小学生でもわかる!「ワームホール」

ワームホール

はじめに

夜空を見上げると、たくさんの星がきらきらと輝いていますよね。 「あの星にはどんな宇宙人が住んでいるんだろう?」「宇宙船に乗って遊びに行ってみたいな!」とワクワクしたことがある人も多いはずです。

でも実は、宇宙は私たちが想像できないくらい、とてつもなく広いのです。

地球から一番近いお隣の恒星(太陽のように自分で光る星)である「プロキシマ・ケンタウリ」でさえ、光のスピードで飛んで4年以上もかかります。光のスピードといえば、たった1秒で地球を7周半もできるケタ外れの速さです。

もし、今の人類が持っている一番速いロケットに乗って行ったらどうなると思いますか? なんと、到着するまでに数万年もかかってしまいます! 人間の寿命は100年くらいですから、おじいちゃんやおばあちゃん、そのまたひ孫の代になってもまだまだ着きません。普通にロケットを飛ばしても、生きている間にたどり着くことは絶対にできないのです。

「じゃあ、遠くの宇宙に行くのは一生無理なの?」とがっかりしてしまいますよね。

そこで、世界中の大天才な物理学者たちが真剣に考えているのが、SF映画やアニメでも大人気の「ワームホール」です! まるでドラえもんの「どこでもドア」のように、何万光年も離れた遠い宇宙の場所と場所を、一瞬でつないでしまう夢の「近道トンネル」なのです。

はたして、そんなウルトラトンネルは本当に宇宙にあるのでしょうか? どんな仕組みになっているのでしょうか? 摩訶不思議なワームホールの秘密を、一緒に解き明かしていきましょう!

はると
はると
俺、いつか宇宙人の友達を作って宇宙サッカー大会を開くのが夢なんだ! でも、ロケットで何万年もかかるなんて知らなかったよ! 一瞬で行けるトンネルがあるなら、絶対に通ってみたいよな!
ひまり
ひまり
あはは、宇宙サッカーだなんてはるとらしい夢ね! でも、何万光年も離れた星へ一瞬で行けるなんて、まるで夢みたいな話だわ。本当にそんなトンネルが存在するのかしら?

ワームホールってなに? 宇宙の「ウルトラ近道トンネル」!

ワームホールを一言でいうと、「宇宙のふたつの場所をつなぐ、超スピードのショートカット(近道)トンネル」です。

でも、どうして「ワーム(虫)のホール(穴)」という不思議な名前がついているのでしょうか?

リンゴとイモムシのたとえ話

「ワーム(worm)」は、英語でミミズやイモムシのように、足のない小さな虫のことを意味します。

真っ赤なおいしそうなリンゴを頭の中に思い浮かべてみてください。 リンゴのてっぺんに、1匹の小さなイモムシがいます。このイモムシが、リンゴの真反対側(一番底)に行きたいとします。

普通に行くなら、リンゴのツルツルした丸い皮の表面を、トコトコと長い時間をかけて歩いていくしかありませんよね。外側をぐるりと回る遠回りです。

でも、もし食いしん坊のイモムシが、リンゴの真ん中をムシャムシャと食べて、芯をまっすぐ突き抜けるトンネルを掘ったらどうなるでしょうか?

皮の表面を歩くよりも、ずっと短い距離で、あっという間に反対側へ抜け出すことができますよね!

リンゴの皮を歩くより、真ん中を突き抜けたほうが早い!
リンゴの表面を歩くと遠回りになりますが、イモムシのように真ん中をくりぬいてトンネルを作れば、反対側へショートカットできます。宇宙空間をまっすぐ進むのではなく、空間を通り抜けて近道をする穴だから「ワームホール(虫食い穴)」と名付けられたのです。

宇宙でもこれとまったく同じことが考えられています。 宇宙の端から端まで普通に飛んでいくと何万年もかかる場所でも、宇宙の真ん中をズドンと貫くトンネルを通れば、一瞬で目的地に着いてしまうのです。

紙をペタン! 誰でもできる「ワームホール実験」

「宇宙の真ん中を突き抜けるって、どういうこと?」と不思議に思いますよね。 手元にあるノートや紙を使って、今すぐできる簡単な実験で確かめてみましょう!

  1. 長方形の紙を1枚用意します。
  2. 紙の左端に「地球(A地点)」、右端に「10万光年離れた星(B地点)」と鉛筆で印をつけます。
  3. 紙を机の上に平らに広げます。

紙の上をアリさんが歩いていくと、左端のA地点から右端のB地点までは、紙の端から端まで長い距離をテクテク歩かなければなりません。

ところが、この紙を真ん中でふたつに折って、A地点とB地点をペタッと重ね合わせてみてください。 そして、重なったふたつの印の場所を、鉛筆の先で「プチッ」と刺して穴をあけてみましょう!

