はじめに
お正月の朝、食卓の真ん中にドーンと置かれたピカピカの「重箱」。
ワクワクしながらフタを開けると、甘い醤油やだしのいい匂いとともに、ツヤツヤと光る黒豆や、鮮やかな赤いエビ、黄金色の栗きんとん、くるくると巻かれた伊達巻など、色とりどりの料理がぎっしり詰まっています。
これが、日本の伝統的なお正月のごちそう「おせち料理」です。
でも、普段の朝ごはんや給食と比べると、なんだか不思議なことばかりですよね。
「どうしてお皿じゃなくて、何段も重ねた重箱に入っているの?」 「どうして温かいスープやごはんと違って、冷たいまま食べるの?」 「黒豆やエビを食べることに、どんな秘密があるの?」
実は、おせち料理に入っている一つひとつの料理には、大昔から受け継がれてきた「秘密の暗号」や「家族への温かい願い」がぎっしり詰まっています。
この秘密を知ると、いつものおせち料理が何倍もおいしく、そしてありがたく感じられるようになりますよ!今回は、おせち料理の不思議な世界を一緒にのぞいてみましょう。
お正月のおせち料理、俺は甘い伊達巻と栗きんとんが大好物なんだよな!でも、普段のごはんとは全然違って、なんで箱にぎっしり詰まっているのか不思議だったんだ。
ふふ、甘くておいしいものね。でもおせち料理って、おいしいだけじゃなくて、大昔の日本の文化や神様への感謝がこめられているのよ。どんな秘密があるのか一緒に調べてみましょう!
なぜお正月におせちを食べるの?3つの理由
そもそも、なぜ日本人はお正月に普段とは違う「おせち料理」を食べるのでしょうか?
「おせち」という言葉は、もともと季節の変わり目を祝う特別な日である「節日」に、神様にお供えしたごちそう「御節供」が短くなったものです。
昔は1年の中にいくつもおせちを食べる日がありましたが、その中でも1年で一番大切なお正月に食べる料理だけが、今でも「おせち料理」として残りました。
お正月におせち料理を食べるのには、昔の人の知恵と思いやりにあふれた「3つの理由」があります。
- 年神様へのお供えとおもてなし:お正月になると、それぞれの家に新しい年の幸せや命のパワーを運んでくれる「年神様」という神様がやってきます。その神様をおもてなしするためにごちそうをお供えし、その後で人間も一緒にいただくことで、神様のパワーを分けてもらうためです。神様と同じごはんを一緒に食べることを「神人共食」と呼びます。
- 台所の「火の神様」を休ませるため:昔から、台所の火を使う場所(かまど)には「火の神様(荒神様)」がいると信じられていました。お正月の最初の3日間(三が日)は、火の神様にゆっくり休んでもらうため、台所で火を使ったり包丁で物を切ったりしてはいけないという決まりがありました。
- 毎日ごはんを作る家族を休ませるため:お父さんやお母さんなど、毎日台所に立って家族のごはんを作ってくれている人を休ませてあげるためです。三が日の間、料理を作らなくてもみんなでおいしくごはんが食べられるように、前もって日持ちするごちそうを作っておいたのです。
おせち料理が冷たいまま食べられるのは、火を使わないためであり、家族にお正月休みをプレゼントするための工夫だったのですね。
そのため、おせち料理には濃いめの醤油味や甘い味付け、お酢を使った料理など、冷蔵庫がなかった大昔でも何日も腐らない工夫がたくさん詰まっています。
STEP 1
年神様をごちそうでおもてなし!
新しい年の幸せを運んでくれる神様にごちそうをお供えし、同じものを食べることで、神様から新しい年の元気なパワーを分けてもらいます!
STEP 2
台所の「火の神様」を三が日の間休ませる!
いつも火を守ってくれている神様に感謝し、お正月の3日間は台所で火や包丁を使わずに静かに過ごすという昔からのルールがありました。
STEP 3
毎日料理を作る家族に「お正月休み」をプレゼント!
毎日家族のためにごはんを作ってくれる人を休ませるため、何日も日持ちする料理を年末に作っておき、お正月はみんなでゆっくり過ごします。
なるほど!おせちが冷たくてもおいしくて何日も日持ちするのは、お母さんや火の神様を休ませるための工夫だったのか。昔の人の気配り、すげーな!
