はじめに
自分の「のど」にそっと指先をあてて、「あーーー」と声を出してみてください。指先にビリビリとしたふるえが伝わってきませんか?
サッカーの試合で審判がピピーッと吹くホイッスルの音、音楽室の大太鼓をドーンと叩いたときの皮の揺れ、お気に入りのアニメやゲームから流れてくるかっこいい音楽。私たちのまわりには、いつもたくさんの「音」があふれています。
でも、少し立ち止まって考えてみると、音ってとっても不思議ですよね。音は目に見えないのに、どうやって遠くにいる友達や私たちの耳まで届くのでしょうか?
もし地球上に空気がなかったら、目の前で巨大な打ち上げ花火がドカンと大爆発しても、一切音が聞こえず「シーン……」と完全な無音になってしまうのです!
今回は、そんな身近にあふれる「音のひみつ」を、科学の目線で楽しく解き明かしていきましょう!
のどに手をあてて「うおおーっ!」って叫んだら、指先がビリビリしてくすぐったい!サッカーの試合で審判が吹くホイッスルも、大太鼓も、全部このビリビリの仲間なのかな?
ふふっ、いきなり大声を出してどうしたの?でも、その指先のビリビリこそが「音の正体」を解き明かす一番大切なカギなのよ!
音の正体は「空気のふるえ」!
音の正体をひとことで言うと、ズバリ「ふるえ(振動)」です!
物がブルブルと細かくふるえることで、はじめて音が生まれます。たとえば、ピンと張った輪ゴムを指ではじくと、輪ゴムが細かく震えながら「ビーン」と音が鳴りますよね。太鼓を叩いたときも、ピンと張られた太鼓の皮が目に見えないほどのスピードで激しく揺れています。
では、そのふるえはどうやって私たちの耳まで届くのでしょうか?
答えは「空気」です。太鼓の皮がブルンと揺れると、そのすぐ目の前にある空気がギュッと押されます。押された空気は、隣にある空気を押し、さらにその隣の空気を押し……というように、ふるえが次々に伝わっていきます。
池に小石を投げ入れたとき、水面が丸い波になってササーッと外側へ広がっていきますよね。あれとまったく同じように、空気の中をふるえの波が広がっていくのです。この空気の波のことを「音波」と呼びます。
宇宙空間では音は絶対に聞こえない!?
もし、空気のない「宇宙空間(真空の場所)」で大声を出したり、大きな太鼓をドカンドカンと叩いたりしたらどうなると思いますか?
「宇宙船の外にいる友達に、思いっきり大きな声で話しかけたら聞こえるかな?」と思うかもしれません。しかし、答えは「まったく聞こえない(完全な無音)」です!
音は、ふるえを伝える「空気の粒」がないと進むことができません。バトンリレーをしようとしても、バトンを受け取ってくれる次の走者が誰もいない状態だからです。
映画やゲームの宇宙シーンでは、宇宙船が大爆発したときに「ドッカーン!」と大迫力の音が鳴ることがありますよね。でも、実際の宇宙空間では、どれだけ大爆発が起きても音は一切響かず、完全にシーンと静まり返っているのです。
えっ、宇宙だと大爆発が起きても音ゼロなの!?宇宙のシューティングゲームだと「ドッカーン!」って大迫力の音が鳴るから、本当は無音だなんてびっくりだな!
ふふ、映画やゲームは迫力を出すための演出なのよ。音は「空気のバトンリレー」だから、空気が一粒もない宇宙空間では、どれだけ大声で叫んでも隣の人にすら絶対に届かないの。
高い音や大きな音はどうやって生まれる?
音楽を聴いていると、透き通るような高い歌声や、お腹にズシッと響く低いベースの音、力強い大きな音やささやくような小さな音など、いろいろな音が聞こえてきます。この違いはどうやって生まれているのでしょうか?
高い音と低い音の違い:1秒間にふるえる回数
小鳥のピヨピヨという鳴き声やソプラノリコーダーの音は「高い音」です。反対に、大きなウシの鳴き声や和太鼓の音は「低い音」ですよね。
この音の高さを決めているのは、物が「1秒間にふるえるスピード(回数)」です。この1秒間にふるえる回数のことを「周波数」と呼び、単位には「ヘルツ(Hz)」を使います。
- 高い音:物が1秒間に何千回、何万回と猛スピードでふるえる(周波数が高い)。
- 低い音:物が1秒間にゆったりと少ない回数でふるえる(周波数が低い)。
たとえばギターの場合、細い弦をピンと強く張って弾くと、弦が超高速でふるえてキラキラした高い音が出ます。逆に、太くて重い弦を弾くと、弦がゆっくりふるえるため、低くて太い音が出るのです。
また、音楽の授業で吹くリコーダーも同じ仕組みです。指の穴をたくさん開けると、管の中で空気がふるえる長さが短くなり、超高速でふるえるため高い音になります。
大きい音と小さい音の違い:ふるえる幅の大きさ
では、音の大きさ(音量)は何で決まるのでしょうか?
