小学生でもわかる!「人工衛星(じんこうえいせい)」

小学生でもわかる! 「人工衛星」

はじめに

実は今この瞬間も、あなたの頭の上はるか宇宙を、新幹線の約100倍という超猛スピードで飛び回っているスーパーメカがいるのを知っていますか?

朝起きてテレビをつけたとき、「今日の午後は雨が降るから傘を持っていこう!」と天気予報をチェックしたことはありませんか?

また、家族とお出かけするときに、お父さんやお母さんのスマートフォンで地図アプリを開くと、自分が今いる場所がピカッと青い丸で正確に表示されますよね。

「でも、どうして雲の動きや自分がいる場所が、そんなにピタリとわかるんだろう?」と不思議に思…思ったことはないでしょうか。

実はその答えこそが、空高くの宇宙をものすごいスピードで飛び回っている「人工衛星」なんです!

月のように地球のまわりを回っている星を「衛星」と呼びますが、人間が科学の力で作って宇宙へ打ち上げた機械なので「人工」衛星と呼ばれています。

普段は地上から目で見ることができませんが、人工衛星は宇宙から私たちのくらしを24時間ずっと見守り、支えてくれている頼もしいスーパーヒーローです。

人工衛星はどうやって宇宙へ行くのでしょうか?なぜ地面に落ちてこないのでしょうか?そして宇宙でどんな仕事をしているのでしょうか?

知れば知るほどワクワクする人工衛星のひみつを、いっしょに解き明かしていきましょう!

はると
はると
今日のサッカーの試合、雨が降るか心配だったけど、天気予報で「午後は晴れ」って見て安心したぜ!あれも人工衛星のおかげなのか?
ひまり
ひまり
そうよ、はると。テレビの天気予報だけじゃなくて、スマホのマップやテレビ中継も人工衛星が大活躍しているの。宇宙から私たちの生活を見守ってくれているのよ。

人工衛星ってなに?どうして地球に落ちてこないの?

人工衛星は、地球のまわりをグルグルと回り続けている人工の機械です。

でも、ここでひとつ大きな疑問が浮かびませんか?

地球には、すべてのものを地面に向かって強く引っ張る「重力」があります。サッカーボールを空高く蹴り上げても、必ず地面に落ちてきますよね。

それなのに、重さが何トンもある巨大な人工衛星が、どうして地面に落ちてこないのでしょうか?

実は、人工衛星は「常に地球に向かって落ち続けている」のです!

「えっ!?落ち続けているのに地面にぶつからないの?」と驚きますよね。その秘密は、人工衛星が前に進む「とてつもないスピード」にあります。

公園でボールを手からポロッと落とすと、真下の地面に落ちます。前に向かって強く投げると、少し遠くの地面に落ちますよね。

もし、世界最強の大砲を使って、ものすごい超猛スピードでボールを前に発射したらどうなるでしょうか?

地球は平らではなく、丸い形をしています。そのため、ボールがグーンと遠くまで飛んでいくと、地球の地面も丸みに沿ってだんだんカーブして逃げていきます。

ボールが地球の引力で下へ「落ちるカーブ」と、地球の表面が丸く曲がっていく「カーブ」がピッタリ同じになるスピードで前に進むと、ボールはずーっと地面に向かって落ち続けているのに、いつまでたっても地面にぶつかりません。

この奇跡のようなスピードが、秒速約8キロメートル(時速約2万8000キロメートル)です!

