はじめに
日曜日、街を歩いていると「〇〇をお願いします!」とスピーカーから大きな声を響かせながら、白い手袋をした人が手を振る車を見かけたことはありませんか?
テレビのニュースをつければ、夜遅くまで画面に数字や顔写真が並んで、「当確」という文字が次々と飛び交う「選挙特番」で大盛り上がり。
「楽しみにしていた日曜日夜のアニメがお休みになって、選挙特番ばかりでガッカリした……」なんて経験をした人はいませんか?
さらに家では、お父さんやお母さんが「ちょっと学校に行って投票してくるね」と出かけていく……。
そんな光景を見て、こう思ったことはないでしょうか?
「選挙って、大人が真剣になっているけれど何のためにやっているの?」 「政治の話なんて難しそうだし、小学生の自分にはまだ関係ないんじゃないの?」
実は、まったくそんなことはありません!
選挙で選ばれた人たちは、みんなが普段遊んでいる公園の遊具、学校の教科書やおいしい給食、病気になったときに病院で払うお金のルールまで、私たちの身の回りのあらゆることを決めています。
つまり選挙は、みんなの今の毎日と、これからの未来の暮らしをガラリと変えてしまう「超大切なビッグイベント」なのです!
今回は、「選挙ってそもそも何?」「どうやって投票するの?」「なぜ大人は1票を大切にするの?」という疑問を、ひとつずつスッキリ解き明かしていきましょう!
休みの日にテレビを見てたら急に選挙の特別番組になって、楽しみにしていたアニメがお休みになってガッカリしたことがあるんだよな。大人があんなに熱くなる理由が気になるぜ!
ふふ、楽しみにしていた番組がお休みだと残念よね。でも選挙は、私たちが住む街や国全体のルールを決める大事なリーダーを選ぶ日なのよ。実は子どもたちの毎日の生活にも深く関わっているの!
選挙ってなに?学級委員決めと何がちがう?
「選挙」という言葉を一番シンプルに説明すると、「みんなの代表(リーダー)を話し合いと多数決で選ぶ仕組み」のことです。
学校の新学期を思い出してみてください。クラスで「学級委員」や「児童会の役員」を決めるときがありますよね。
「みんなが笑顔で過ごせる楽しいクラスにしたい!」「みんなの意見をまとめて先生に伝えたい!」と立候補した人に手を挙げてもらって、誰にお願いするかをみんなで紙に書いて投票した経験がある人も多いはずです。
選挙の基本的な仕組みは、この学級委員選びとまったく同じです!
「それなら簡単じゃん!」と思うかもしれませんが、学校の学級委員選びと国の選挙には、決定的な違いがひとつあります。それは「集まる人数のケタ違いの大きさ」です。
クラスなら30人から40人くらいなので、全員がひとつの教室に集まって「次の遠足のレクリエーションはどうする?」と直接顔を見ながら話し合うことができます。
しかし、日本全体には約1億2000万人もの人々が暮らしています。
1億人全員がどこかひとつの場所に集まって、「新しい高速道路をどこに作るか」「学校の教育にいくらお金を使うか」を毎日話し合うなんて、絶対に不可能ですよね!サッカー場を何千個集めても入りきりません。
そこで生まれたのが、「みんなの代わりにじっくり考え、話し合ってくれる信頼できる代表者を選んで、国会や役所に送り出そう!」という知恵です。
これを難しい言葉で「代表民主制」と呼びます。
決めること:
係活動や
席替え、レクリエーションなど
身近なルール
話し
合い:
教室にみんなで
集まり、
直接顔を
合わせて
相談できる!
人数:
日本全体で
約1
億2000
万人以上の
国民や
市民
決めること:
法律や
税金の
使い
方、
医療や
教育など
社会全体のルール
話し
合い:
全員は
集まれないため、
選ばれた「
代表者」が
国会で
議論する!
このように、選挙とは「自分たちの生活をより良くするために、頼れる代表キャプテンをみんなで選ぶシステム」なのです。
そっか!1億人全員で会議なんて絶対に無理だもんな。だから俺たちの意見をしっかり伝えてくれる頼もしいキャプテンを代表として選ぶってわけか!