そうなのよ。お正月くらいは毎日家事をしてくれる人を休ませてあげたいという、家族への優しい思いやりから生まれた文化なのね。
▲ 伝統的なおせち料理(出典: Wikimedia Commons)
重箱の秘密!段ごとに決まっている役割
おせち料理といえば、ピカピカと黒や朱色に塗られた四角い箱「重箱」に詰められているのがおなじみですよね。
大きなお皿に盛り付けるのではなく、なぜわざわざ箱を何段も重ねるのでしょうか?
重箱を使う一番の理由は、「めでたいこと(幸せ)が重なりますように」という願いを込めるためです。箱をいくつも積み重ねる姿に、家族の幸せがどんどん積み重なっていく様子を重ね合わせた、とても縁起の良い工夫なのです。
重箱は、正式には四段重や五段重を使うこともありますが、現代では扱いやすい「三段重」が一般的です。
実は、この三段重には「どの段にどんな料理を入れるか」という決まりがきちんとあります!上から順番に見ていきましょう。
一の重:「祝い肴」と「口取り」
一番上の段は、フタを開けたときに真っ先に目に入る「お正月の主役」たちです。お酒のつまみになる黒豆、数の子、田作りなどの「祝い肴」や、甘くて華やかな伊達巻、栗きんとん、紅白かまぼこなどの「口取り」が入ります。
二の重:「焼き物」と「酢の物」
真ん中の段には、メインディッシュとなるごちそうが入ります。エビやブリ、鯛などの海の幸をこんがり焼いた「焼き物」や、紅白なますなどのさっぱりとした「酢の物」が詰められます。
三の重:「煮物」
一番下の段には、山の幸をたっぷり使った煮物(煮しめ・筑前煮)が入ります。れんこん、里芋、ごぼう、にんじん、しいたけなど、たくさんの根菜をひとつの鍋で一緒に煮ることで、「家族みんなが仲良く結びつき、末永く栄えますように」という絆の願いが込められています。
重箱の段ごとに、前菜からメインディッシュ、煮物までフルコースみたいに役割が決まっていたんだな!サッカーのポジションみたいに、みんなしっかり自分の役割があるじゃん!
ふふ、まさにそうね!一番上はお祝いの主役、真ん中は海の幸、一番下は山の幸と家族の絆。段を開けるたびに違う世界が広がるから、見ていて飽きないわよね。
具材に込められた「願いとダジャレ」大解剖!
おせち料理に入っている具材には、そのすべてに「幸せに暮らせますように」という特別な願いが込められています。
昔の日本人は、言葉の響きを合わせる「言葉遊び(ダジャレ)」や、食べ物の形・色を未来の希望に結びつけるのがとても上手でした。
人気の代表的な6つの具材と、そこに隠された楽しい秘密を見てみましょう!
黒豆:「まめに元気に働けますように!」
「まめ」という言葉には、昔から「体が丈夫で健康」「真面目に一生懸命働く」という意味があります。お日様を浴びて真っ黒に日焼けするくらい、元気に運動や勉強ができますように、という健康の願いが込められています。
数の子:「家族がたくさん増えて栄えますように!」
ニシンという魚の卵です。プチプチとした無数の小さな卵がぎっしり集まっていることから、「子どもがたくさん生まれて、家族が代々元気に続きますように(子孫繁栄)」という願いが込められています。
エビ(海老):「腰が曲がるまで長生きできますように!」
エビは長いヒゲが生えていて、背中が丸く曲がっていますよね。その姿が、まるで長生きしたおじいちゃんやおばあちゃんに似ていることから、「腰が曲がるくらい、いつまでも元気で長生きできますように」という長寿の願いが込められています。お正月におじいちゃんやおばあちゃんと一緒におせちを食べるときは、ぜひ笑顔でエビをすすめてみてくださいね!
