はじめに
天気がいい日の夜、空をじっと見上げていると、星の間を「スーッ」と静かに、一直線に横切っていく不思議な光を見たことはないかな?
「あれ? 飛行機かな? それとも流れ星?」
実はその光の正体、遠くの星でも流れ星でもないんだ。地球のはるか上空を回っている、人間がつくった巨大な宇宙の基地、「国際宇宙ステーション(通称:ISS=アイエスエス)」なんだよ!
特別な望遠鏡なんていらないよ。天気が良ければ、君の家のベランダや学校の校庭から、自分の肉眼でハッキリと見えるんだ!
しかも驚くことに、あの光の中には、本物の宇宙飛行士たちが今この瞬間も乗っていて、ご飯を食べたり、寝袋で眠ったり、世界中の人々の役に立つすごい実験をしたりして暮らしているんだ。
「宇宙に浮かぶ基地って、どれくらい大きいの?」 「重力がない宇宙で、どうやってトイレに行ったりご飯を食べたりしているの?」 「宇宙でどんな実験をしているの?」
今回は、そんな国際宇宙ステーションの秘密を、小学生のみんなにもわかりやすくたっぷり紹介するよ!
夜空を動く光の正体が、本物の人間が乗ってる巨大基地だったなんてワクワクするよな!俺も宇宙へ行ってみたいぜ!
ふふ、はるとは本当に宇宙のお話が好きね。でも、宇宙ステーションで暮らすにはたくさんの工夫や厳しい訓練が必要なのよ。どんな秘密があるのか一緒に見てみましょう!
ISSってどんなところ?夜空を飛ぶ巨大基地!
国際宇宙ステーション(ISS)は、地上から約400キロメートル離れた宇宙空間に浮かんでいるよ。400キロメートルというと、東京から大阪までの距離とだいたい同じくらいの上空なんだ。
まずは、みんなが一番気になる「大きさ」と「スピード」の秘密を見てみよう!
サッカー場がまるごと宇宙に浮かんでいる!?
ISSの写真をパッと見ると、大きな羽のような太陽電池パネルがたくさんついていて、まるで巨大なトンボや人工衛星のように見えるよね。
でも、その実際の大きさは想像以上! 端から端までの長さは約109メートル。なんと、みんなが大好きなサッカー場が1面まるまるすっぽり入ってしまうほどの大きさなんだ!
全体の重さも約420トンあって、大型ジャンボジェット機よりも重いんだよ。こんなに巨大な建物をどうやって宇宙に運んだのか不思議だよね。実は、ロケットで何十回にも分けて部品を宇宙へ運び、宇宙飛行士たちが宇宙服を着て、外でパーツをひとつずつ組み立てて完成させたんだ!
新幹線の100倍!地球を90分で1周する猛スピード
ISSのもうひとつのすごい特徴は、その「とんでもないスピード」なんだ。
宇宙空間に浮かんでいるISSは、地球の重力で引っ張られて落ちてこないように、ものすごい速さで地球のまわりを回り続けているよ。そのスピードは、なんと時速約2万8000キロメートル!
秒速に直すと、たったの1秒間で約8キロメートルも進んでしまうんだ。「いーち」と1秒数える間に、となりの駅や町をいくつも飛び越えて8km先まで一瞬でワープしちゃうような速さだよ! これは、地上を走る新幹線の最高速度(時速約300キロ)と比べると、およそ100倍という猛烈な速さなんだ。
最高スピード:
時速約300キロメートル!
東京から
大阪まで
約2
時間半かけて
走る!
地上のレールの
上を
安全に
走る
日本の
超特急!
宇宙を飛ぶISS(国際宇宙ステーション)
最高スピード:
時速約2
万8000キロメートル!(
新幹線の
約100
倍)
地球をたった90
分でまるごと1
周しちゃう!
1
日に
日の
出と
日の
入りが16
回も
見られる!
ISSはこの猛スピードのおかげで、たったの約90分で地球をまるまる1周してしまうんだ。
24時間(1日)の間に地球を約16周も回るから、ISSの中にいる宇宙飛行士たちは、1日に16回も「日の出」と「日の入り」を体験することになるよ。約45分ごとに昼と夜が入れ替わるなんて、なんだか不思議な感覚だよね!
世界15カ国が手をつないで作ったチームワーク!
ISSの「国際」という言葉には、世界中の国々が協力しているという意味が込められているよ。
日本、アメリカ、ロシア、カナダ、そしてヨーロッパの国々など、あわせて15カ国が力を合わせて建設し、今も一緒に動かしているんだ。
宇宙には国境がないから、言葉や文化が違う世界中の科学者や宇宙飛行士たちが、ひとつの大きなチームとして助け合いながら暮らしているんだよ。
サッカー場1面分の基地が新幹線の100倍のスピードで飛んでるのか!地球を90分で1周なんて、俺のサッカーの試合時間と同じじゃん!