その通りよ、はると!サッカーチームでもキャプテンがチームを代表して審判や監督と話すのと同じね。国や街全体の舵取りを任せる人を決めるのが選挙なのよ。
▲ 日本の法律やルールを話し合う国会議事堂(出典: Wikimedia Commons)
どうやって投票するの?投票所のウラ側と流れ
では、選挙の日に大人はどこへ行って、どんなふうに投票しているのでしょうか?
投票が行われる場所を「投票所」と呼びます。実は投票所としてもっとも多く使われているのは、みんなが毎日通っている「小学校の体育館」や近くの「公民館」なんです!
日曜日、いつもの体育館がこの日ばかりは静かで厳かな投票会場へと早変わりします。
投票はとてもしっかりした手順で行われます。その流れを4つのステップで見てみましょう!
STEP 1
「投票所入場券」を持って受付へ!
家に届いたハガキ(投票所入場券)を持って受付に行きます。係の人が本人確認を行い、ピカピカの「投票用紙」を1枚手渡してくれます。
STEP 2
仕切りで囲まれた「投票記載台」へ向かう!
投票用紙を受け取ったら、左右が衝立でしっかり区切られた特別な机へ進みます。横から誰にも見られないように工夫された安心のスペースです。
STEP 3
応援したい人の名前を鉛筆で書く!
机に置いてある鉛筆を使って、「この人に街の未来を任せたい!」と思った候補者の名前を丁寧に書きます。
STEP 4
願いを込めて「投票箱」へコロンと入れる!
名前を書いた用紙を、大きな銀色の「投票箱」の上にある隙間からストンと入れます。これであなたの1票が正式に届きました!
ここで使われる投票用紙には、実は驚きの秘密があります。
普通のノートの紙とは違い、水に強くてツルツルしたプラスチックのような特殊な素材(ユポ紙)で作られているのです。
この紙は、折り曲げて投票箱に入れても、箱の中で自然にパッと元の平らな状態に開く性質を持っています。そのため、夜に箱を開けて票を数えるとき、1枚ずつ手で開く手間が省けて、ものすごいスピードで集計できるハイテクな工夫が施されているのです!
さらに、投票には「秘密投票」という絶対に守らなければならない大原則があります。
「自分が誰の名前を書いたか」は、たとえ家族や親友、学校の先生であっても、誰にも教える必要はありません。誰かに聞かれても「秘密です」と答えてまったく構わないのです。
もし「誰に投票したか言わなきゃいけない」となったら、「あの人に投票しないと怒られるかも…」と怖くなって、本当に応援したい人を選べなくなってしまいますよね。
誰からのプレッシャーも受けず、自分の心に従って自由に1票を投じることができる。この公平なルールこそが、選挙が正しく行われる一番の支えになっています。
投票用紙って、折って箱に入れても勝手にパッと開くハイテク素材なのか!すげー工夫だな!それに、誰に書いたかを絶対に秘密にできるから安心して本音が言えるんだな。
ええ。秘密がしっかり守られるからこそ、誰かに脅されたり遠慮したりせず、自分の本当の考えで選べるのよね。とても大切な民主主義の知恵なのよ。
選ばれた人は何をするの?街の未来をつくる仕事
選挙で見事たくさんの票を集めて選ばれた人は、「国会議員」や、県や市を引っ張る「知事」「市長」といった政治家になります。
では、選ばれた人たちは普段どんな仕事をしているのでしょうか?
政治家の仕事をひと言でいうと、「みんなが集めたお金(税金)の使い道を考え、安心で暮らしやすい社会のルール(法律)を作ること」です!
「政治」と聞くと遠い世界の話のように思えるかもしれませんが、実は小学生の生活にものすごく深く関わっています。具体的にどんなことを決めているのか見てみましょう。
- 学校や教育のルールを決める:みんなが毎日勉強で使っている教科書は、実は国から無料で配られています。この「教科書を無料にするルール」や、「教室にエアコンを設置する予算」「1クラスの人数を何人にするか」を決めたのも政治家です。
- 街の道路や公園をつくる:放課後に友達と遊ぶ公園を新しく作ったり、壊れた遊具を直したり、交通事故を防ぐために通学路にガードレールや信号機をつけたりするお仕事も政治が決めています。
- 医療や病院の仕組みを支える:風邪をひいたりケガをして病院に行ったとき、窓口で払う医療費が安く済むのは、国や自治体が医療費の大部分を助けてくれているからです。
- 地球の自然を守り、平和を保つ:街のゴミを減らしてリサイクルを進める法律を作ったり、他の国と仲良く協力して戦争を起こさないための約束を結んだりするのも大切な役割です。
このように、選ばれた人たちは自分勝手に好き放題できるわけではありません。「みんなから街の未来を託された代表」として、大きな責任を背負いながら毎日仕事をしているのです。
学校の教室に涼しいエアコンがついたのも、放課後に思いっきりサッカーができる公園があるのも、政治家の人たちが話し合って決めてくれたおかげだったのか!