伊達巻:「勉強ができるようになりますように!」
卵と魚のすり身を混ぜて焼き、くるくると巻いた甘い料理です。この巻かれた形が、大昔の教科書や本である「巻物」にそっくりなことから、「知識がたくさん身について、勉強が得意になりますように」という願いが込められています。
栗きんとん:「お金持ちになれますように!」
漢字で書くと「栗金団」と書き、「金色の団子」という意味があります。ピカピカと黄金色に輝く小判や金塊に似ていることから、「新しい年はお金に困らず、豊かな暮らしができますように」という金運アップの願いです。
れんこん:「将来の見通しが良くなりますように!」
れんこんを輪切りにすると、向こう側が見えるいくつもの穴があいています。その穴からのぞくと先が見えることから、「未来の見通しが明るく良くなりますように」「困ったことが起きてもすっきりと先が見通せますように」という願いが込められています。
Q. ダジャレで願いを込めるなんてふざけてないの?
A. とんでもない!昔の人にとって、言葉の響きには「言霊」という不思議な力が宿ると信じられていました。良い言葉を口にしたり食べたりすることで、本当に素晴らしい運気を引き寄せようとした昔の人の知恵なんだよ。
伊達巻が昔の本の形だから「勉強ができるようになる」なんて知らなかったぞ!俺、今年の冬休みは伊達巻をいっぱい食べて、宿題もテストもバッチリにしてやる!
ふふ、食べるだけじゃなくてちゃんと机に向かって勉強もしないとダメよ?でも、どの具材にも前向きで素敵な願いが込められているのを知ると、一口食べるのが楽しみになるわね。
今のおせちはもっと自由!おいしく食べるコツ
ここまで伝統的なおせち料理を紹介してきましたが、最近のおせち料理は時代に合わせてどんどん進化しています!
昔ながらの和風の味付けだけでなく、今ではいろいろな種類のおせちが登場して人気を集めています。
- 洋風おせち: ローストビーフや生ハム、テリーヌなど、お肉を中心とした子どもたちにも大人気のメニューがぎっしり詰まっています。
- 中華おせち: エビのチリソースや酢豚、アワビなど、中華料理ならではの華やかで食べごたえのある料理が楽しめます。
- キャラクターおせち: 人気のアニメやゲームのキャラクターが重箱に描かれていたり、キャラクターの形をしたかまぼこが入っていたりして、見ているだけで笑顔になれます。
受け継がれてきた「伝統の和風おせち」
昔ながらの
知恵で
保存性を
高め、
神様への
感謝や
家族の
健康を
祈る!
黒豆、
数の
子、
煮しめなど、ひとつひとつの
具材に
深い
意味と
願いがある!
家族みんなで楽しむ「現代の進化系おせち」
ローストビーフや
中華、スイーツなど、
子どもが
大好きなメニューがたっぷり!
伝統の
形にとらわれず、
家族みんなが
笑顔でおいしくお
正月をお
祝いできる!
「おせち料理って、味が濃かったり普段食べなれない野菜が多くて、ちょっと苦手かも…」と感じる人もいるかもしれません。
でも、おせち料理の一番の目的は、「新しい年の始まりに、家族みんなで健康と幸せを願いながら、笑顔で食卓を囲むこと」です。
全部を無理して食べる必要はありません。まずは大好きな具材からおいしく食べてみましょう。そして、ちょっと苦手な具材も「これにはどんな願いが込められているのかな?」と思い出しながら、小さく一口だけ挑戦してみてください。
昔の人の知恵や願いを感じながら食べてみると、不思議と新しいおいしさを発見できるかもしれませんよ!
俺の家のおせちには、去年ローストビーフが入ってたぞ!伝統的な具材の願いを知ったうえで、大好きなメニューも一緒に食べられるなんて最高だよな!
時代が変わっても、「家族みんなが元気で幸せに過ごせますように」という温かい祈りは変わらないのね。苦手な野菜も、おせちの意味を思い出しながら一口チャレンジしてみるわ!
まとめ
📝 今日のまとめノート
1
おせちを食べる3つの理由:神様へのおもてなし、火の神様のお休み、毎日料理する家族へのお正月休み!
2
重箱の秘密:「幸せが重なるように」願いを込め、一の重(お祝い)・二の重(海の幸)・三の重(山の幸)に分ける!
3
具材に込められた願い:黒豆(健康)、エビ(長寿)、伊達巻(学問)など、前向きな言葉遊びと願いが満載!
4
進化する今のおせち:洋風や中華も登場!家族みんなが笑顔で新年をお祝いすることが一番大切!
🖍️ ✏️
おせち料理の具材って、ただ並んでいるだけじゃなくて全部にカッコいい意味があったんだな。今年のお正月は、家族に具材の意味を教えてあげながら食べるぞ!
ふふ、お父さんやお母さんもきっと驚いて喜んでくれるわね。新しい1年を元気いっぱいにスタートできるよう、おいしくいただきましょう!
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