たった1秒の間に8キロメートルも進んでしまう速さで、新幹線の約100倍、東京から新横浜までたった3秒で着いてしまうほどのスピードです。

宇宙空間には空気がほとんど存在しないため、空気の抵抗(ブレーキ)がありません。そのため、一度このスピードに乗ってしまえば、エンジンを止めても慣性の力でいつまでも地球のまわりを回り続けることができるのです。

300年前に見抜いていた!?科学者ニュートンのひらめき
「落ち続けているのに地面にぶつからない」という不思議な仕組みは、実は300年以上も昔にイギリスの天才科学者アイザック・ニュートンが頭の中で考えた実験(ニュートンの大砲)そのものです!
リンゴが木から落ちるのを見て「重力」を発見したニュートンは、「高い山の上から大砲の弾をものすごいスピードで撃ち出せば、地球をぐるりと回って戻ってくるはずだ」と気づきました。まだ宇宙ロケットも人工衛星もなかった大昔に、現代の宇宙開発の基本をすべて見抜いていたなんて驚きですね!
はると
はると
秒速8キロメートル!?俺の全力シュートでも時速数十キロなのに、新幹線の100倍なんてケタ違いだな!落ち続けているのにぶつからないって、頭では分かっても不思議ですげー!
ひまり
ひまり
ふふ、地球が丸いからこそ起きる特別なバランスなのよね。空気のブレーキがない宇宙だからこそ、エネルギーを使わずにずーっと回り続けられるのよ。
地球のまわりを回る人工衛星

どうやって宇宙へ行くの?ロケットと太陽の力

秒速8キロメートルというものすごいスピードで飛ぶ人工衛星ですが、自分自身の力だけで地面から宇宙へ飛び立つことはできません。

では、どうやってあの高い宇宙まで行くのでしょうか?

ロケットという「宇宙の配達便」に乗って出発!

人工衛星を宇宙へ連れて行ってくれるのが、巨大な「ロケット」です。

ロケットは、後ろから猛烈な炎とガスを噴射して、地球の重力と分厚い空気の壁を突き破る強力な乗り物です。人工衛星は、ロケットのてっぺんにあるカバー(フェアリング)の中に大切に包まれて宇宙へと運ばれます。

宇宙に到着して必要なスピードに達すると、ロケットからポーンと切り離され、人工衛星は自分の軌道を進み始めます。

STEP 1 ロケットの頭に乗って宇宙へ出発!
ロケットの先端カバーの中にコンパクトに折りたたまれて積み込まれ、ものすごいパワーで宇宙へ打ち上げられます。
STEP 2 宇宙空間でロケットから切り離される!
目的の高さ(上空数百〜数万キロメートル)に到着して秒速8キロメートルに達すると、カバーが開いて人工衛星が宇宙空間へ優しく押し出されます。
STEP 3 大きなソーラーパネルを広げて発電スタート!
折りたたんでいた太陽電池の翼をパッと広げ、太陽の光を浴びて電気を作り、いよいよ観測や通信の仕事を始めます。

宇宙でのエネルギーは「太陽の光」で自給自足!

宇宙には電気のコンセントもありませんし、乾電池を取り替えに行くこともできません。

では、人工衛星はどうやって電気を手に入れているのでしょうか?

その秘密が、人工衛星の両側に大きく広がっている板、「ソーラーパネル(太陽電池パドル)」です。

打ち上げられるときはロケットの中に収まるように小さく折りたたまれていますが、宇宙空間に出ると、鳥が翼を広げるようにパッと大きく開きます。

宇宙には太陽の光をさえぎる雲も雨もありません。そのため、太陽の光をたっぷりと浴びて、何年間も休むことなく電気を自分で作り続けることができるのです。地球の影に入って太陽が当たらない時間帯のために、充電できる高性能なバッテリーも積み込まれています。

はると
はると
ロケットは宇宙まで届けてくれる配達便で、宇宙に着いたらバイバイするんだな。太陽の光で電気を自分で作るなんて、環境にも優しくてかっこいいぜ!
ひまり
ひまり
そうね。何年も宇宙で元気に働き続けるために、壊れにくい工夫や自分でエネルギーを生み出すハイテクな仕組みがたくさん詰まっているのよ。
宇宙へ飛び立つ日本のH-IIAロケット
▲ 人工衛星を宇宙へ運ぶ日本の主力ロケット「H-IIA」の実写写真