そうなのよ。私が目指している看護師さんが働く病院のルールや設備も、政治の話し合いで支えられているわ。私たちの命や健康を守るために、なくてはならないお仕事なのね。
なぜ1票が大切?選挙に行かないとどうなる?
選挙で候補者に投票できる権利のことを「選挙権」と呼びます。
昔の日本では、たくさんのお金を国に納めている男性しか投票できませんでした。しかし、長い歴史の中で多くの人々が努力を重ね、今では性別や収入に関係なく、すべての人が選挙権を持てるようになりました。
さらに2016年からは、それまで「20歳以上」だった選挙権が引き下げられ、「満18歳以上」から投票できるようになりました!高校3年生の誕生日を迎えたら、すぐに選挙に参加できる時代になったのです。
「でも、日本には何千万人も有権者がいるんだから、自分ひとりが投票しなくたって結果は変わらないんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。
もしみんなが「面倒くさいから」「自分ひとりくらい行かなくても平気でしょ」と投票に行かなかったら、一体どうなってしまうのでしょうか?
Q. みんなが選挙に行かないとどうなるの?
A. 投票に行った「一部の人たちの意見」だけで世の中のルールが決まってしまいます!たとえば、若い人たちが選挙に行かないと、「投票に来てくれる人たちのためばかりにお金を使って、若者や子どものための公園や学校の予算は後回しにしよう」という偏った社会になってしまうおそれがあるのです。
選挙の一番すごいところは、「すべての人に完全に平等な1票がある」ということです。
大企業の社長さんでも、日本を引っ張る総理大臣でも、18歳になったばかりの学生でも、おじいちゃんもおばあちゃんも、持っている票は全員まったく同じ「1人1票」。
どんなにお金持ちでも2票書くことはできませんし、どんなに立場が違っても、みんなの1票の重さはまったく対等です。
つまり選挙とは、「国民のひとりひとりが、社会の主役として自分の意見をまっすぐに届けることができる最大のチャンス」なのです。
もし選挙に行かないとすれば、それは「自分のこれからの生活や未来のルールを、誰か他人に勝手に決められても文句は言いません」と諦めてしまうことと同じになってしまいます。
一人ひとりの1票は小さく見えても、それが何百万、何千万と集まることで、世の中をより良く動かす大きな力になるのです。
どれだけ偉い人でもお金持ちでも、全員まったく同じ「1人1票」っていうのがめちゃくちゃ公平でかっこいいよな!面倒くさがって行かないのは、自分の未来を捨てるようなもんだよな!
ふふ、その通りね。みんながきちんと1票を投じることで、偏りのない優しい社会が作られていくのよ。18歳になって選挙権をもらったら、責任を持って投票に行きたいわね!
まとめ
📝 今日のまとめノート
1
選挙は、約1億人全員で集まる代わりに、みんなの意見を届けてくれる「頼れる代表者」を選ぶ仕組み!
2
投票所ではだれにも見られない秘密投票が守られていて、自由に自分の心で1票を投じることができる!
3
18歳になると手に入る選挙権は全員平等に「1人1票」。未来の街や暮らしをつくる大切な権利!
🖍️ ✏️
選挙って大人の難しいニュースだと思ってたけど、俺たちの給食や公園、学校のエアコンまで全部つながってたんだな!18歳になったら、しっかり候補者を調べて絶対に投票しに行くぞ!
ええ、素晴らしい決意ね、はると!どんな街や日本にしたいか、お父さんやお母さんと選挙の話題について話してみるのも素敵な勉強になりそうね。
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