小学生でもわかる!「ブラームス」

ブラームス

はじめに

音楽室の後ろの壁にずらりと並んでいる、昔の音楽家たちの肖像画。 その中に、豊かな白いひげをたくわえ、眉間にキュッとシワを寄せて、こちらをじっと見つめている「あのおじさん」に見覚えはありませんか?

「なんだか難しそうな顔をしていて、怒っているのかな?」 「目が合うと怒鳴られそうで、ちょっと怖いかも……」

そんなふうに思ったことがある人も多いかもしれません。 その人の名前こそ、19世紀のドイツで大活躍した大作曲家、ヨハネス・ブラームスです。

バッハやベートーヴェンと並んで「ドイツの3大B」と称される、クラシック音楽界の超重要人物! しかし、肖像画のいかめしい見た目だけで「近寄りがたい気難しいおじいちゃん」だと思ったら大間違いです。

実はブラームス、若い頃の肖像画や写真を見ると、誰もが息をのむような金髪・碧眼の「超絶美少年」だったのです! それだけではありません。立派な白ひげを生やした晩年になっても、町を散歩するときにはいつもポケットに甘いキャンディを忍ばせ、子どもたちに出会うと笑顔で配っていたという、とびきり心優しいお茶目な一面を持っていました。

なぜブラームスは歴史に残る偉大な作曲家になれたのでしょうか? そして、なぜそんなに町の子どもたちを可愛がったのでしょうか?

今回は、音楽室の肖像画からは想像もつかないブラームスの「熱い情熱」と「知られざる素顔」を、楽しく分かりやすく紹介します!

はると
はると
音楽室の壁にいる、この白ひげのおじさんだな!いつも眉間にシワを寄せてて、ちょっと怖そうに見えるよな。
ひまり
ひまり
ふふ、確かに厳しそうな顔立ちよね。でも実は、若い頃は誰もが見とれる美少年で、心もとっても優しかったのよ!

なんで「3大B」って呼ばれているの?

クラシック音楽の歴史には、「ドイツの3大B(さんだいビー)」と呼ばれる特別な言葉があります。 これは、ドイツが生んだもっとも偉大な3人の作曲家の頭文字が、偶然にも全員「B」から始まっていることから名付けられました。

  1. バッハ(Bach):音楽のルールと土台を作った「音楽の父」
  2. ベートーヴェン(Beethoven):情熱と魂を音楽に注ぎ込んだ「楽聖」
  3. ブラームス(Brahms):伝統を美しく受け継ぎ、完璧な音楽を磨き上げた「最後の巨匠」

この並びを見ただけでも、ブラームスがどれほど凄い人物かが分かりますよね。 しかし、ブラームス本人にとって、大先輩であるベートーヴェンの存在は、憧れであると同時に「巨大すぎるプレッシャー」でした。

ブラームスが生きていた時代、ベートーヴェンが残した『交響曲第9番』(あの「歓喜の歌」で有名な曲)は、あまりにも完成度が高く、世界中の誰もが「これを超える交響曲なんて作れるわけがない」と絶望していました。 周りの音楽家たちからも、「ベートーヴェンの後を継ぐのは君だ!」と勝手に期待され、プレッシャーは最高潮に達します。

ブラームス自身、友人に宛てた手紙の中でこう語っています。 「私の後ろから、あの巨人がのっしのっしと歩いてくる足音が常に聞こえるんだ。そんなプレッシャーの中で交響曲を書く勇気が、君にあるかい?」

情熱と革新の巨人「ベートーヴェン」
音楽のルールをぶち破り、人間の感情やドラマを爆発させる新しい時代を切り拓いた!
『運命』や『第九』など、誰も聴いたことがない衝撃作を次々に生み出した!
伝統を守り抜く完璧主義者「ブラームス」
先輩たちが築いた美しいルールを大切に守り、職人のように完璧な音を磨き上げた!
「納得いくまで絶対に世に出さない」と、21年間も書き直して傑作を完成させた!