答えは、ふるえるときの「ゆれ幅の大きさ(振幅:しんぷく)」です。
太鼓を思いっきり力いっぱいたたくと、太鼓の皮は大きく上下に波打って、空気を力強くドカンと押し出します。ゆれ幅が大きいと、耳に届く波の力も強くなり「大きな音」になります。
反対に、指先でやさしくトントンと叩くと、太鼓の皮はほんの少ししか揺れません。ゆれ幅が小さいので、届く音も「小さな音」になるわけです。
1
秒間にふるえる「
回数の
多さ(スピード)」で
決まる!
高速で
細かくふるえると「
高い
音」(
小鳥の
声・
細い
弦)
ゆったりゆっくりふるえると「
低い
音」(カエルの
声・
太い
弦)
音の大きさ(振幅)
ふるえるときの「ゆれ
幅の
大きさ」で
決まる!
強い
力で
大きくダイナミックにふるえると「
大きな
音」
やさしい
力で
小さくわずかにふるえると「
静かな
音」
なるほど!ギターの細い弦を力いっぱいビンビン弾けば、「高くて大きな音」が出るってことだな!「音の高さ」と「音の大きさ」は別の仕組みだったんだ!
その通りよ!ちなみに、ピアノとバイオリンで同じ高さの「ド」を同じ大きさで弾いても聞き分けられるのは、波の形(音色:ねいろ)が楽器ごとに違うからなのよ。
音のスピードと「やまびこ」のひみつ!
空を飛ぶ鳥や走るチーターよりも、音はずっと速いスピードで進みます。では、音の速さ(音速)はどれくらいなのでしょうか?
雷がピカッと光ってからゴロゴロ鳴るまでの謎
空気中を進む音の速さは、1秒間に約340メートルです!
小学校の運動場のトラック(1周100〜150m)を、たった1秒で2周から3周も駆け抜けてしまう速さです。時速に直すとおよそ時速1224キロメートルで、新幹線の4倍以上もの超ハイスピードになります。
でも、宇宙で一番速い「光のスピード(1秒間に約30万キロメートル=地球を7周半する速さ)」と比べると、音はとてもゆっくりです。
学校の運動会を思い出してみてください。トラックの遠くの席にいると、スターターの先生が撃ったピストルの白い煙が見えてから、ワンテンポ遅れて「パンッ!」と音が耳に届いた経験はありませんか?
夏に雷が鳴るときも同じです。空がピカッと光ってから、数秒遅れて「……ゴロゴロゴロ!」と音が響いてきますよね。あれは、光が一瞬で目に届くのに対して、音は1秒間に約340メートルずつ一生懸命進んでくるため、届くまでに時間がかかるからなのです。
光ってから音が聞こえるまでの秒数を数えれば、雷までの距離が計算できます。もし光ってから「3秒後」にゴロゴロと鳴ったら、340m × 3秒 = 約1020m、つまり約1キロメートル離れた場所で雷が落ちたとわかるのです!
やまびこ(エコー)が跳ね返ってくる仕組み
山や大きな谷に向かって「ヤッホー!」と大きな声を出すと、少し間をおいてから「……ヤッホー!」と同じ声が返ってくることがありますよね。これが「やまびこ(エコー)」です。
やまびこが起きる理由は、音が「壁に当たると跳ね返る性質」を持っているからです。
壁に向かってスーパーボールを思いっきり投げると、壁に当たって自分のところへ跳ね返ってきますよね。音の波もまったく同じです。あなたの口から飛び出した音の波が、遠くの巨大な岩山にぶつかり、跳ね返って耳に戻ってくるのです。声を出してからやまびこが返ってくるまでに時間がかかるのも、音の波が山まで往復する時間がかかるからなんですね。
Q. 自分の部屋の中でもやまびこは起きているの?
A. 実は起きています!部屋の壁や天井にも音は跳ね返っています。ただし、部屋が狭すぎて音が一瞬で跳ね返ってくるため、自分の声と重なってやまびことして聞き分けられないだけなのです。お風呂場で歌うと声が気持ちよく響くのは、硬いタイルに音がきれいに跳ね返っているからですよ。
イルカやコウモリの「エコーロケーション」
やまびこの「音が跳ね返ってくる性質」をスーパーパワーとして使いこなしている動物たちがいます。それが、夜の空を飛ぶコウモリや、深い海を泳ぐイルカです!
コウモリやイルカは、人間の耳には聞こえないとても高い音(超音波)を口や頭から発射します。そして、その音が前にある障害物や獲物の小魚に当たって跳ね返ってくる「エコー」を耳でキャッチするのです。
跳ね返ってくるまでの時間や音の向きを分析することで、彼らは真っ暗闇の中でも「何メートル先にどんな形の虫が飛んでいるか」を目で見るようにはっきりと立体的に把握できます。この超能力のような仕組みを「エコーロケーション(反響定位:はんきょうていい)」と呼びます。
雷がピカッと光ってから3秒なら約1キロ先か!グラウンドでサッカーの練習をしてるときに光ったら、すぐに秒数を数えてコーチと一緒に避難するよ!
