はじめに
もし、ノーベル賞をとった大発明がこの世界から全部消えてしまったら……みんなのスマートフォンも携帯ゲーム機も今すぐ真っ暗になって、夜の街の明かりも消えてしまうかもしれません!
毎年、秋の10月ごろになると、テレビやインターネットのニュースで「日本人がノーベル賞を受賞しました!」と大騒ぎになっているのを見たことはありませんか? 大人たちがみんな笑顔で拍手をして、街では新聞の号外が配られたり、ニュースキャスターが興奮気味に伝えたりしていますよね。
「ノーベル賞って、オリンピックの金メダルみたいなもの?」 「世界で一番すごい賞って聞くけれど、一体どんな賞なの?」 「もらうとすごい大金がもらえるって本当?」
そんな疑問を持ったことがある人も多いはずです。 実は、ノーベル賞はただ「頭がいい人がもらえる賞」というだけではありません。みんなが毎日使っているスマートフォンや、夜に部屋を明るく照らすLEDライト、病気を治す薬など、私たちの生活を根底から変えてくれた大発見に贈られる、地球上で一番名誉ある賞なのです。
この記事では、ノーベル賞を作った人物の波乱万丈な物語や、賞金が1億円以上もある秘密、そして世界を変えた日本の大発見まで、わかりやすく解説します!
ノーベル賞ってニュースでよく見るけど、金メダルとすごい賞金がもらえるんだろ?ワールドカップで優勝トロフィーを掲げるみたいに、世界一の栄光って感じでかっこいいよな!
ふふ、確かに世界中から拍手される特別な賞よね。でもね、はると。ノーベル賞はただのお祭りじゃなくて、世界中の人の命や未来の暮らしを救う大発見をした人に贈られるのよ。一緒にその秘密を調べてみましょう!
世界一すごい賞!ノーベル賞ってどんなもの?
ノーベル賞は、今から120年以上前の1901年に始まった、世界で最も権威(みんなから尊敬される価値)がある国際的な賞です。 北ヨーロッパにある「スウェーデン」という国と「ノルウェー」という国が中心になって運営しています。
ノーベル賞の最大の特徴は、国籍や性別に関係なく、「人類のためにいちばん大きな貢献(役に立つこと)をした人」だけに贈られるという点です。どんなに大統領や王様のように偉い人であっても、世界中の人々の役に立っていなければもらうことはできません。
ノーベル賞には、大きく分けて6つの種類(ジャンル)があります。 それぞれの分野で、世界をあっと驚かせた最高の研究や活動に贈られるのです。
- 物理学賞:宇宙の始まりの謎を解き明かしたり、光や電気の新しい法則を見つけたりした人に贈られます。
- 化学賞:新しいプラスチックや便利な薬品、エネルギーなど、物質の組み合わせで新しいものを作った人に贈られます。
- 生理学・医学賞:恐ろしい病気を治す薬を開発したり、人間の体がどうやって動いているのかを解明した人に贈られます。
- 文学賞:世界中の人々の心を揺さぶり、生きる勇気や希望を与えるような素晴らしい小説や詩を書いた作家に贈られます。
- 平和賞:戦争を止めたり、世界中の人々が仲良く平和に暮らせるように活動した人やグループに贈られます。
- 経済学賞:お金の流れや社会が豊かになる仕組みを研究した人に贈られます(※これは1968年にスウェーデンの銀行が新しく作った賞です)。
どの賞も、何十年もの長い年月をかけて地道な努力を続けた人たちに贈られる、科学者や活動家にとっての「あこがれの最高峰」なのです。
Q. 算数や数学のノーベル賞はないの?
A. 実はノーベル賞に「数学賞」はありません!ノーベルが遺言を書いたとき、数学を含めなかったからだと言われています。でも、数学の世界には「フィールズ賞」という、ノーベル賞と同じくらいすごくて名誉ある別の世界最高峰の賞があるんだよ!
6つも種類があるのか!病気を治す薬を見つける医学賞なんて、世界中の人を助けるスーパーヒーローみたいだな!
