小学生でもわかる!「デモ」

デモ

はじめに

テレビのニュースを見ていると、たくさんの人たちがプラカード(看板のようなもの)を手に持って、大きな声を出しながら街を行進している光景を見たことはありませんか?

「戦争に反対!」「もっと環境を守ろう!」「お給料を上げて!」など、いろいろなメッセージが書かれた看板を掲げて歩いています。

「あの人たち、どうしてあんなに怒っているように見えるのかな?」 「街の道路を大勢で歩いて、周りの人に迷惑じゃないのかな?」 「もしかして、ケンカや暴動が始まっちゃうの?」

初めて見ると、なんだか怖そうに見えたり、不思議に感じたりするかもしれませんね。

しかし、この「デモ」と呼ばれる行動は、決してルールを破って暴れているわけではありません。それどころか、私たちが平和で自由な毎日を過ごすために欠かせない、とても大切な「権利」のひとつなのです。

今回は、ニュースでよく耳にする「デモ」とは一体何なのか、どうして行われるのか、そして私たちの社会とどう繋がっているのかを、分かりやすく解き明かしていきましょう!

はると
はると
ニュースでたまに看板持った人たちが「おーっ!」って叫びながら歩いてるのを見るけど、怒ってケンカしてるみたいでちょっとビビっちゃうんだよな。俺も「宿題ゼロにしてくれデモ」をやろうかな…!
ひまり
ひまり
ふふ、その前に今日の漢字ドリルを終わらせなさい!でもね、ケンカをしているわけじゃないのよ。あれは「デモ」といって、みんなが幸せに暮らすためにとても大切な意味があるの。一緒に見てみましょう!

「デモ」ってなに?どんな意味があるの?

「デモ」という言葉は、もともと英語の「デモンストレーション(demonstration)」という言葉を短くしたものです。

英語のデモンストレーションには、「実演する(やって見せる)」「はっきりと示す」「表す」という意味があります。

つまり、社会や政治の世界における「デモ」とは、「私たちはこう考えています!」「私たちの困っている声を聞いてください!」という思いを、大勢で集まって社会にはっきりと示すことなのです。

普段、国や町のルール(法律)は、私たちが選挙で選んだ政治家の人たちが国会などで話し合って決めています。これを「代表民主制(間接民主主義)」と呼びます。

でも、選挙は数年に一度しかありません。次の選挙を待っている間にも、社会には「戦争を止めてほしい」「物価が上がって生活が苦しい」「地球温暖化を何とかしてほしい」など、すぐに解決してほしい問題がたくさん生まれます。

そんなとき、「自分たちの意見や願いを政治家や社会全体に届ける手段」として使われるのがデモなのです。

学校の「学級会」や「意見箱」と同じ!
たとえば、小学校で「もっと校庭でサッカーができる時間を増やしてほしい!」と思ったとき、自分の机で一人だけでブツブツ言っていても、先生や学校全体には伝わりませんよね。
学級会で手をあげて「校庭を使うルールを変えてほしいです!」と提案したり、みんなで意見箱に手紙を入れたりして、初めてみんなで話し合えるようになります。
デモは、その「学級会での提案」を、国や町という大きな社会の中で大勢の人たちが行っているようなものなのです!

このように、言葉やプラカードを使って「大勢の市民が本当に困っていること」をアピールすることで、ニュースに取り上げられたり、政治家が「これは放っておけない問題だ」と気づいて法律を変えるきっかけになったりします。

一人ひとりの声は小さくても、同じ思いを持つ人たちが集まってひとつの大きな声になることで、社会を動かす力になるのです。

はると
はると
なるほど!一人で悩んでても伝わらないから、みんなで集まって「俺たちの話を聞いてくれ!」ってアピールしてるってことか!サッカーでも、パスが欲しいときは声を出してアピールしないとボールが来ないもんな!
ひまり
ひまり
その通りね、はると!一人では小さな声でも、たくさんの人が集まれば「こんなにたくさんの人が困っているんだ」って社会全体に届くのよ。ルールを守って自分の思いを伝えるのは、正々堂々としたフェアプレーと同じね!
demonstration_meaning

暴れることと何が違う?デモと暴動のちがい

デモのニュースを見ると、たくさんの人が大きな声を出しているため、「なんだか怖そう」「暴れているんじゃないの?」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、法律を守って行われる「平和なデモ」と、ルールを破って暴力をふるう「暴動」はまったくの別物です。