命を守るナイスな判断ね!イルカやコウモリが真っ暗闇でも障害物をよけられるのも、この「音の跳ね返り(エコー)」を目で見ているみたいに立体的にキャッチしているからなのよ。
生活で大活躍する音と耳を大切にするルール
音は、友達とおしゃべりしたり音楽を楽しんだりするだけでなく、科学の技術として私たちの毎日の暮らしをたくさん助けてくれています。
病院の検査や海の中で活躍する「超音波」
人間の耳が聞き取れる音の範囲は、だいたい「20ヘルツ〜2万ヘルツ」くらいまでです。この2万ヘルツを超える、人間には聞こえないほど超高速でふるえる音を「超音波」と呼びます。
この超音波は、私たちの生活の様々な場面で大活躍しています!
- 病院のエコー検査:お腹の中にいる赤ちゃんの元気な様子をモニターに映し出したり、体の中の臓器に病気がないか調べたりするときに使われます。体に痛みがなく安全に中を透かして見ることができます。
- 漁船の魚群探知機(ソナー):船の底から海の中へ超音波を出し、跳ね返りを調べることで、海の底の深さや魚の群れが泳いでいる場所をピタリと言い当てます。
- メガネの超音波洗浄機:メガネ屋さんにある、水の中にメガネを入れるとブーンと泡立って汚れが落ちる機械です。超音波の細かなふるえで目に見えない隙間の汚れを吹き飛ばしています。
おうちで音のふるえを目で見る簡単実験!
「音は見えない」と言いますが、身近な道具を使うと、音のふるえを目でしっかり観察することができます!休日にぜひ試してみてくださいね。
- 糸電話の実験:紙コップ2個の底に穴を開け、タコ糸を通して端をクリップで止めます。糸をピーンと強く張って友達と話すと、糸がふるえをバトンタッチして声が届きます。話している最中に糸を指でギュッとつまむと、ふるえが止まって声がピタッと消えてしまいます!
- ラップと塩のダンス実験:お椀やボウルの上にラップをピンと隙間なく張ります。その上に、料理用の塩やすりごまをパラパラと少し乗せます。ラップのすぐ近くで「あーーーっ!」と大声を出すと……なんと塩がピョンピョンと跳ねて踊り出します!声による空気のふるえがラップに伝わった証拠です。
一生モノの耳を守る!イヤホンの大切なルール
最後に、とても大切な「耳の健康」についてお話しします。
私たちの耳の奥には、音のふるえをキャッチして脳に電気信号を送る「有毛細胞」という細い毛のようなアンテナがたくさん並んでいます。
このアンテナはとても繊細で、スマートフォンやゲームのイヤホンで大音量の音を聴き続けたり、爆音を浴びたりすると、アンテナが傷ついて抜け落ちてしまうことがあります。しかも、一度壊れてしまった耳のアンテナは、二度と元通りには生え変わらないのです。
大切な耳をずっと元気に保つために、次の2つのルールを必ず守りましょう!
STEP 1
イヤホンの音量は「周りの会話が聞こえる大きさ」にする
イヤホンをつけるときは、音量を上げすぎないようにしましょう。話しかけられたときに気づけるくらいの大きさが耳に優しい目安です。
STEP 2
1時間使ったら10分間の「耳の休憩タイム」をとる
長時間ずっと音を流し続けると耳のアンテナが疲れてしまいます。1時間音楽を聴いたりゲームをしたら、イヤホンを外して静かな場所で耳を休ませましょう。
ボウルの上のラップで塩がピョンピョン踊る実験、めちゃくちゃ面白そうだな!今日の宿題が終わったら、キッチンでお母さんに頼んでさっそくやってみるよ!
ふふ、ちゃんと宿題を先にやる気になったのはえらいじゃない!私が目指している看護師さんやお医者さんが使う「エコー検査」もこの超音波なの。音って耳で聞くだけじゃなくて、体の中を見る目にもなるなんてすごいわよね。
まとめ
目に見えないけれど、私たちのまわりで大活躍している「音」の世界。最後に、今日学んだ大切なポイントを黒板ノートでおさらいしましょう!
📝 今日のまとめノート
1
音の正体は「空気のふるえ(振動)」!ふるえを伝える空気がない宇宙空間では音は伝わらない。
2
高い音は「高速でたくさんふるえる音」、大きな音は「激しく大きくふるえる音」。
3
音のスピードは秒速約340m!壁に当たって跳ね返ってくる現象が「やまびこ(エコー)」。
4
イルカのエコーロケーションや病院のエコー検査など、聞こえない「超音波」も大活躍!
5
耳の中のアンテナは一度壊れると治らない宝物。大音量を避けて耳を大切にしよう!
🖍️ ✏️
音の正体が「目に見えない空気のドミノ倒し」だったなんてワクワクしたな!これからはリコーダーを吹くときも、空気がどんな波を作っているか想像しちゃいそうだよ。
ふふ、仕組みがわかると普段の生活や音楽の授業がもっと面白くなるわよね!みんなも塩のダンス実験や雷の距離計算で、音の不思議をぜひ体感してみてね!
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