私の将来の夢は看護師だから、病気で苦しむ人を救う薬を発見した生理学・医学賞のニュースにはいつもワクワクしちゃうの。たくさんの命を未来につなぐ研究って、本当に尊いわよね。
ダイナマイトの発明王!ノーベルのひみつ
ノーベル賞という名前は、この賞を作った「アルフレッド・ノーベル」という実在した科学者の名前からつけられました。 ノーベルは1833年にスウェーデンのストックホルムで生まれました。彼は子どもの頃から実験や読書が大好きで、お父さんと同じ発明家の道を歩み始めます。
ノーベルが生きていた時代、人々は山を削ってトンネルを掘ったり、道路や鉄道を作ったりする大工事にとても苦労していました。当時は「ニトログリセリン」という液体の爆薬を使っていたのですが、これがとんでもなく危険でした。少しビンを揺らしたり落としたりしただけで、ドカン!と大爆発してしまうのです。実際にノーベルの弟も、工場の爆発事故で命を落としてしまいました。
「なんとかして、誰もが安全に使える爆薬を作れないだろうか?」 ノーベルは悲しみを乗り越えて命がけの研究を重ね、1867年に珪藻土(植物の化石からできた土)にニトログリセリンを染み込ませて固める方法を発見しました。衝撃を与えても爆発せず、雷管という特別な点火装置を使わないと爆発しない、安全な爆薬「ダイナマイト」を完成させたのです!
ダイナマイトのおかげで、固い岩山を安全に切り拓くことができるようになり、世界中で鉄道やトンネルの工事が一気にスピードアップしました。ノーベルは世界中に工場を作り、莫大な富(大金)を手に入れたのです。
しかし、ここでノーベルにとって予想もしていなかった悲劇が起きます。安全な工事のために作ったダイナマイトが、戦争の「兵器」として使われ始めてしまったのです。ダイナマイトを使った強力な爆弾で、戦場ではたくさんの兵士や一般の人々が命を落としました。
ある日、ノーベルの兄が亡くなったとき、フランスの新聞記者がアルフレッド・ノーベルが死んだと勘違いして、こんな新聞の見出しを出してしまいました。 『死の商人、死す。昨日、これまでにないスピードで人々を殺害する方法を発見して大富豪になったアルフレッド・ノーベル博士が死亡した』
自分が死んだ後、世界中の人から「人を殺してお金を稼いだ悪魔」として記憶される……。新聞を読んだノーベルは、言葉を失うほど深く傷つき、ショックを受けました。 「私は工事を安全にするためにダイナマイトを作ったのであって、人を傷つけるために作ったのではない。死んだ後、こんな恐ろしい名前で覚えられたくはない!」
ノーベルは深く悩み、ひとつの遺言書(自分が死んだ後に財産をどう使うかを書いた手紙)を残しました。 「私の残したすべての財産を安全な基金にして、人類のために最大の貢献をした人々に、毎年賞金として贈ってください」 こうして、ノーベルの「科学の力で世界を幸せにしたい」という強い願いから、ノーベル賞が生まれたのです。
固い
岩山を
安全に
爆破してトンネルや
道路を
切り
拓く!
鉄道が
通るようになり、
世界中の
人々の
生活が
便利で
豊かになった!
戦争の兵器
強力な
破壊力を
持つ
爆弾として
戦場で
使われてしまった…
たくさんの
尊い
命を
奪い、ノーベルが
最も
心を
痛めて
苦しんだ…
ノーベルはみんなを助けるために安全なダイナマイトを作ったのに、兵器に使われちゃうなんて……すっごく悔しかっただろうな。
そうね。でも、そこで落ち込んで終わりにせず、自分の全財産を未来の科学や平和のために捧げたからこそ、今のノーベル賞があるのよね。ノーベルの強い決意と反省の心を感じるわ。
賞金はいくらもらえるの?授賞式のひみつ
ノーベル賞を受賞すると、世界中から賞賛されるだけでなく、一生の宝物になる素晴らしい記念品が贈られます。授賞式でプレゼントされるのは、大きく分けて3つあります。
- 純金のメダル:表面にはアルフレッド・ノーベルの横顔が彫られ、裏面には各部門を象徴する女神や科学のモチーフが美しくデザインされています。ずっしりと重い本物の金でできています!