日本をはじめとする民主主義の国では、デモを行うときにとても厳しい交通ルールや法律を守ることが決められています。

勝手に道路をふさいで歩くことはできず、事前に「何月何日の何時に、この道路をこのルートで歩きます」と警察や役所に申請書を出して、きちんと許可をもらってから行われます。

デモ行進のまわりをよく見ると、たくさんの警察官が一緒に歩いていることに気づきます。これはデモをする人を逮捕するためではなく、車や歩行者が事故に遭わないように交通整理をしたり、デモをしている人たちが安全に行進できるように見守ったりするためなのです。

ルールを守る「平和なデモ」
警察に道路使用許可を事前に取って行進する!
信号や交通ルールを守り、歩行者の邪魔をしない
物を壊したり人を殴ったりせず、言葉と看板で思いを伝える
憲法で守られた大切な権利(表現の自由)!
ルールを破る「暴動」
許可を取らずに道路や建物を勝手に占拠する!
お店を襲ったり、車や建物に火をつけたり物を壊す
暴力を使って警察や周りの人を傷つける危険な犯罪
法律で厳しく罰せられ、社会を壊してしまう行為!

日本の最高法規である「日本国憲法(第21条)」には、「集会の自由」や「表現の自由」が保障されています。

これは、「国民は誰でも、平和的に集まって自分の意見を言ったり発表したりしてよい」という、人間にとって一番大切な基本的人権のひとつです。

暴力をふるうことは犯罪ですが、ルールを守って平和的に声をあげるデモは、法律と憲法によって正しく守られているのです。

はると
はると
警察の人がいるのは、捕まえるためじゃなくて安全を守るためだったのか!勝手に道路をふさいでるわけじゃなくて、ちゃんとしたルールがあるんだな。それなら暴動とは全然違うな!
ひまり
ひまり
そうなの。暴力をつかったら誰も意見を聞いてくれなくなるわよね。平和に言葉で伝えるからこそ、まわりの人たちも「どうしてデモをしているのかな?」と耳を傾けてくれるのよ。
秩序正しく行進するデモの様子
▲ 秩序正しく行進する平和的なデモの様子(出典: Wikimedia Commons)

歴史を動かした!デモが変えた世界のルール

実は、今私たちが当たり前のように持っているたくさんの権利やルールは、昔の人たちがデモを行って、命がけで声をあげてくれたからこそ手に入ったものばかりです。

世界を変えた代表的なデモの歴史を3つ見てみましょう!

  1. 女性の選挙権を勝ち取ったデモ(サフラジェット運動):今から100年以上前、世界のほとんどの国では、政治に参加して選挙で投票できるのは「大人の男性だけ」でした。女性には投票する権利がなかったのです。「女性にも男性と同じように投票する権利をください!」と立ち上がった女性たちは、街を行進したりプラカードを掲げたりして、何年も粘り強く訴え続けました。その結果、女性も当たり前に選挙に行ける今の社会が実現したのです。
  2. 黒人差別をなくそうとした「ワシントン大行進」(1963年):アメリカでは昔、肌の色の違いによる激しい人種差別があり、黒人の人たちは白人と同じバスに乗れなかったり、同じ学校に通えなかったりしました。これに対して、マーティン・ルーサー・キング牧師というリーダーを中心に、なんと25万人以上もの人々が首都ワシントンに集まって平和的なデモ行進を行いました。キング牧師が「私には夢がある(I Have a Dream)」と語った有名な演説は世界中に響き渡り、人種差別を禁止する法律(公民権法)が作られる大きなきっかけとなりました。
  3. 子どもたち発の環境デモ「未来のための金曜日」(2018年〜):スウェーデンの当時15歳だったグレタ・トゥーンベリという女の子が、「地球温暖化を止めるために大人は行動して!」と、たった一人で国会の前に座り込んで抗議を始めました。この行動に世界中の子どもたちや若者が共感し、あっという間に世界各地で何百万人もの子どもたちが参加する地球規模の気候マーチ(デモ)へと発展しました。このデモは、世界の首脳たちが本気で地球温暖化対策に取り組む強力な後押しとなっています。
Q. 子どもでもデモに参加していいの?
A. もちろん参加できるよ!実際に環境問題や平和を願うデモには、たくさんの小学生や親子連れが参加しているんだ。大切なのは、大人の言う通りにただついて行くだけでなく、「自分はどう思うか」「地球や社会をどうしたいか」を自分の頭でしっかり考えることだよ!