「中途半端な曲を作って、ベートーヴェンの名を汚すわけにはいかない」 そう考えたブラームスは、超がつくほどの完璧主義者になりました。書いては破り捨て、直してはまた悩む……。 なんと構想を始めてから21年もの歳月をかけて、ようやく1つの曲を完成させました。それが『交響曲第1番』です。

初演が行われると、世界中の音楽家たちが驚きの声を上げました。 「これは、ベートーヴェンが残した第9番に続く『第10番交響曲』だ!」 21年間、逃げずにこだわり抜いたブラームスの誠実な情熱が、クラシック音楽の歴史を動かした瞬間でした。

はると
はると
大先輩の足音におびえながら21年間も書き直したのか!俺がサッカーで憧れの先輩を意識しすぎてパス出せなくなるのとはケタ違いのプレッシャーだな……!
ひまり
ひまり
ふふ、はるとの緊張とは規模が違うわね。でも、途中で投げ出さずに最高の曲を完成させたブラームスの粘り強さは、本当に尊敬できるわ。
コンサートホールで壮大に響き渡るオーケストラの演奏
▲ コンサートホールで壮大に響き渡るオーケストラの演奏(出典: Wikimedia Commons)

絶対聴いたことがある!ブラームスの名曲たち

「ブラームス」という名前だけを聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実は小学生のみんなも、日常生活の中で絶対に彼のメロディを耳にしています。 ここでは、聴けば「あ、これ知ってる!」と誰もが笑顔になる超有名曲を2つ紹介します。

世界一あたたかい眠りのメロディ『ブラームスの子守歌』

「ねむれ〜 ねむれ〜 母の胸に〜」という歌詞でも親しまれている、世界で一番有名な子守歌です。 オルゴールや赤ちゃんの知育おもちゃ、テレビのCMなどでも定番中の定番メロディですよね。

実はこの曲、ブラームスが大親友の女性に男の子の赤ちゃんが生まれたお祝いとしてプレゼントした曲でした。 お母さんがゆりかごを静かに揺らしながら歌う姿を思い浮かべ、赤ちゃんが心地よくすやすや眠れるよう、シンプルで温かいメロディに仕上げられています。 友だちの家族を心からお祝いしたいという、ブラームスの優しいぬくもりがそのまま音になった名曲です。

運動会でおなじみの爆走チューン『ハンガリー舞曲 第5番』

「チャラララララ〜ン、ジャンジャン!」 このフレーズを聴いて、運動会の徒競走や、アニメのキャラクターが慌てて逃げ回るドタバタ劇を思い出す人は多いはずです!

この曲の最大の面白さは、「スピードとテンポが目まぐるしく変わるスリル」にあります。 最初はゆっくりと気取って始まったかと思えば、急にロケットのように猛スピードで走り出し、またピタッと止まりそうになったかと思えば、最後に大爆発!まるでジェットコースターに乗っているようなドキドキ感を味わえます。

ブラームスが若い頃、バイオリン奏者と一緒に演奏旅行に出かけた際、ハンガリーの旅芸人(ロマの音楽家たち)が奏でる情熱的な民族音楽を耳にして大感動し、「この素晴らしいリズムをオーケストラでみんなに届けたい!」とアレンジしたことで生まれました。

優しく包みこむ「ブラームスの子守歌」
友だちの赤ちゃんのために作った世界一あたたかいプレゼント!
ゆりかごが揺れるような穏やかなリズムで、聴くだけで心がスーッと落ち着く!
情熱が爆発する「ハンガリー舞曲 第5番」
運動会やアニメのドタバタシーンでおなじみの超ハイテンション曲!
急加速と急ブレーキを繰り返すジェットコースターのような緩急がたまらない!
はると
はると
『ハンガリー舞曲』ってあの曲か!運動会の徒競走やリレーで流れると、急にスピードアップして走りたくなるんだよな!
ひまり
ひまり
赤ちゃんの眠りを守る『子守歌』も、胸がキュッとなるほど優しいわよね。相手への思いやりが音楽にそのままあふれ出ているのね。
情熱的な音色が響き渡るステージ風景

子ども大好き!ポケットのキャンディとお茶目な素顔

音楽室の肖像画を見ると、立派なひげをたくわえ、眉間に深いシワを寄せて、なんだか難しそうな本ばかり読んでいそうに見えますよね。 「いつも不機嫌そうだし、子どもが騒いだら怒り出しそう……」 そんなイメージを持つかもしれませんが、実際のブラームスはまったくの逆でした!

