小学生でもわかる!「ナポレオン」

ナポレオン

はじめに

馬に乗ってかっこよくマントをひるがえし、険しい山を越えていく姿。歴史の教科書や図鑑で、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

その人物の名前は、ナポレオン・ボナパルト。「私の辞書に不可能という文字はない」というあまりにも有名な名言を残した、フランスの偉大な英雄です。

まるで生まれつき無敵のスーパーヒーローのように思えるナポレオンですが、実は最初から大スターだったわけではありません。フランスの中心地から遠く離れた小さな島で生まれ、子どもの頃は言葉のなまりをからかわれて友達もおらず、図書館で一人ぼっちで本を読みあさっていた「いじめられっ子の読書少年」だったのです。

そんな彼が、なぜ国を動かす皇帝にまで上りつめ、ヨーロッパ中をあっと言わせる強い軍隊を作ることができたのでしょうか?そして、戦争で勝ちまくった彼が本当に世界に残した「一番の宝物」とは何だったのでしょうか?

今回は、ナポレオンの波乱万丈なドラマと強さの秘密を、小学生のみなさんにもわかりやすく解き明かしていきます!

はると
はると
ナポレオンって、あの白馬に乗ったかっこいい絵で有名だよな!「不可能はない」なんて言ってみたいし、今日のサッカーの試合前にも使えそうだな!
ひまり
ひまり
ふふ、試合に気合いを入れるのはいいけれど、ナポレオンはただ威張っていたわけじゃないのよ。実はものすごい勉強家だったんだから。一緒に歴史のひみつを調べてみましょう!

ナポレオンってどんな人?

ナポレオンは1769年、地中海に浮かぶ「コルシカ島」という小さな島で生まれました。

当時のフランスの中心地・パリからは遠く離れた田舎で、島の人々が話す言葉はイタリア語にとても近いものでした。そのため、10歳でフランス本土の陸軍幼年学校に入学したとき、ナポレオンはフランス語を上手に話せず、ひどい田舎なまりを周りの同級生たちにバカにされていじめられてしまいます。

しかし、ナポレオンは泣き寝入りするような少年ではありませんでした。「今に見ていろ、絶対に見返してやる!」と悔しさをエネルギーに変え、図書館にこもって本を読みあさるようになったのです。

ナポレオンが夢中になったのは、歴史・地理・数学の3つでした。

  • 歴史:大昔のアレクサンドロス大王やカエサルなど、偉大なリーダーたちがどうやって戦って国を治めたかを徹底的に研究しました。
  • 地理:山や川の形、街道の広さなどを頭に叩き込み、地図を見るだけで作戦がひらめく力を養いました。
  • 数学:大砲の弾がどこまで飛ぶか、どう計算すれば狙い通りに命中するかを正確に割り出す力を身につけました。

そんなナポレオンが20歳になった頃、フランスで歴史を揺るがす大事件「フランス革命」が起きます。王様が支配していた古い社会が倒され、世の中が大きく混乱しました。

それまでのフランスでは、どんなに優秀でも「身分の高い貴族」でなければ出世できませんでした。しかし革命によって、「身分に関係なく、本当に実力がある人が活躍できる時代」がやってきたのです!

本を読んで圧倒的な知識と計算力を身につけていたナポレオンにとって、これは千載一遇の大チャンスでした。彼は持ち前の知恵を発揮して数々の戦いで大活躍し、驚異的なスピードで出世街道を駆け上がっていったのです。

少年時代 vs 青年時代(皇帝へ)
少年時代:本が親友のいじめられっ子
フランスから遠いコルシカ島生まれで、フランス語のなまりを笑われた
悔しさをバネに、図書館で歴史や数学の本を誰よりも熱心に読みあさった!
青年時代:実力で頂点に立った皇帝
フランス革命の混乱の中、天才的な作戦と計算力で連戦連勝を重ねる
家柄や身分に関係なく、わずか35歳の若さでフランスの「皇帝」に上りつめた!
はると
はると
えっ、最初はフランス語が苦手でからかわれてたのか!でも悔しさをバネにして猛勉強したからこそ、チャンスが来たときに大活躍できたんだな。すごくかっこいいじゃん!
ひまり
ひまり
ええ、自分の置かれた環境のせいにせず、知識を蓄えて準備していたのが素晴らしいわね。だからこそ、身分に関係なく実力で認められる時代が来たときに羽ばたけたのよ。
少年時代のナポレオンが本や地図に囲まれて勉強する様子

なぜ連戦連勝できたの?強さの秘密

軍の司令官になったナポレオンは、イタリアやオーストリアなど周りの強力な敵国との戦いで勝ちまくりました。生涯で戦った回数は60回以上、そのうち40回以上も大勝利をおさめたと言われています。

では、なぜナポレオンの軍隊はそれほどまでに強かったのでしょうか?強さの秘密は「圧倒的なスピード」と「実力主義のチームワーク」にありました。

当時のヨーロッパの戦いでは、重いテントや贅沢な食料をたくさんの荷車に積み、兵士たちがのんびり行進するのが当たり前でした。しかし、ナポレオンは違いました。 「余計な荷物はすべて置いていけ!現地で調達すればいい!」と、荷物を極限まで減らして、敵が予想もしない猛スピードで移動したのです。