昔の人たちが「おかしいことはおかしい」「みんなが幸せになるルールを作ろう」とデモで声をあげてくれたからこそ、今の平和で平等な社会があるのですね。

はると
はると
昔は女性が選挙に行けなかったり、肌の色で差別されたりしてたのか…。俺たちと同じくらいの子どもが始めたデモが、世界を動かしたっていうのもすげーな!
ひまり
ひまり
ええ。声を出さずに黙っていたら、不公平なルールのままだったかもしれないわ。勇気を出して声をあげることって、社会を前に進めるために本当に大切なのね。
ワシントン大行進でのキング牧師
▲ ワシントン大行進で演説を行うマーティン・ルーサー・キング牧師(出典: Wikimedia Commons)

デモで大切なことは?みんなの社会を守る約束

デモが大切な権利であることは分かりましたが、だからといって「何をしてもいい」というわけではありません。

民主主義の社会でデモを行うときには、誰もが絶対に忘れてはならない大切な約束があります。

それは、「自分と違う意見を持つ人の自由も、同じように大切にする」ということです。

たとえば、ある法律について「賛成だ!」と思ってデモをする人がいれば、当然「反対だ!」と考えている人もいます。また、「今はどちらとも言えないな」と悩んでいる人や、関心を持たない人もいます。

民主主義とは、みんながまったく同じ意見になることではなく、「いろいろな考え方を持つ人たちが、お互いを尊重しながら一緒に暮らしていくこと」です。

だからこそ、自分の意見を主張するときに、次のようなことをしてはいけません。

  • 違う意見の人に向かって暴言を吐いたり、脅したりすること
  • 「自分の意見が絶対に正しいんだから従え!」と無理やり押し付けること
  • 街で買い物や仕事をしている一般の人たちの生活をめちゃくちゃに乱すこと

自分の意見を言う権利があるのと同じように、他の人が別の意見を持つ権利も100パーセント守られなければなりません。

お互いの意見を言葉で伝え合い、「どうすればみんなが納得できるか」を話し合って探していくことこそが、本当に素晴らしい社会の姿なのです。

STEP 1 自分の頭で考え、意見を持つ
テレビやSNSの情報をうのみにせず、「自分はどう思うかな?」と疑問を持ち、自分の頭でじっくり考えてみましょう。
STEP 2 言葉で相手にわかりやすく伝える
怒鳴ったり暴力を使ったりせず、理由を添えて相手に伝わる優しい言葉で気持ちを表現しましょう。
STEP 3 自分と違う意見にも耳を傾ける
「そんなの違う!」と頭ごなしに否定せず、「どうしてそう考えるのかな?」と相手の立場や気持ちも聞いてみましょう。

この3つのステップは、大人のデモや政治だけでなく、学校生活でも全く同じです。

学級会で友達と意見が合わなかったときや、休み時間のドッジボールのルールを決めるときなど、自分の意見を伝えつつ相手の意見も聞くことが、民主主義の最高の第一歩なのです!

はると
はると
俺の意見だけを押し通すんじゃなくて、サッカーのチームメイトの意見もちゃんと聞くのと一緒だな!お互いにパスを出し合うみたいに言葉を交わすのが大事なんだ!
ひまり
ひまり
ふふ、ナイスパスね!自分の思いを伝えることと、相手の気持ちを思いやること。そのふたつが揃って初めて、みんなが安心できる優しい社会になるのよ。
respect_different_opinions

まとめ

📝 今日のまとめノート
1 デモの意味:英語の「デモンストレーション(示す)」が語源!自分たちの意見や願いを大勢で社会や政治に示すこと。
2 暴動とのちがい:警察に許可を取り、交通ルールを守って平和に行われるもの。憲法で守られた大切な権利!
3 歴史を変えた力:女性の選挙権や人種差別撤廃、地球環境問題など、人々の声が社会をより良く変えてきた。
4 一番大切な約束:自分の意見を言うと同時に、自分と違う意見を持つ人の自由や権利も大切に尊重すること!
🖍️ ✏️
はると
はると
ニュースで見てたデモのことがすっごくよく分かったぞ!ルールを守って平和に声をあげるのって、社会をもっと良くするための大切なチームプレーなんだな!
ひまり
ひまり
ええ!学校の学級会でもお家でも、自分の気持ちを言葉にして、相手の話も優しく聞くことから始めてみましょうね!
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