ふふ、本当ね!サッカーの試合を1試合している間に地球をぐるっと回っちゃうなんてすごいスピードよね。世界中の国が協力しているところも素晴らしいわ。
▲ 地球のまわりを回る国際宇宙ステーション(ISS)
宇宙の暮らしってどんな感じ?ふしぎな無重力生活
ISSの中は、地上と違ってものが下に落ちない「微小重力」、いわゆる無重力の世界なんだ。
人間も物もプカプカと宙に浮かぶ世界での毎日は、地上とは全然違っていて驚くことばかりだよ!
水は丸いボール!ストローで吸って飲む
無重力の世界では、コップに水を注ぐことができないんだ。なぜなら、傾けても水が下に落ちてこないから!
もしコップから水が飛び出したら、水は空気中でまん丸な「水のボール」になってプカプカ浮かんでしまうんだよ。
水滴が機械の隙間に入り込むと故障の原因になって危ないから、宇宙飛行士たちは特別なパックに入った水を、ストローでちゅーっと吸って飲むんだ。スープやカレーなども、飛び散らないように粘り気のある特別なレトルト食品になっているよ。
Q. 宇宙で涙を流したらどうなるの?
A. 重力がない宇宙では、涙がほほをポロポロと流れ落ちないんだ!目の表面に表面張力で丸い水玉のようにたまっていって、放っておくと大きな膜になって前が見えなくなっちゃうんだよ。だから宇宙飛行士はタオルですぐに拭き取るんだ!
寝るときは「壁や天井」に寝袋を固定する!
夜になって眠るとき、宇宙には「ベッド」がないんだ。なぜなら、横になっても体が沈まないし、寝ている間に体がフワフワ浮いて壁にぶつかってしまうから!
そこで宇宙飛行士たちは、壁や天井にフックでしっかり固定した寝袋(シュラフ)に入って眠るんだよ。
「壁に立ったまま寝るの!?」「天井で寝るなんて苦しくないの?」と驚くかもしれないけれど、重力がない宇宙では「上」も「下」もないから、どの向きで寝てもフワフワ浮かんでいて最高の寝心地なんだって!
トイレは掃除機のように「空気で吸い込む」!
みんなが一番気になるのが「トイレ」だよね。宇宙では水で流すことができないから、地上のトイレとはまったく仕組みが違うんだ。
ISSのトイレは、まるで掃除機のように空気の力で「シュオーッ!」と吸い込む仕組みになっているよ。
飛び散らないように体にぴったりフィットするホースや便座を使って、空気と一緒に吸い取るんだ。
さらにすごいのは、宇宙では水がとても貴重だから、おしっこを高度な機械でろ過して、もう一度きれいで安全な飲み水にリサイクルして使っていることなんだよ!
「えーっ!? おしっこを飲むの!?」ってびっくりするかもしれないけれど、地上のどんな高級ミネラルウォーターよりもキレイにピッカピカにろ過されるから、匂いも味も全く普通の美味しいお水なんだ。宇宙のハイテク技術ってすごいよね!
毎日の「2時間の筋トレ」が日課!
フワフワ浮かべて楽しそうに見える無重力生活だけど、実は大変なこともあるんだ。
地球上では立っているだけでも足や背中の筋肉を使い、重力に耐えることで骨が丈夫に保たれているよね。でも、宇宙では力を入れなくてもフワフワ移動できるから、何もしないと筋肉がみるみる衰え、骨もスカスカになって弱くなってしまうんだ。
地球に帰ってきたときに自分の足で立てなくなってしまわないよう、宇宙飛行士たちは毎日約2時間、特別なランニングマシンや筋力トレーニングマシンを使って、しっかり汗を流すことが日課になっているよ!
壁や天井に固定して寝るなんて秘密基地みたいで面白いな!でも毎日2時間もトレーニングするなんて、俺のサッカー練習並みにハードなんだな!
無重力だと筋肉や骨が弱くなっちゃうから、健康を守るために毎日の運動は命に関わるほど大切なのよ。看護師を目指す私としても、宇宙での健康管理はすごく勉強になるわ。
▲ 船外活動をする宇宙飛行士
宇宙でどんな実験をしているの?日本も大活躍!