サッカーで例えるなら、相手チームが守りのフォーメーションを整えて構える前に、全員が猛ダッシュでパスをつなぎ、一瞬でゴール前に切り込む「電撃カウンターアタック」のようなものでした。

STEP 1 余計な荷物を捨てて、敵の予想をこえる猛スピードで移動する!
敵が「まだ遠くにいるはずだ」と油断している間に、数倍の速さで一気に目の前に姿を現し、相手の作戦を狂わせました。
STEP 2 敵が合流する前に、すばやい動きで間へ割り込んで分断する!
敵の軍隊が2つに分かれているスキを見つけると、合流される前に猛スピードでその間へ飛び込み、バラバラにしました。
STEP 3 一番弱いポイントに味方全員のパワーを集中させて一撃で倒す!
敵全体の数が多くても、目の前にいる一部の部隊だけなら自分たちのほうが有利です。弱点に戦力を集中させて各個撃破しました!

さらにナポレオンは、兵士たちのやる気を引き出す天才でもありました。 昔の軍隊では、隊長になれるのはお金持ちの貴族の子どもばかりでした。しかしナポレオンは、普通の農民出身の兵士であっても、勇気を出して手柄を立てた人はどんどん隊長に抜擢したのです。

「頑張れば自分もリーダーになれる!」「ナポレオン司令官は俺たちの努力をちゃんと見てくれている!」と、兵士たちの士気は最高潮に燃え上がりました。

そして1800年、ナポレオンは「険しすぎて軍隊が越えるのは不可能」と言われていた雪深いアルプス山脈を、大軍を率いて突破します。敵の背後にいきなり現れて完全勝利をおさめたこの出来事は、ヨーロッパ中を震撼させました。

ここだけのウラ話:あの白馬、実は「ロバ」だった!?
ダヴィッドが描いた超有名なあの絵では、ナポレオンが美しい白馬に乗ってポーズを決めていますよね。 でも実際の険しい雪山で馬に乗るのは危険すぎるため、ナポレオンは足腰が強くて安全な「ラバ(ロバと馬の子ども)」に乗り、現地のガイドさんに手綱を引いてもらって静かに山を越えたと言われています。 「かっこいい姿を描いてくれ!」というナポレオンの注文で、あのスーパーヒーローのような名画が誕生したんだよ!
はると
はると
すげー!荷物を減らして猛ダッシュする作戦、まさにサッカーの電撃カウンターだな!それにあの白馬の絵、実はロバだったのかよ!かっこよく見せる作戦もバッチリだな!
ひまり
ひまり
ふふ、イメージ戦略も一流だったのね。でも身分に関係なく、頑張った人をしっかり評価してリーダーにしたからこそ、みんなが本気でナポレオンについていったのね。
アルプス山脈を越えるナポレオンの勇姿(ダヴィッド作)

世界を大きく変えた「ナポレオン法典」

ナポレオンといえば「戦いに強い将軍」というイメージがありますが、実は彼自身が「私の本当の功績は戦争の勝利ではない」と、一番誇りに思っていた大仕事があります。

それが、1804年に完成させた「ナポレオン法典(フランス民法典)」という法律です。

それまでのヨーロッパでは、住んでいる地域ごとに法律がバラバラで、しかも「貴族やお金持ちはひいきされ、普通の市民は重い税金を取られる」という、とても不公平なルールばかりでした。

もし学校のクラスで、「先生に気に入られている人だけ宿題が免除で、他の人は宿題が2倍!」なんてルールがあったら、絶対に納得できませんよね。

ナポレオンはそうした不公平をなくすため、フランス全土で通用する公平でわかりやすい統一ルールを作ったのです。ナポレオン法典の主なポイントは次の3つです。

  1. 法の下の平等:生まれや身分、家柄に関係なく、すべての人が同じ法律のルールで平等に扱われる。
  2. 個人の財産を守る権利:自分が一生懸命働いて手に入れたお金や土地は、たとえ国のリーダーであっても勝手に奪うことはできない。
  3. 契約の自由:だれとどんな仕事をするか、どんな約束を結ぶかは、身分に縛られず自分で自由に決めることができる。
Q. ナポレオンはなぜ戦争の勝利より法律を誇りに思ったの?
A. ナポレオンは後に「私の本当の栄光は、40回の戦いに勝ったことではない。ワーテルローの敗北でその記憶は消えてしまうだろう。だが、永遠に残るものがある。それは私の民法典(ナポレオン法典)だ」と語ったんだよ。

このナポレオン法典の精神は、ヨーロッパ中だけでなく、明治時代の日本にも伝わりました。そして、いま私たちが暮らしている日本の「民法」の基礎にもなっているのです。

ナポレオンが築いた帝国はやがて崩壊してしまいましたが、彼が作った「みんなが平等に暮らすためのルール」は、200年以上たった現代の世界にもしっかりと生き続けています。