- 世界でたった1枚の賞状(ディプロマ):印刷された紙ではなく、スウェーデンやノルウェーの有名な画家や書道家が、受賞者一人ひとりの研究内容をイメージして手描きした芸術作品です。世界に二つと同じものはありません。
- 莫大な賞金:なんと1つの賞につき、1100万スウェーデン・クローナが贈られます。日本円に換算すると、およそ1億5000万円前後という驚きの大金です!(※為替レートによって変動します)。
ここで、不思議に思いませんか? 「ノーベルが亡くなってから120年以上も経っているのに、毎年何億円も配っていたら、とっくにお金が底をついているんじゃないの?」
実は、これには賢い秘密があります。 ノーベルが遺言で残した約3100万スウェーデン・クローナ(現在のお金に換算すると数百億円!)という巨額の遺産は、「ノーベル財団」という組織が大切に預かっています。 財団はそのお金を金庫にただ眠らせておくのではなく、世界中の安全な会社や不動産などに投資して増やし続けているのです。 つまり、賞金として配られているのは「ノーベルの遺産そのもの」ではなく、「遺産を運用して生まれた利益」なのです! ノーベルが残した巨大な宝箱(元金)には手をつけず、そこから毎年生まれる「利益(金の卵)」だけを賞金として配っているから、100年以上経っても宝箱はずっと満タンのままなんですね。
そして、授賞式は毎年ノーベルの命日である12月10日に行われます。 スウェーデンのストックホルムにあるコンサートホール(平和賞だけはノルウェーのオスロ市庁舎)で開かれ、スウェーデン国王から直接メダルと賞状が手渡されます。 授賞式の後には、約1300人の招待客が集まる世界一豪華な「ノーベル晩餐会」が開かれます。男性は燕尾服、女性は華やかなドレスを着て、お城のような大広間で最高級のコース料理と特別なノーベル・アイスクリームを楽しむのです。
STEP 1
毎年10月に受賞者が世界中に発表される!
世界中から推薦された何千人もの候補者の中から、厳しい審査を勝ち抜いた受賞者が発表されます。本人のもとへはスウェーデンから突然国際電話がかかってきます!
STEP 2
12月10日のノーベル命日に厳粛な授賞式!
スウェーデン国王から、純金のメダルと手描きの賞状、賞金が直接手渡されます。世界中が生中継で見守る感動的な瞬間です。
STEP 3
市庁舎の青の間で世界一豪華な晩餐会!
ノーベル賞受賞者や王室のメンバーが集まり、美しい生演奏とお祝いのスピーチを聞きながら、極上のディナーを楽しみます。
1億5000万円!?一生ゲーム買ってカレー食べ放題じゃん!……って思ったけど、受賞した科学者のみんなは、次の研究のために使ったりするんだよな?
ふふ、はるとらしい発想ね!その前に今日の漢字の宿題を終わらせてから言ってほしいけれど……でも、その通りよ。多くの科学者さんは、若い研究者を応援する奨学金を作ったり、新しい実験室の設備を買うために賞金を寄付しているの。手描きの賞状も、研究への愛が詰まっていて本当に素敵よね。
▲ ノーベル晩餐会が開かれるストックホルム市庁舎(出典: Wikimedia Commons)
日本人も大活躍!世界を変えた大発見
テレビのニュースで日本人がノーベル賞をもらって大喜びしている姿を見たことがある人も多いでしょう。 実は日本は、これまでに約30人ものノーベル賞受賞者を輩出(世に送り出すこと)している、アジアでダントツの「ノーベル賞大国」なのです!
「ノーベル賞をとるような研究って、難しすぎて小学生の自分には関係ないんじゃない?」と思うかもしれません。でも実は、みんなが毎日使っている身の回りの便利な道具の多くが、日本人ノーベル賞受賞者の発見のおかげで動いているのです! 代表的な大発見をいくつか見てみましょう。
- 青色LED(物理学賞:赤﨑勇さん、天野浩さん、中村修二さん):昔は「赤」と「緑」のLEDしか作れず、どうしても「青」が作れませんでした。青がないと光の3原色が揃わないため、「白い光」を作ることができなかったのです。「20世紀中には絶対に作れない」と世界中が諦めていた青色LEDを、日本の研究者たちが執念で開発しました。青色LEDができたおかげで、省エネで明るい「LED照明」や、みんなが毎日見ている「スマートフォンの画面」「大型テレビ」が誕生したのです!