どうでしょうか? さっきまではあんなに遠く離れていたA地点とB地点の距離が、なんと「0センチ」になりました! 穴を通れば、一瞬で地球から遠くの星へワープできてしまいますよね。

これが、ワームホールの基本的な考え方です。 宇宙空間そのものがグニャリと曲がることで、遠く離れた星同士がすぐ目の前にくっついてしまうのです!

はると
はると
紙を折って鉛筆で刺す実験、すげーわかりやすいじゃん! サッカーでも、敵のディフェンスの外側を遠回りして走るより、股の間を狙ってスルーパスを通したほうが一瞬でチャンスになるもんな!
ひまり
ひまり
なるほど、スルーパスにたとえるなんて面白いわね! でも紙なら手で折れるけれど、私たちが住んでいるこの宇宙の空間を、いったい誰がどうやって折り曲げるのかしら?
紙を折り曲げて遠くの星をつなぐワームホールの近道イメージ

アインシュタインの「時空のゆがみ」とブラックホール

「宇宙空間を曲げるなんて、本当にできるの?」と誰もが思いますよね。 実は今から100年以上も前に、「宇宙は曲がる!」という大発見をした超天才がいました。 彼の名前は、アルバート・アインシュタインです。

宇宙は巨大なトランポリン!? 重力の秘密

アインシュタインは1915年に「一般相対性理論」という理論を発表しました。 この理論によると、「宇宙の空間や時間は、重い星があるとグニャリと沈み込んでゆがむ」というのです。

ピンと張られた巨大なトランポリンの布をイメージしてみてください。 その布の上に、重いボウリングの玉をドスンと置くとどうなるでしょうか?

ボウリングの玉の重みで、まわりの布がズシッと深く沈み込みますよね。 そこに小さなビー玉を転がすと、深くへこんだボウリングの玉のほうへ引き寄せられてコロコロと落ちていきます。 実は、これが「重力(引力)」の正体なのです!

太陽や地球のように重い星がある場所では、宇宙という目に見えない布がグニャリとへこんでいます。 つまり、宇宙はカチコチに固まった箱ではなく、ゴムや布のように柔らかく曲がるものだったのです。

ブラックホールとホワイトホールをつなぐ橋

では、トランポリンの上に、想像を絶するほど重い玉を置いたらどうなるでしょう? 布は限界まで深く引き伸ばされ、底が突き抜けてしまうような深い穴があいてしまいます。

これが、宇宙で最も恐ろしい天体と呼ばれる「ブラックホール」です! ブラックホールはケタ外れの重力を持っていて、近くにある星やガスはもちろん、宇宙で一番速い光さえも吸い込んで二度と逃がしません。

「でも、ブラックホールに吸い込まれたものは、いったいどこへ行っちゃうの?」

そこで科学者たちは考えました。 「何でも吸い込む入口(ブラックホール)があるなら、吸い込んだものを別の宇宙へドカンと吐き出す出口があるはずだ!」

この夢の出口は、ブラック(黒)の反対で「ホワイトホール(白い穴)」と名付けられました。

吸い込む入口「ブラックホール」
光さえも絶対に逃げられない超強力な重力!
まわりの星やチリを何でもペロリと吸い込んでしまう!
吐き出す出口「ホワイトホール」
吸い込まれたエネルギーや物質を勢いよく吐き出す!
理論上の天体で、宇宙の中でまだ誰も見たことがない!

そして、この「入口のブラックホール」と「出口のホワイトホール」を地下深くでギュッとつないでいるトンネルこそが、まさに「ワームホール」なのです! 科学者たちはふたりの研究者の名前をとって「アインシュタイン・ローゼン橋」とも呼んでいます。

はると
はると
ブラックホールとホワイトホールがつながった地下トンネルなのか! トランポリンの底が抜けて別の場所につながるなんて、めちゃくちゃかっこいいぜ! 入ったら滑り台みたいに飛び出せるのかな?
ひまり
ひまり
宇宙の滑り台だなんて楽しそうね! でもブラックホールって、光すら逃げられないくらい強烈な力でつぶされちゃう場所よね? 人間が入っても無事でいられるのかしら……?
ワームホールの中を進むスペースシップ

ワームホールを通ったらどうなる? タイムトラベルの可能性

もし未来の科学技術が進んで、安全に通れるワームホールが見つかったら、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか? そこには、SF映画顔負けの驚くべき世界が待っています!

遠い銀河へ数秒でお引っ越し!

まず、宇宙旅行の常識が完全にひっくり返ります。 何万光年も離れた別の銀河や、生命がいるかもしれない地球そっくりの星へ、トンネルを一歩くぐるだけでたったの数秒で行けるようになります。

「今度の日曜日は、アンドロメダ銀河の宇宙ステーションまでサッカーの試合をしに行こう!」なんてことが、当たり前になる未来がやってくるかもしれません。

過去や未来へ行ける!? 夢のタイムマシン

さらに驚きなのが、ワームホールを使えば「タイムトラベル」ができるかもしれないということです!