はると
はると
戦いに勝ったことよりも、法律を作ったことのほうが誇りだったなんて意外だな!でも、「誰でもルールのもとで平等」っていうのは、今の学校や社会でも一番大事なことだよな。
ひまり
ひまり
本当にそうね。私たちが生まれに関係なく自由に夢を目指せるのも、ナポレオンたちが古い不公平な身分制度を壊して、平等のルールを広めてくれたおかげでもあるのよ。
1804年に発布されたナポレオン法典(フランス民法典)の初版本
▲ 1804年に発布されたナポレオン法典(フランス民法典)の初版本(出典: Wikimedia Commons)

なぜ最後に負けたの?栄光と挫折

1804年、35歳の若さでフランスの「皇帝」に即位したナポレオン。イギリスをのぞくヨーロッパ大陸のほとんどを自分の支配下に置き、まさに世界の頂点に立ちました。

しかし、無敵に見えたナポレオンにも、やがて大きな落とし穴が待ち受けていました。

最大のつまずきとなったのが、1812年の「ロシア遠征」です。言うことを聞かないロシアを屈服させるため、ナポレオンは約60万人もの巨大な軍隊を率いてロシアへ攻め込みました。

ところが、ロシア軍は正面からまともに戦おうとしません。町や畑を焼き払いながら、ひたすら奥地へと逃げ続けました(焦土作戦)。

実はここに、ナポレオン最大の誤算がありました。ナポレオン軍の最大の強みは「荷物を極限まで減らして、現地で食料を手に入れるスピード作戦」でしたよね。ところがロシア軍が町も畑もすべて燃やして逃げ去ったため、現地で手に入る食べ物が完全にゼロになってしまったのです!

そして、ナポレオン軍を決定的な地獄へ突き落としたのが、ロシアの恐ろしい寒さ「冬将軍」でした。マイナス30度をこえる極寒の中、防寒着も食料も足りない兵士たちは次々と倒れ、60万人いた軍隊のうち、生きてフランスへ戻ることができたのはわずか数万人だけだったのです。

無敵のヒーローが陥った「油断のワナ」!
ゲームでも強いボスを倒し続けて連戦連勝すると、「俺は絶対に負けない!」と調子に乗って回復アイテムの準備をおろそかにしてしまうことがありますよね。
ナポレオンも勝ち続けたことで自信過剰になり、「ロシアの寒さや広大さ」という自然の恐ろしさを甘く見てしまったのです。

この大惨敗を見たヨーロッパの国々は、「今こそナポレオンを倒すときだ!」と結束して立ち上がりました。

ナポレオンは一度退位して「エルバ島」という島に追放されますが、翌年奇跡の脱出を果たし、再び皇帝の座に返り咲きます(百日天下)。しかし、1815年の「ワーテルローの戦い」でイギリスなどの連合軍に決定的な敗北を喫しました。

今度は遠く離れた大西洋の孤島「セントヘレナ島」へ流され、二度と戻ることは叶わず、1821年に51歳でその波乱に満ちた生涯を終えたのです。

はると
はると
うわあ、マイナス30度の寒さと食料不足でそんな大敗をしちゃったのか……。どんなに天才で無敵に見える人でも、油断したり自然の厳しさを甘く見ちゃダメなんだな。
ひまり
ひまり
そうね。勝ち続けているときほど謙虚になって、周りの声を聞いたりしっかり準備をすることが大切だと、ナポレオンの挫折から学べるわね。
ロシアの厳しい吹雪の中を行軍するナポレオン軍

まとめ

小さな島の読書好きだった少年から、ヨーロッパを動かす皇帝へと駆け上がったナポレオン。彼のドラマチックな生涯からは、私たちが生きていく上で大切なヒントがたくさん見つかります。

📝 今日のまとめノート
1 本から学んだ知識が人生を変える:遠い島の出身でからかわれても、歴史や数学を熱心に学んだ知識が、チャンスをつかむ最強の武器になった!
2 スピードとチームワークが結果を生む:常識にとらわれない移動スピードと、身分を問わず努力した人を評価するリーダーシップで不可能を可能にした!
3 本当に残るものは「公平なルール」:戦争で手に入れた土地は失われても、「法の下の平等」を定めたナポレオン法典の精神はいまの世界や日本にも生き続けている!
🖍️ ✏️

「私の辞書に不可能という文字はない」という言葉は、ただの威張り言葉ではありません。徹底的に本を読んで知識をたくわえ、仲間を信じて誰よりも速く行動したナポレオンだからこそ言えた、熱い覚悟の言葉だったのです。

みなさんも目の前の勉強やスポーツで「無理かもしれない」と思ったときは、ぜひナポレオンの不屈のチャレンジ精神を思い出してみてくださいね!

はると
はると
「不可能はない」って言葉、ただの自信満々じゃなくて、めちゃくちゃ勉強して準備したからこそ言えた言葉だったんだな!俺も宿題から逃げずに、しっかり準備して午後のサッカーを頑張るぞ!
ひまり
ひまり
ふふ、その意気よ、はると!宿題をスピード作戦でパパッと終わらせたら、思いっきり練習に集中できるわね。一緒に頑張りましょう!
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