散歩のお供は、ポケットいっぱいの甘いキャンディ!

大人になってオーストリアの美しい都・ウィーンに住んでいたブラームスは、毎日の散歩が大のお気に入りでした。 散歩に出かけるとき、ブラームスのコートのポケットはいつもパンパンに膨らんでいました。中に入っていたのは、なんとたくさんの甘いキャンディやチョコレート、そして小さなお小遣い(コイン)!

通りで遊んでいる子どもたちを見かけると、ブラームスは優しい笑顔を浮かべて手招きし、ポケットからお菓子を取り出して配っていたのです。 町の子どもたちも、立派な白ひげのおじいちゃんが近づいてくると、「あ、キャンディのおじちゃんだ!」と大喜びで駆け寄ってきました。ブラームスは、町中の子どもたちから大人気のアイドルだったのです。

Q. なんで子どもたちにお菓子を配っていたの?
A. 実はブラームス自身が子どもの頃、家がとても貧しくて、夜遅くまでピアノを弾いて家族を支える苦労をしていたんだ。だからこそ、町の子どもたちにはお腹いっぱい甘いものを食べて笑顔で元気に過ごしてほしいという深い愛情があったんだよ!

若い頃は「超絶美少年」!ギャップだらけの素顔

もうひとつ驚きのひみつがあります。それは、ブラームスの若い頃の姿です。 20歳前後のブラームスは、透き通るような金髪と澄んだ青い瞳を持ち、まるでおとぎ話の王子様のようなスラリとした美少年でした。 彼がピアノの前に座って情熱的な演奏を披露すると、聴いていた貴族や音楽家たちがみんな息をのんでファンになってしまったと言われています。

年をとってから立派なヒゲをたくわえるようになったのは、偉そうに見せびらかすためではなく、朝にヒゲを剃るのが面倒だったり、寒がりだったからという、人間味あふれる理由だったとも言われています。

気難しい天才のように見えて、実はとっても優しくてお茶目。 この愛すべきギャップこそが、ブラームスが今なお世界中で愛され続けている大きな理由なのです。

はると
はると
散歩しながら子どもたちにキャンディを配るなんて、最高のおじさんじゃん!俺もその時代に生まれてブラームスに会ってみたかったぜ!
ひまり
ひまり
ふふ、はるとはお菓子をもらいたいだけでしょう?でも、自分が子どもの頃に苦労したからこそ、みんなに優しくできたブラームスのお茶目な素顔、すごく温かいわね。
町の子どもたちに優しくキャンディを配るブラームス

まとめ

📝 今日のまとめノート
1 バッハ・ベートーヴェンと並び称されるドイツ音楽の「3大B」のひとり!
2 先輩ベートーヴェンを尊敬するあまり、21年もかけて完璧な『交響曲第1番』を完成させた!
3 世界一優しい『子守歌』からノリノリの『ハンガリー舞曲』まで名曲がたくさん!
4 肖像画は気難しそうだけど、実は子どもたちにキャンディを配る優しいおじさんだった!
🖍️ ✏️
はると
はると
気難しそうな肖像画の奥に、こんな熱い情熱と子ども思いの優しさがあったんだな!今日のサッカー練習の行き帰りに、スマホで『ハンガリー舞曲』を聴いて気分をアゲてみるぞ!
ひまり
ひまり
ふふ、リズムに乗りすぎて転ばないように気をつけてね。みんなも音楽室でブラームスの肖像画を見かけたら、「キャンディのおじさん、こんにちは!」って心の中で声をかけてみてね!
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