあとはどうなるの?就職も大学編入もすごい!
5年間の学びを終えて20歳になった高専生は、社会からどのように評価されるのでしょうか? 実は、高専の卒業生は「世の中から引っ張りだこの超人気者」なのです!
進路は大きく分けて「就職」と「進学」の2つがあります。
就職ルート:企業の取り合い!?求人倍率10倍以上の圧倒的人気
高専を卒業してすぐに働きたい人の就職率は、ほぼ100パーセントです。 さらに驚くべきなのは、企業から届く求人の数です。
多くの高専では、生徒1人に対して10社から20社以上の企業から「ぜひうちの会社に来てください!」というオファーが集まります。これを「求人倍率10倍〜20倍」と呼びます。 日本を代表する自動車メーカー、電気・通信会社、鉄道会社、大手IT企業など、誰もが知っている有名企業にエンジニアとして就職できるチャンスが非常に高いのです。企業側も「高専で5年間みっちり手を動かしてきた生徒は、大学の卒業生以上に即戦力として活躍してくれる!」と高く評価しています。
進学ルート:名門大学の「3年生」へジャンプ!
「もっと勉強して研究を続けたい!」という人は、大学へ進む道を選びます。
普通の高校生が大学に入るときは「1年生」からスタートしますが、高専の卒業生は大学の「3年生」として途中から入学(編入学)できます! しかも、全国の高校生が一斉に受ける大変な一般入試(大学入学共通テストなど)を受ける必要はありません。高専で学んだ数学や専門科目、英語、面接などの試験でチャレンジできます。
そのため、東京大学、京都大学、東京科学大学(旧・東京工業大学)、大阪大学、東北大学といった、日本トップクラスの難関国立大学に編入学する先輩たちが毎年大勢います。 また、高専の中にさらに2年間通う「専攻科」というコースもあり、そこを修了すれば大学卒業と同じ資格(学士)が得られ、大学院へ直接進学することもできます。
STEP 1
企業への就職:求人倍率は10倍以上!引っ張りだこの人気
高専で5年間学んだ卒業生は、会社にとって頼もしい「即戦力」です。大手自動車メーカーや電機メーカー、IT企業などからたくさんの求人が集まり、生徒1人に対して10社以上の選択肢があるほど大人気です!
STEP 2
有名大学への編入:共通テストなしで「大学3年生」へジャンプ!
もっと研究を深めたい人は、東京大学や京都大学などの難関国立大学の「3年生」へ直接進学(編入学)できます。高校生が受ける共通テストなどの大変な大学入試を受けずに、専門分野の力を活かして名門大学へ進むチャンスがあります!
生徒1人に対して10社以上も「うちに来てくれ!」って頼まれるのか!?サッカーでいったら、強豪チームからスカウトが殺到してるような状態じゃん!すげー!
ふふ、その例え分かりやすいわね!しかも、東大や京大みたいな名門大学の3年生に途中から入れるなんて、進路の可能性がすごく広がっているわ。
どんな人が向いている?高専を目指すときのポイント
こんな人はぴったり!高専に向いているタイプ
高専はとてもユニークで魅力的な学校ですが、すべての小学生に向いているわけではありません。特に次のような特徴がある人にはぴったりの学校です!
- プラモデルやブロックトイ、工作で物を作るのが大好きな人
- パソコンを触ったり、ゲーム作りのプログラミングに夢中になれる人
- 「機械がどうやって動いているのか」中身を分解して知りたくなる人
- 理科の実験や算数の図形・計算パズルが好きな人
- 好きなことを見つけると何時間でも集中して続けられる人
「勉強させられる」のではなく、「自分で作ってみたい!仕組みを知りたい!」という知的好奇心にあふれている人にとって、高専は毎日がワクワクの連続になるはずです。
勉強は本格的!知っておくべき大変なところ
一方で、高専を目指すなら知っておくべき「大変な一面」もあります。
高専で学ぶ数学や物理、専門科目は大学レベルの内容を含むため、授業のスピードが速く、内容はとても本格的です。 また、実験のあとには長い「実験レポート」を書いて提出しなければなりません。
もし提出物をサボったり、テストで赤点ばかり取って単位を落としてしまうと、普通の高校よりも厳しく「留年(もう一度同じ学年をやり直すこと)」になってしまいます。「自由な校風」だからこそ、自分自身で計画を立てて勉強する自立心が求められるのです。
Q. 数学や理科が得意じゃないと高専に入れないの?
A. 一番大切なのは「ものづくりが好き!」「機械の動く仕組みを知りたい!」という強い好奇心です。高専では基礎からしっかり教えてくれるので、今のうちから工作やパズルを楽しんで、少しずつ得意にしていけば大丈夫ですよ!
俺、好きなことなら何時間でも夢中になれるけど、宿題をサボって留年しないようにだけは気をつけないとな…!でもプログラミングにはワクワクするぞ!
ふふ、今のうちから毎日の宿題をコツコツ終わらせる習慣をつけておけば心配ないわよ。何かに夢中になれる強い好奇心は、最高の才能なんだから!
まとめ
📝 今日のまとめノート
1
5年間のプロフェッショナル教育:中学卒業後から5年間かけて、ロボットやITなどの専門技術を基礎から徹底的に学ぶ!
2
実験と実習が中心:教科書だけでなく、本物の工作機械やプログラミングを使って実践的なものづくりを体験する!
3
進路がとても有利:就職率はほぼ100%で企業から引っ張りだこ。有名国立大学の3年生へ編入するルートもある!
4
好きをとことん極める学校:工作やゲーム作り、実験が大好きな人にとって、将来の夢を叶える最高のステージ!
🖍️ ✏️
高校だけじゃなくて高専っていうすごい道があるのを知って、未来のワクワクがぐんと広がったぜ!俺も今日の宿題をパパッと終わらせて、ものづくりに挑戦してみるぞ!
ふふ、その意気よ、はると!中学生になるまでに自分の「好き」や「得意」をたくさん見つけて、自分にぴったりの進路を選べるように準備していきましょうね!