「どうして何千億円もかけて、わざわざ宇宙に基地を作ったの?」と思う人もいるかもしれないよね。
実は、ISSの一番の目的は「世界最先端の宇宙実験室」として科学の研究をすることなんだ! 地上では絶対にできない実験が、宇宙の無重力環境ならできちゃうんだよ。
病気を治す薬をつくる!超きれいな「結晶」の秘密
ISSで行われている実験の中でも、特に私たちの生活に深く関わっているのが「新しい薬の開発」なんだ。
病気の原因を突き止めたり、それを治す薬を作ったりするためには、体の中にある「タンパク質」という成分の形を詳しく調べる必要があるよ。そのためには、タンパク質をきれいに並べた「結晶」を作らなければならないんだ。
なぜ宇宙で薬の材料「タンパク質の結晶」を作るの?
地上で結晶を作ろうとすると、重力のせいで溶液の中に混ざりムラ(対流)ができたり、重いものが下に沈んだりして、結晶にゆがみができてしまいます。 でも、重力がない宇宙なら液体が静かに保たれるため、分子が均一に並んだ「超きれいな形の結晶」ができるのです! この美しい結晶を調べることで、病気を治す特効薬を作る設計図が手に入ります。
地上では作れないパーフェクトな結晶を宇宙で作ることで、今まで治すのが難しかった病気をやっつける新しい薬の研究が、今まさに大きく前進しているんだよ!
日本の実験棟「きぼう」と宇宙飛行士たちの活躍
ISSには、日本が開発したとっても大きな実験棟があるよ。その名前は「きぼう(JAXA)」!
「きぼう」はISSの中で最も大きな実験棟のひとつで、宇宙飛行士が服を着たまま作業できる部屋だけでなく、外に出て宇宙空間に直接実験器具をさらすテラスのような場所(船外実験プラットフォーム)や、ロボットアームまでついているんだ。
これまでにも若田光一さんや野口聡一さん、古川聡さんなど、たくさんの日本人宇宙飛行士が「きぼう」に長期滞在して、科学実験を行ったり、宇宙ステーションの船外活動(宇宙遊泳)をしたりして世界中から大絶賛されているよ!
さらに「きぼう」からは、まるで宇宙のピッチングマシーンのように、ロボットアームを使って超小型の人工衛星を宇宙空間へポンと打ち出すこともできるんだ。日本の高い技術力が、宇宙ステーションで大活躍しているんだね。
未来の「月探査」や「火星探査」への第一歩!
ISSで人間が長期間暮らして得られたデータは、これからの未来にとっても欠かせない宝物なんだ。
「人間が宇宙に長く滞在すると、体にどんな変化が起きるのか?」 「宇宙空間で水や空気をどうやって100%近くリサイクルし続けるか?」
こうした疑問を解決するための研究は、人類がふたたび月へ降り立ったり、さらに遠い火星へ探査に向かったりするための大きなステップになっているんだよ!
日本の「きぼう」にロボットアームまでついてるなんてかっこいいぜ!まるで宇宙のピッチングマシーンだな!病気を治す薬の研究をしてることも友達に自慢するぞ!
地上では作れない結晶を宇宙で作って、たくさんの病気の人を助ける薬ができるかもしれないなんて本当に素敵ね!未来の医療にもつながっているのね。
▲ 日本の実験棟「きぼう」と船外活動用ロボットアーム(写真提供:JAXA/NASA)
まとめ
地球のまわりを猛スピードで回り続ける巨大な有人実験室、国際宇宙ステーション(ISS)について紹介してきたよ!
最後に、今日学んだ大切なポイントをおさらいしよう!
📝 今日のまとめノート
1
サッカー場サイズの巨大基地:時速約2万8000キロ(新幹線の約100倍)の猛スピードで、地球をたった90分で1周する!
2
工夫がいっぱいの無重力生活:水は丸いボールになり、寝袋は壁や天井に固定!筋肉や骨を守るために毎日2時間の運動が日課!
3
未来をつくる宇宙実験:日本の実験棟「きぼう」などで新薬開発の研究が進み、月や火星探査へ向けた大切なステップになっている!
🖍️ ✏️
ISSは、今夜もみんなの頭の上を猛スピードで通り過ぎているかもしれないよ。 JAXAのホームページなどでは、「いつ、どの方角にISSが見えるか」という通過情報が公開されているんだ。
ぜひ晴れた日の夜には夜空を見上げて、宇宙飛行士たちが暮らす光のステーションを探してみてね!
今夜晴れたら、夜空を見上げてISSを探してみるぜ!あの中に宇宙飛行士が乗ってるって友達にも教えてあげようっと!
ふふ、見つけられたらきっと感動するわね!でも夜空を見に行く前に、今日の宿題をしっかり終わらせてからにしましょうね!
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