- リチウムイオン電池(化学賞:吉野彰さん):「小さくて軽くて、何度も繰り返し充電できる強力な電池」として開発されたのがリチウムイオン電池です。もしこの電池がなかったら、携帯ゲーム機を持ち歩いて遊ぶことも、スマートフォンをポケットに入れて出かけることもできませんでした。世界中のモバイル機器を支えている大発明です。
- iPS細胞(生理学・医学賞:山中伸弥さん):人間の皮膚などの細胞に特定の遺伝子を入れることで、心臓や神経、目など「体のどんな細胞にも変身できる万能の細胞」を作ることに成功しました。これにより、病気やケガで失われた体の部分を新しく作って治す「再生医療」という未来の医療への扉が開かれました。
- 寄生虫による感染症の特効薬(生理学・医学賞:大村智さん):ゴルフ場の土の中にいた微生物(バクテリア)から、寄生虫をやっつける新しい物質を発見しました。この薬のおかげで、アフリカなどの地域で毎年何億人もの人々が失明(目が見えなくなること)や重い病気の危険から救われています。
このように、日本のノーベル賞受賞者たちは、世界中の人々の命を助けたり、毎日の生活を劇的に便利にする大発見をしてきたのです!
ええっ!俺が毎日楽しんでるゲームもスマホも、ノーベル賞の研究のおかげだったのか!遠い世界のすごい話だと思ってたけど、めちゃくちゃ親近感わくぜ!
ふふ、そうよ。大村先生が開発したお薬も、土の中の小さな微生物を根気よく調べたからこそ見つかったの。身近な自然を観察し続けることの大切さを教えてくれるわね。
▲ 光の3原色(赤・緑・青)が揃ったLED照明(出典: Wikimedia Commons)
まとめ
世界で最も名誉ある「ノーベル賞」の秘密を学んできましたが、いかがでしたか? 最後に、今日学んだ大切なポイントを黒板ノートでおさらいしておきましょう!
📝 今日のまとめノート
1
ノーベル賞は「人類のためにいちばん役に立つ貢献をした人」に贈られる世界一の栄光!
2
ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルが、世界の未来と平和を願って作った!
3
純金メダル・手描きの賞状・約1億5000万円の賞金が贈られ、基金の運用で100年以上続いている!
4
青色LEDやリチウムイオン電池など、日本の研究者の大発見がみんなの身近な暮らしを支えている!
🖍️ ✏️
ノーベル賞を受賞した偉大な科学者たちも、子どもの頃はみんなと同じ小学生でした。 最初から特別な天才だったわけではありません。 「どうして空は青いんだろう?」 「どうして磁石はくっつくんだろう?」 「この病気で苦しんでいる人を助けるにはどうしたらいいんだろう?」
そんな、身の回りの小さな「不思議」や「知りたい!」という好奇心をずっと持ち続け、失敗してもあきらめずに実験を繰り返した人たちが、世界を変える大発見を成し遂げたのです。
学校の授業や宿題、普段の遊びの中で「あれ、なんでだろう?」と疑問に思ったことこそが、未来の科学への第1歩です。君が抱いたその小さな好奇心が、何十年か後の未来で、世界中をあっと驚かせるノーベル賞につながっているかもしれませんよ!
勉強はちょっと苦手だけど、サッカーの新しいシュートの回転とか、ゲームの攻略法を考えるのは大好きなんだよな。俺も身の回りの「なんでだろう?」をとことん面白がってみるぞ!
ふふ、その探究心こそが一番大切なのよ、はると!どんな小さな疑問でも、諦めずに調べ続けることが未来の扉を開くのよね。読者のみんなも、身近な不思議をたくさん見つけてみてね!
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