くらしを守る!大活躍する人工衛星の5つの仕事

地上からは見渡せない広い地球全体を一気に見下ろしたり、障害物のない宇宙から電波を遠くまで届けたりできるのが、人工衛星のすごいところです。

私たちのくらしの中で、人工衛星は主に5つの大きな仕事をこなしています。

  1. 天気予報を見守る「気象衛星」:
    テレビの天気予報でおなじみの「ひまわり」が代表例です。日本の気象衛星ひまわりは、赤道の上空約3万6000キロメートルというはるか遠くから、地球の半分をまるごとカメラで観察しています。台風がどこで発生して、雨雲がどちらへ動いているかを24時間休まず撮影し、大雨や暴風の危険を早く知らせてくれます。
  2. 自分の居場所をピタリと当てる「測位衛星」:
    スマートフォンの地図アプリやカーナビ、ゲームアプリのGPS機能に使われています。宇宙から正確な時間をのせた電波を発信していて、スマホがいくつかの衛星からの電波をキャッチすることで、「いま地球上のどこにいるのか」をわずか数メートルのズレもなく計算できます。日本の上空を通る「みちびき」という衛星も大活躍しています。
  3. 世界中の情報をつなぐ「通信・放送衛星」:
    地球の裏側で行われているサッカーのワールドカップやオリンピックの生中継、遠く離れた山奥や船の上でのインターネット通信などを届けています。山や建物などの障害物がない宇宙を経由して電波を中継するため、世界中のどこへでも一瞬で映像や音声を送ることができます。
  4. 地球の健康状態を調べる「地球観測衛星」:
    特殊なカメラや電波レーダーを使って、森の木が減っていないか、地球温暖化で北極の氷が溶けていないか、大きな地震で地面がどのようにずれたかを調べる「地球のお医者さん」です。夜の暗闇でも、厚い雲の上からでも、地面の様子をクッキリ見通せる衛星もあります。
  5. 宇宙の果てや遠い星を観察する「宇宙望遠鏡」:
    ハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のように、宇宙そのものを観察する人工衛星もあります。地球の空気(大気)による光のゆらぎやチリに邪魔されないため、何十億光年も遠くにある生まれたての銀河や未知の惑星の姿を、驚くほど鮮明にとらえることができます。
Q. 人工衛星は宇宙のどのくらいの高さを飛んでいるの?
A. 一番低い「低軌道(国際宇宙ステーションなど)」は約400〜1000km、天気予報の「ひまわり」がいる「静止軌道」は約3万6000km(地球約3周分!)もの上空を飛んでいるよ!目的によって飛ぶ高さが全然違う特等席なんだね。
はると
はると
海外のサッカーの試合が生中継で見られるのも通信衛星のおかげなんだな!それに「みちびき」が俺たちの場所を正確に教えてくれるなんて頼もしすぎるぜ!
ひまり
ひまり
病気の早期発見と同じで、地球観測衛星が台風や地震の被害をすぐに見つけてくれるから、たくさんの人の命を救うことにもつながっているのね。
宇宙から地球を見守る気象衛星ひまわり
▲ 宇宙から地球の天気を24時間見守る気象衛星「ひまわり」の実写写真

人工衛星の未来と宇宙ゴミ(スペースデブリ)

私たちのくらしを便利にしてくれる人工衛星ですが、ずっと永遠に働き続けられるわけではありません。

機械の寿命がきたり、向きを変える燃料がなくなったりすると、およそ10年から15年ほどで役目を終えます。

では、役目を終えた人工衛星はどうなるのでしょうか?

役目を終えた衛星のゆくえ

地球に近いところ(高度数百キロメートル)を飛んでいた衛星は、少しずつ地球の薄い空気の層へ落ちるようにコントロールされます。大気圏へ猛スピードで突入するとき、空気との激しい摩擦熱によってほとんどが跡形もなく燃え尽きて消えてしまいます。

一方、はるか上空の3万6000キロメートルを飛んでいる衛星は地上まで落とすことが難しいため、さらに遠くの「墓場軌道」と呼ばれる使われていない安全な場所へ移動させて、他の衛星の邪魔にならないようにします。