アインシュタインの理論では、「ものすごいスピードで動いているものは、時間の流れるスピードが遅くなる」という不思議なルールがあります。

もしワームホールの片方の出口だけを宇宙船に乗せて、光に近い猛スピードで宇宙をビュンビュン飛び回らせてから元の場所に戻すとどうなるでしょうか? 猛スピードで動いていた出口のほうは、じっとしていた入口よりも時間の進み方がずっと遅くなります。

つまり、「現在」と「過去」をつなぐタイムトンネルができあがってしまうのです! トンネルを行ったり来たりするだけで、過去の世界へ行って本物の恐竜を見たり、1000年後の未来の世界へ遊びに行ったりできるかもしれません。

でも危険がいっぱい! 通り抜けるための「3つの大問題」

「そんなの最高じゃん! 早く作ってよ!」と叫びたくなりますよね。 でも、人間が安全にワームホールを通るためには、まだ解決できていない巨大な壁が3つあります。

  1. 一瞬でつぶれちゃう!:ワームホールはものすごく不安定で、できた瞬間に自分の重力でギュッと縮んでペシャンコにつぶれてしまいます。
  2. 重力が強すぎてバラバラになる!:入口付近の重力が強烈すぎて、人間や宇宙船が入った瞬間に、パスタの麺のように細長く引き伸ばされて粉々になってしまいます(科学者たちは大真面目に「スパゲッティ化現象」と呼んでいます!)。
  3. トンネルを開いておく特別なエネルギーがない!:トンネルがつぶれないように内側からグッと押し広げて支えるには、「エキゾチック物質(マイナスのエネルギー)」という、まだ誰も手に入れたことがない特別な物質が必要です。
Q. ワームホールに入ったらペシャンコにつぶされないの?
A. 大正解、実はそこが大問題なのです! ワームホールは放っておくと一瞬で閉じてしまいます。人間や宇宙船が安全に通るには、重力に逆らってトンネルを内側から支え続ける「マイナスの質量(エキゾチック物質)」が必要だと考えられています。

今のところ、この「マイナスのエネルギー」をどうやって見つけるかが、世界中の科学者たちを悩ませる最大の難問なのです。

はると
はると
うわっ、入った瞬間にパスタみたいに伸ばされちゃうのかよ! でも、トンネルを支えるマイナスのエネルギーを発見できたら、世界初のタイムマシンが完成するってことだよな! 燃えてきたぜ!
ひまり
ひまり
うーん、パスタになっちゃうのは困るけれど、タイムトラベルができるかもしれないなんて本当にロマンがあるわね。看護師さんとして、未来の医療技術を見学に行ってみたいわ!
未来の宇宙ステーションから遠い銀河へ飛び立つ宇宙船

まとめ:宇宙のなぞはまだまだいっぱい!

SFの世界のお話だと思っていたワームホールですが、実は最先端の物理学によって、本気で研究されている大真面目な科学のテーマなのです。

📝 今日のまとめノート
1 ワームホールは宇宙の近道!:何万年もかかる遠い宇宙を、一瞬で結ぶショートカットトンネル!
2 リンゴや紙折りでわかる!:宇宙空間がグニャリと曲がることで、遠くの場所同士が目の前につながる!
3 アインシュタインの理論から誕生!:何でも吸い込む「ブラックホール」と吐き出す「ホワイトホール」がつながった姿だと考えられている!
4 タイムトラベルの可能性も!:通り抜けるには、トンネルがつぶれないよう内側から支える「マイナスのエネルギー」が必要!
🖍️ ✏️

今のところ、ワームホールは科学者たちの計算用紙の上だけに存在する「理論上のトンネル」です。 まだ本物のワームホールを望遠鏡で見つけた人はいません。

でも、昔は「ブラックホールなんて本当にあるわけない」とみんなに笑われていたのに、2019年には人類が初めてブラックホールの撮影に大成功しました! 科学の歴史では、かつて「夢物語」だと思われていたことが、何十年もあとに現実になることがたくさんあります。

もしかすると数十年後、ワームホールを通り抜けて銀河を自由に飛び回る宇宙船のキャプテンになっているのは、今この記事を読んでいる君かもしれませんよ!

はると
はると
俺、今日の宇宙の話を聞いてめちゃくちゃワクワクしたぜ! サッカーの練習も全力で頑張るけど、夜空を見上げて宇宙の近道を探してみたくなったよな!
ひまり
ひまり
くすっ、素敵な夢ね、はると! でも、宇宙の近道を探しに行く前に、まずは机の上の夏休みの宿題を終わらせる近道を見つけないと、お母さんに叱られちゃうわよ?
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