深刻な問題!「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」

しかし、昔打ち上げられて故障して放置された衛星や、ロケットの切り離し部品、宇宙で爆発や衝突をしてバラバラになった破片が、今も地球のまわりを飛び続けています。

これらを「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」と呼びます。

スペースデブリの数は、1ミリ以上の小さなチリまで数えると数億個以上もあると言われています。

しかも、宇宙ゴミも人工衛星と同じように秒速7〜8キロメートルという超猛スピードで飛んでいます。そのため、たった1センチの小さな破片であっても、ライフル銃の弾丸以上の凄まじい破壊力を持っています。もし現役の人工衛星や宇宙飛行士がいる宇宙ステーションに衝突すれば、大事故になってしまいます。

現役で働く人工衛星
地上からのコントロールで安全に決められた軌道を飛ぶ!
天気予報や通信で私たちのくらしを24時間助けてくれる!
役目が終わったら安全に処分する工夫が進められている!
危険なスペースデブリ(宇宙ゴミ)
操縦できずに秒速約8kmの超猛スピードで飛び回る!
1cmの小さな破片でも人工衛星を大破させる凄まじい破壊力!
放置するとゴミ同士がぶつかってさらにネズミ算式に増え続ける!

日本の技術が挑む!宇宙のお掃除大作戦

「このまま宇宙ゴミが増え続けたら、危なくて新しい人工衛星やロケットを飛ばせなくなってしまう!」

そんな危機を防ぐために、いま日本や世界の研究者、宇宙ベンチャー企業が「宇宙のお掃除ロボット」の開発に本気で取り組んでいます。

宇宙ゴミに近づいてロボットアームでつかまえたり、強力な磁石で吸い付けたり、網を投げてキャッチしたりして、安全な大気圏へ引っ張っていっしょに燃やしてしまう技術です。

日本の企業が世界に先駆けてデブリに接近する実験を成功させるなど、日本の最先端技術が世界の宇宙環境を守るリーダーとして注目されています。

はると
はると
1センチのゴミでもぶつかったら大爆発なんて怖すぎるな!サッカーのグラウンドも練習のあとはみんなでトンボをかけてゴミを拾うけど、宇宙もマナーを守ってキレイにしなきゃダメだな。
ひまり
ひまり
ええ、道具を大切にして使ったあとの片付けをするのは宇宙でもまったく同じね。日本の企業もお掃除衛星の実験を成功させていて、地球だけじゃなく宇宙の環境も守ろうとしているのよ。
宇宙空間に漂うスペースデブリ
▲ 地球のまわりを猛スピードで周回するスペースデブリ(宇宙ゴミ)のイメージ写真

まとめ

私たちの頭上はるか高い宇宙を飛んでいる人工衛星について、たくさんのひみつを見てきました。

今日のポイントを黒板ノートでしっかりおさらいしておきましょう!

📝 今日のまとめノート
1 落ち続けているのにぶつからない:人工衛星は秒速約8kmという超猛スピードで進むことで、地球の丸みに沿って落ち続けながら回り続けている!
2 ロケットと太陽の力で活動:ロケットに乗って宇宙へ運ばれ、宇宙空間で大きなソーラーパネルを広げて太陽光で電気を自給自足している!
3 くらしを支える5つの仕事:気象衛星「ひまわり」、位置情報(GPS・みちびき)、通信・放送中継、地球観測、宇宙望遠鏡など、24時間私たちの生活を守っている!
4 宇宙ゴミ(デブリ)のお掃除が大切:役目を終えた衛星や破片が増えると危険なため、ロボットアームや磁石を使った「お掃除衛星」の開発が進んでいる!
🖍️ ✏️
はると
はると
空の上には見えないけれど、俺たちの毎日は人工衛星にメチャクチャ支えられていたんだな!今夜は夜空を見上げて、宇宙で頑張る衛星たちに心の中で「ありがとう」って伝えてみるぜ!
ひまり
ひまり
ふふ、素敵ね、はると!宇宙に思いを馳せるのもいいけれど、明日提出の理科の宿題プリントもしっかり終わらせてからにしてちょうだいね。
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